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鉱工業生産は5カ月連続低下も先行きプラス、失業率は悪化

10月の日本の鉱工業生産指数は自 動車や電子部品などの生産が減少し、5カ月連続のマイナスになった ものの、市場予想は上回り、先行きは11月、12月とプラスが見込ま れている。雇用指標は完全失業率が4カ月ぶりに悪化した半面、有効 求人倍率(季節調整値)は前月を小幅上回った。

経済産業省が30日発表した鉱工業生産指数は前月比1.8%低下、 前年同月比は4.5%上昇と、ブルームバーグ調査の予想中央値(前月 比3.2%低下、前年同月比3.1%上昇)を上回った。先行きの生産動向 をみる上で重要な製造工業生産予測指数は11月が前月比1.4%上昇、 12月は同1.5%上昇が見込まれている。

一方、総務省の労働力調査によると、同月の完全失業率(季節調 整済み)は5.1%と前月から0.1ポイント悪化。厚生労働省が発表し た同月の有効求人倍率は0.56倍と前月を0.01ポイント上回った。ま た、10月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、従業員5人以上の 事業所での1人当たり現金給与総額は前年同月比0.6%増の26万8951 円だった。増加は8カ月連続。

海江田万里経済財政担当相は同日午前の閣議後の会見で、鉱工業 生産について「当初予想されていた落ち込みが、少し少なくて済んだ」 と述べ、先行きも「回復が期待されている」と指摘した。同時に「ま だ全体に消費なども回復していない。物価も相変わらず下落が続いて いるので、現在の状況は足踏み状況だと認識している」と語った。

政府は11月の月例経済報告で「景気はこのところ足踏み状態とな っている」として前月の基調判断を維持。雇用情勢については、完全 失業率が9月まで3カ月連続で改善したことを踏まえ、「依然として 厳しいものの、持ち直しの動きがみられる」とし、8カ月ぶりに判断 を上方修正した。経済産業省は10月の生産の基調について「生産は弱 含みで推移している」としている。

エコカー終了で反動減

生産統計によると、10月の輸送機械の生産は前月比10.0%減と 2009年2月以来の大幅な落ち込みとなった。9月初旬にエコカー購入 補助金が終了したことに伴い、9月の新車販売台数(登録車)は前月 比29.9%減少し、10月も同20.9%減少した。ハイブリッド車「プリ ウス」で生産を伸ばしてきたトヨタ自動車の10月の国内生産は前年同 月比22%減、海外生産も同7.0%減となり、世界生産は同14%減と2 カ月連続のマイナスとなった。

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは「足元生産指数 は落ち込んでいるが、先行き11、12月の生産計画は2カ月連続で上昇 しており、5月から続いていた生産調整局面は10月で終了し、年末に かけて回復に転じる可能性大」と指摘。一方、雇用情勢は失業率が小 幅悪化したものの、「労働市場の需給をより正確に反映する有効求人 倍率は前月から改善するまちまちの結果となった」としている。

「勤め先都合」が減少

10月の完全失業者数は334万人と前年同月から10万人減少した。 求職理由別では、倒産やリストラなどの「勤め先都合」が同15万人減 少する一方、「自己都合」は同5万人増加した。就業者数は6286万人 で前年同月比15万人増えた。

村上氏は「10月までの鉱工業生産の落ち込みはかなり大きく、循 環的に日本経済は景気後退局面に近い状況。ただし、有効求人倍率な ど労働市場の動きは落ち着いており、製造業の生産調整は経済全般に 波及していない」と指摘。「エコカー補助金などの政策効果のはく落 で日本経済は10-12月に大幅なマイナス成長となるが、世界景気回復 や根強い設備投資需要を背景に景気後退入りは免れる見通し」との見 方を示した。

10-12月期は2四半期連続マイナスの見込み

経産省調査統計部の杉浦好之経済解析室長は11月と12月の予測 がそのまま実現した場合、10-12月期は前期比1.7%減と2四半期連 続のマイナスになるとの試算を示した。

伊藤忠商事の丸山義正主任研究員は、「IT(情報技術)・デジ タル分野の在庫調整は道半ばであり、また自動車や資本財の需要動向 にも不透明感が残るため、先行きは楽観視できない」との見方を示し た。また、鍵を握る輸送機械と電子部品・デバイス、一般機械が「下 振れする可能性が高い」とし、10-12月期の生産は前期比2%半ばの 低下を見込んでいる。

一方、総務省が同日発表した10月の家計調査によると、2人以上 の世帯の消費支出は28万7433円で、前年同月比0.4%減となった。 季節調整済み前月比では0.9%減少だった。減少した品目は、10月か らの値上げでたばこが減少したほか、9月初旬のエコカー購入補助終 了に伴う反動減が続いた。半面、12月からのエコポイント半減前の駆 け込み需要で、テレビやビデオデッキなどは増加した。

BNPパリバ証券の加藤あずさエコノミストは、10月の消費は一 時的な要因である自動車、たばこ、テレビと、元々振れの大きい住居 によって大きくかく乱されているが、最大の理由である自動車を除け ば「比較的堅調だったと言える」と指摘。ただ、その自動車の落ち込 みによって、10-12月期の国内総生産(GDP)ベースの個人消費の 落ち込みは「不可避とみられる」とみている。

野村証券金融経済研究所の池田美香エコノミストは「個人消費は 特殊要因に左右される状況が続いているが、基調的には緩やかな増加 が続いている」とし、「今後もエコポイント制度の変更・終了により テレビ支出の大幅な変動が予想されるものの、2011年以降の個人消費 は雇用環境の改善に支えられ、より安定的な推移を示すと期待される」 との見通しを示した。

--取材協力、:伊藤亜輝、氏兼敬子、浅井秀樹Minh Bui Theresa Barraclough  Editor: Hitoshi Ozawa, Norihiko Kosaka

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