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円全面高、中国引き締め観測でリスク回避-対ユーロ2カ月半ぶり高値

東京外国為替市場では、午後の 取引で円が主要16通貨に対して全面高となった。ユーロ・円相場は一 時1ユーロ=109円99銭と、9月15日以来、約2カ月半ぶりの円高 値を付けた。欧州財政問題の拡大懸念を背景にユーロ安圧力がかかる中 、中国がインフレ抑制に向けて一段の引き締め策を講じるとの見方が強 まり、アジア株安を背景にリスク回避に伴う円買いが促された。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の北沢純シニアバイス プレジデントは、12月の休暇シーズンに向けて市場の取引が薄くなる 中、資源国や新興国通貨の買い持ち高の調整が出やすく、中国の引き締 め観測が短期的に「ネガティブ」に捉えられた可能性があると指摘。 「材料としてはどちらかというと資源国や新興国に向いていた資金の巻 き戻しにつながりやすい」として、円買いが広がった背景を説明してい る。

この日の東京市場では、午後の取引にかけて中国の引き締め観測を 背景とした中国上海総合指数の下落幅拡大に連れる形で、オーストラリ ア・ドルを中心にクロス・円(ドル以外の通貨の対円相場)が軟化(円 は上昇)。午後3時30分現在のユーロ・円相場は110円24銭付近で 推移している。

前日の海外市場で一時1ドル=84円41銭と、9月27日以来の円 安値を付けていたドル・円相場はクロス・円での円買いに押される格好 となり、午後には84円01銭と、前日のニューヨーク時間午後遅くに 付けた84円26銭から円が水準を切り上げた。同時刻現在は84円06 銭近辺で取引されている。

30日付の中国英字紙チャイナ・デーリーによると、中国社会科学 院のエコノミストは論説記事の中で、現在の過剰な流動性の下では、イ ンフレを抑えるために同国が200ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)の追加利上げをする必要があると主張している。

一方、ユーロは対ドルで午後に一段安の展開となり、一時は1ユー ロ=1.3076ドルと、前日のニューヨーク時間午後遅くに付けた

1.3125ドルから水準を切り下げている。午後3時30分現在は1.3114 ドル付近で推移。前日の海外市場では一時1.3064ドルと、9月21日 以来のユーロ安値を更新している。

北沢氏は、アイルランドの銀行問題に端を発して、スペインやポル トガルまで市場の懸念が広がる中、欧州発の懸念材料が「まだまだくす ぶっている」として、当面はユーロの下値を試す機運が続くと付け加え ている。

欧州財政問題の拡大懸念根強い

前日の欧州債市場では、スペインの10年国債相場がユーロ導入以 降で最大の下げとなったほか、ユーロ圏内の高債務国の国債も総じて安 かった。さらに、スペインとイタリアの10年債利回りとドイツの10 年債利回り格差はユーロ導入後の最大を記録した。

米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は29日、スペイン は欧州の債務危機に生息する「巨象」だとして、同国を救済する十分な 資金はないかもしれないと述べた。ポルトガルについても、緊急資金を 必要とする可能性が「極めて高い」との見方を示している。

そうした中、29日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS) 市場では、スペインやポルトガルなどの高債務国に加え、ドイツに至る まで、国債の保証コストが上昇している。

欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のレーン委員(経 済・通貨担当)は29日、財政目標達成に向けたスペイン政府の取り組 みは「順調だ」との認識を示した。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、ことし5月のギリ シャ救済時には市場に安心感が広がり、今回のアイルランド救済につい ても、不安払しょくを狙っていたが、市場が「全く違った反応になって いる」と説明している。

米金利動向を注視

一方、前日の米金融市場では、欧州債務危機をめぐる懸念が尾を引 き、株安・債券高の展開となるなど、世界的に不安が広がっており、リ スク性資産を回避する動きが出やすい面もある。

そうした中、今週は米国で、雇用統計など重要な経済指標の発表を 控えており、指標結果を受けた米金利の動向も注目される。

東海東京証券金融市場部の二瓶洋トレーディンググループマネージ ャーは、目先は欧州懸念で米金利の上昇が抑制されているものの、米指 標が好結果となれば、金利の押し上げにつながる可能性があると予想。 欧州不安でドル需要が高まる中、「ドル一段高」の展開もあり得るとみ ている。

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