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日銀総裁:想定より経済厳しければ基金拡大は有力な選択肢

日本銀行の白川方明総裁は29日 午前、名古屋市内での講演後の質疑応答で、指数連動型上場投資信託 (ETF)や不動産投資信託(J-REIT)を含む5兆円の資産買 い入れ等基金を今後拡大する可能性について「効果と副作用を点検し た上で、効果が勝ると判断し、かつ、経済がわれわれの想定より厳し いとなれば、有力な選択肢の1つだ」と語った。

白川総裁は講演では、金融政策運営について「先行きの経済・物 価動向を注意深く点検した上で、必要と判断される場合には適時・適 切に対応する」との考えをあらためて示した。また、質疑応答では「 日銀は為替相場の影響をみて必要な政策対応をしっかり取っていく対 応を行ってきた」と述べた上で、先月5日に打ち出した包括的な金融 緩和策など「先回りして政策を打っている」と語った。

講演では円高の影響について「短期的には輸出企業の収益や採算 を圧迫する要因だが、その影響は貿易構造によって通貨ごとに異なり、 一様ではない」と述べた。

白川総裁はその例として「日本と韓国は、家電や自動車といった 多くの最終製品に関し、近年グローバル市場において競合関係を強め ているため、通貨価値の相対的な関係が、両国の輸出品の競争力に大 きく影響する」と指摘。一方で、「日本と中国の貿易関係をみると、 国際的なサプライチェーンの中で相互に補完し合う面が相対的に強い ため、為替レートの影響の仕方は異なる」と語った。

圧倒的に韓国ウォンの話が多い

白川総裁はその上で「日銀では、そうした点も意識しながら、為 替レートの動きとその影響を重大な関心を持ってきめ細かく点検して いる」と述べた。また、質疑応答では「企業経営者と話をすると、圧 倒的に韓国ウォンの話が多い」と語った。

白川総裁は一方で、「円高はやや長い目で見ると、輸入物価の下 落を通じ、交易条件の改善、すなわち、日本全体の実質所得の増加に つながるという効果も有している」と指摘。日銀としては「こうした 長期的な観点から、為替市場の動向が日本経済にどのような影響を与 えるか、また、そうした下で、企業がどのような取組みを進めようと しているのかといった点についても注意を払っている」と語った。

日銀は先月5日の金融政策決定会合で包括的な金融緩和策を打ち 出し、政策金利を0-0.1%とするとともに、物価の安定が展望できる まで実質ゼロ金利政策を継続すると表明。さらに、国債、社債、指数 連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)な ど金融資産を買い入れる5兆円規模の基金を創設することも決めた。

FRBに強い懸念や不安

白川総裁は「今月初めに決定された米連邦準備制度理事会(FR B)による大規模な金融緩和に関し、新興国は資本流入の加速による 景気の過熱や、将来の先進国の政策変更によって生じ得る資本の逆流 に対して、強い懸念や不安を表明している」と指摘。「仮に新興国でバ ブルの発生と崩壊という事態が生じると、当該新興国だけでなく、先 進国を含め世界経済全体にも大きな影響が及ぶことになる」と述べた。

国内経済の先行きについては「海外経済の減速や各種政策効果の 減衰、さらには、これまでの円高の影響などから、当面、景気改善テ ンポの鈍化した状況が続く可能性が高い」と指摘。その上で「もっと も、2011年度入り後は、わが国経済は緩やかな回復経路に再び復して いくと考えられる」と語った。

消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の先行きについて も「マクロ的な需給バランスが徐々に改善していくことなどから、消 費者物価の前年比は、11年度にはプラスの領域に入り、その後、12 年度にかけてプラス幅を拡大していくと見込んでいる」と述べた。

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