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富士のふもとの「マイクロソフト」-高利益率と秘密厳守のファナック

富士山のふもとに、日本で最も利益 率が高く、そして秘密に包まれた黄色い場所がある。産業用ロボットメ ーカー、ファナックの本社工場だ。「富士山が噴火してこの会社が無く なったら、世界は止まってしまうだろう」-。仏BNPパリバのアナリ スト、スコット・フォスター氏(東京在勤)は同社を「知られざるマイ クロソフト」だとして、こう評する。

ファナックのシステムは、鉄鋼を米アップルの携帯電話「iPho ne(アイフォーン)」の外周部品に、アルミニウムを米ボーイングの 航空機リブ(枠組みを形成する部品)へと変える。トヨタ自動車や米ゼ ネラル・モーターズ向け部品供給業者も含め、世界の半数強のコンピュ ーター化された工作機械は、ファナックの制御技術を活用している。

7-9月期の連結業績を見ると、純利益は311億円と前年同期の7.7 倍。営業利益率も44%と、過去最高の水準に達した。15年ぶりの円高 に悩まされている日本の輸出産業全体からすれば、対照的だ。同社の稲 葉善治社長(62)は10月の決算説明会で「中国やインドへの進出で、 かつてないほど働いている」ため、工場はフル稼働中と語った。

英調査会社オックスフォード・エコノミクスによると、世界最大の 工作機械市場である中国では、2015年まで販売額が年平均で最大20% 増え続ける見込み。インドでの増加率は年率30%と予測している。ファ ナック最大のライバルは欧州最大のエンジニアリング会社である独シ ーメンスで、シンプルな工作機械を中国市場に売り込んでいる。

黄色ずくめとメール禁止

ファナックのシンボルは黄色。本社工場の建物や同社製品の産業用 ロボットだけでなく、作業員のジャンパーも、そしてウェブサイトも黄 色をあしらっている。現社長の父で、1972年にファナックが富士通から 分離してから約30年間トップだった稲葉清右衛門名誉会長(85)によ ると、これは黄色が「クリアな思考」を促す効果があるため。

秘密厳守も徹底している。同社によると、外部の人間を工場に立ち 入らせるのは極めてまれ。社内でも、調査部門以外の人間が研究所には アクセスできないという。CLSAアジアパシフィック・マーケッツの アナリスト、モルテン・ポールセン氏によると「サッカー場ほどの広さ がある工場のフロアで働いているのは4人くらい」で、残りは産業用ロ ボットが、自分と同じロボットを組み立てている。従業員が電子メール を使うのも原則禁止で、ビジネスの大半は電話とファクスで行う。

好業績ゆえに投資家からの関心も強いが、同社はインべスター・リ レーションズ(IR)部門を持たない。決算発表の会見も本社で行うた め、説明を聞きたければ都内から2時間掛けて富士山のふもとまで行っ て、稲葉社長の声を聞くしかない。

稲葉氏は7月に4-6月期の説明会出席をキャンセルし、投資家を うんざりさせた。ただ、10月の7-9月期説明会で同氏は語った。「業 績について説明する義務があることは理解している。しかし、私の仕事 は、業績を確実に上げることだ」「競争相手に情報を流さないことも、 戦略の一部だ」。

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