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アイルランド救済で議会解散へ-格下げ、税率上げ企業脱出も

アイルランドのカウエン首相は金 融支援の要請を行ったことで、議会解散と総選挙の実施を表明する事 態に追い込まれた。さらに、同国の信用格付け引き下げと国際企業の 海外への脱出の可能性も懸念される。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、アイル ランドの信用格付け「Aa2」について、数段階の格下げになる可能 性が非常に大きいとの見方を示した。また、カウエン首相の共和党と 連立を組む緑の党は連立を離脱する方針。首相は予算の議会通過後、 来年初めの総選挙実施を目指す考えを明らかにした。

ゴールドマン・サックス・グループが総額950億ユーロと見積も るアイルランド救済も、同国の後にポルトガルとスペインが続くとの 市場の観測を沈静化させるには至っていない。

ナティクシスのユーロ圏チーフエコノミスト、シルバン・ブロイ ヤー氏は、救済が「影響の波及に歯止めをかける可能性は低い」とし た上で、「アイルランドは困難な危機の真っただ中にある」と指摘した。

アイルランドの当局者はつい15日までは救済が不要と発言して いたが、リセッション(景気後退)と銀行危機に同時に直面する同国 の国債利回りは過去最高に近い水準まで上昇し、政策担当者らは危機 封じ込めに躍起とならざるを得ない状況だ。

レニハン財務相は、アイルランドの銀行は「保有するローン債権 の規模と銀行が取った巨大なリスク」によって、「アイルランドばかり でなく」ユーロ圏全体にとっての脅威となったと発言。「銀行業界はア イルランド経済が本当に必要とする規模に縮小されるだろう。それは アイルランドの消費者と企業にとって必要な規模だ。それがアイルラ ンドの銀行の最重要課題でなければならない」と語った。

「1000億ユーロには達しない」

欧州連合(EU)の発表によると、英国とスウェーデンは2カ国 間融資の形でアイルランド支援に参加する見込み。レニハン財務相は 支援の規模は明言せず、1000億ユーロには達しないとのみ述べている。 ゴールドマン・サックス・グループの欧州担当チーフエコノミスト、 エリック・ニールセン氏は21日、アイルランド政府自身が今後3年間 に650億ユーロを必要とし、銀行救済の資金として300億ユーロが必 要になると試算した。

EUによれば、支援をめぐる交渉はアイルランドの財政赤字削減 措置と銀行システム再編計画が焦点になる。

アイルランドは低い法人税率で外国企業を呼び込んできた。パソ コンメーカーの米ヒューレット・パッカードは、EUと国際通貨基金 (IMF)による救済でアイルランドの法人税率12.5%が引き上げら れれば、同国への投資を見直す可能性を示唆している。

ドイツ政府のシュテフェン・ザイベルト報道官は22日、ベルリン で、救済には「厳しい」条件が課されるべきだとし、法人税引き上げ も検討の対象だと語った。

連立離脱

アイルランド中央銀行のマシュー・エルダーフィールド金融監督 最高責任者は22日、ダブリンでのスピーチで、同国の銀行に直ちに資 本注入する可能性があると述べた。NCBストックブローカーズのア ナリスト、シアラン・キャラハン氏は18日のリポートで、アイルラン ドの2大銀行に計50億ユーロを直ちに注入する必要性を指摘してい た。

緑の党のジョン・ゴームリー党首は22日、ダブリンでの記者会見 で、予算成立後に連立を離脱すると表明。カウエン政権は議会で過半 数を失う見込みだ。

欧州債市場では、アイルランドの影響が波及するとの懸念が広が り、スペイン債とポルトガル債の利回りが上昇している。ユーロ圏財 務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼 国庫相)は、スペインやポルトガル債の下落を見込むような投資家の 投機には正当性がないが、その可能性を排除できないとの認識を明ら かにした。

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