コンテンツにスキップする

日本最大の投信グロソブ3兆円割れ目前、分配金低く年初来1兆円減

国際投信投資顧問が運用する日本 最大の投資信託「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」の 純資産総額が、3兆円の大台を割り込もうとしている。円高による運 用成績の悪化に加え、毎月支払われる分配金の水準がほかの外国債券 ファンドと比べ低く、投資家らがより高い分配金を求めている現在の 潮流に乗れていない。

ブルームバーグ・データによると、ファンドの純資産総額は19 日現在で3兆585億円。昨年末は4兆1625億円だったため、1年足ら ずで1兆円以上減った。仮に2兆円台となれば、6年半ぶり。過去最 高は2008年8月の5兆7685億円で、これは日本の投信史上で最高額。

国際投信経営企画部の村上直実シニアマネジャーは、年初来での 資産減少の内訳について「円高を中心とした運用減と、資金純流出と 半分ずつ」と説明する。顧客の解約額が一定水準で推移している半面、 買付額が縮小し、全体で資金純流出の状態が続いているという。投資 信託協会のデータを基に、ブルームバーグが算出した同ファンドの10 月月間の解約額は637億円、設定額(買付額)は66億円。

先進国のソブリン債を投資対象とする「グロソブ」は、10月末現 在で過去1年間の基準価額騰落率(分配金考慮)がマイナス8.7%と、 ベンチマークとするシティグループ世界国債インデックスのマイナス

5.8%を下回る。基準価額を押し下げたのが為替の円高進行だ。

国際投信が10月末時点で作成した運用報告資料で、この1年間に 基準価額が542円下落した主因を見ると、対ユーロを中心に為替が円 高に振れたことが857円(13%)のマイナスに働いた。ユーロは対円 で16%下落、ドルは対円で11%値下がりした。債券要因は、386円(6%) の基準価額押し上げ要因となっている。

富国生命保険の奥本郷司資金債券部長は、為替ヘッジしなければ、 外債ファンドは円高になれば成績が悪くなるのは当然だし、解約もさ れているだろう、との認識だ。国際投信の村上氏は「ある通貨が対円 で下落する場合は、他の通貨の比率を高めて円高による影響を少なく してきた。最近は円のポジションを引き上げたりしたが、今回は円が 主要通貨に対して全面高となってしまった」と説明した。

分配金の絶対額で選ぶ風潮

「毎月定期的に安定した収入を得たい」――。退職者を中心とした こうした個人投資家の心理を毎月分配金という仕組みでつかみ、グロ ソブの純資産総額は08年に日本最高規模に膨らみ、日本を代表する投 信になった。しかし、同年秋のリーマン・ショックを契機とした円高 で基準価額は急落。長期的な円安予想による外債投資の魅力をうたう 同ファンドに逆風が吹いている。

加えて、昨年ごろから個人が投信を選ぶ際、定期的に支払われる 分配金の絶対額を判断基準にする傾向が強くなり、人気の商品は高い 分配金を支払うファンドだ。外債ファンド「パインブリッジ新成長国 債券プラス」を運用するパインブリッジ・インベストメンツの杉浦和 也常務によると、1万口(当初=1万円)当たり70円程度が高分配の 下限と認識されており、35円のグロソブは絶対額で見劣りしている。

グロソブに次ぐ純資産総額のファンドは野村アセットマネジメン ト の「野村グローバル・ハイ・イールド債券投信(バスケット通貨選 択型)資源国通貨コース(毎月分配型)」。ことし4月に新規設定した ばかりだが、月140円という高分配実績を武器に個人マネーを吸収、 設定から半年余りの11月9日に1兆円の大台に乗せた。グロソブとは 対照的な残高の動きだ。

雑誌「投資信託事情」の島田知保編集長は、「毎月分配と高分配が キーワード」と投信販売の現状を指摘。ただ販売側、顧客双方に基準 価額の水準すら考慮せず、分配金が多く出るファンドが良いファンド と誤解している風潮があり、「高分配の裏には高リスクだったり、元本 を取り崩しているなどの事実があるもので、リスクを取り過ぎたと認 識されれば、ミドルリスク・ミドルリターンのグロソブに回帰する流 れも出てくるだろう」と話している。

--取材協力:近藤雅岐、野原良明 Editor:Shintaro Inkyo、Joji Mochida

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 浅井真樹子 Makiko Asai +81-3-3201-8955 masai@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 香港 Nick Gentle +85-2-2977-6545 ngentle2@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE