10月29日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドル下落、緩和観測で一時80円39銭

ニューヨーク外国為替市場ではドルが円に対して15年ぶりの安値 に下落。米連邦準備制度の国債購入について市場は、インフレ鈍化で規 模が大きくなるとみている。

ユーロは円に対して下落。欧州連合(EU)がデフォルト(債務不 履行)に直面する各国への対応として恒久的なメカニズムの構築を協議 するなか、債務危機が再び発生するとの懸念が広がった。ドルは円に対 して下げを拡大した。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を 控え、この日発表された第3四半期(7-9月)の米個人消費支出(P CE)価格指数は伸びの鈍化が示された。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの主任市場アナリス ト、オマー・エシナー氏は、「来週FOMCが発表する刺激措置の規模 で、今後のドルの動向が決まるだろう」と指摘。「概してドル安の環境 にあっても、ユーロは結局、債務やデフォルトの懸念で上値を抑えられ るだろう」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは円に対して前日比0.8% 安の1ドル=80円40銭(同81円03銭)。一時は80円39銭と、 1995年4月以来の安値に下げた。同月には戦後最安値の79円75銭 を付けた。ドルはユーロに対して0.1%安の1ユーロ=1.3947ドル (前日は1.3930ドル)。ユーロは円に対して0.8%安の1ユーロ= 112円12銭(同112円87銭)。

ドルはユーロに対して月間ベースでは2.2%安。FRBが国債購 入を拡大することで、ドルの価値が下落するとの観測が背景にある。F OMCは11月2-3日に開催される。

インフレの鈍化

米商務省が発表した、FRBが注目する物価指標である食品とエネ ルギーを除くPCEコア価格指数は第3四半期に前期比年率で0.8% 上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト20人の予想中央値 は1%上昇だった。

同じく商務省がこの日発表した、第3四半期(7-9月)の実質国 内総生産(GDP、季節調整済み、年率)速報値は前期比で2%増加し た。第2四半期GDPは1.7%増だった。

インタラクティブ・ブローカーズ・グループのシニア市場アナリス ト、アンドルー・ウィルキンソン氏は「GDPの統計では上向きのサプ ライズは何もなかった」と指摘。「大規模な金融緩和の可能性が再び高 まる」と述べた。

先進国10通貨の動向を示すブルームバーグ相関加重通貨指数によ ると、ドルはこの日0.6%下落。対ポンドでは0.6%安、カナダ・ド ルに対しては0.2%値下がり。

モルガン・スタンレーの見解

モルガン・スタンレーは顧客向けリポートで、連邦準備制度が資産 購入を拡大するなか、ドルは年末までにユーロに対して1ユーロ=

1.46 ドルまで下落する可能性があると指摘した。同水準を最後に付 けたのは昨年の12月。同社はこれまで1.36ドル水準への下落を予 想していた。

円はドルに対して6カ月連続の上昇となり、04年1月までの連続 上昇記録と並んだ。日本政府が円売り介入に踏み切った9月15日以降、 円は5%以上値上がりしている。

日本政府が10月に為替市場介入を実施しなかったことが、財務省 の発表で明らかになった。

日本銀行は前日、次回の政策決定会合の日程を変更し、FOMC明 けの11月4、5日とした。

◎米国株:買い優勢、GDPは市場予想と一致-マイクロソフト高い

米株式相場は買いが優勢。四半期利益が市場予想を上回ったマイク ロソフトに買いが入った。米国の第3四半期(7-9月)実質国内総生 産の速報値は市場予想と一致した。S&P500種株価指数は、月間ベ ースでは2カ月連続上昇となった。

マイクロソフトは法人需要が好調で利益が予想を上回った。オン ライン求人・求職サービスのモンスター・ワールドワイドは急伸。10 -12月(第4四半期)の利益見通しを引き上げたことが好感された。 一方、石油大手シェブロンは利益が市場予想を下回ったことが嫌気さ れ下落。製薬大手のメルクも安い。同社は鎮痛剤「バイオックス」を めぐる訴訟関連コストが利益を押し下げたと明らかにした。

米証券取引所全体の騰落比率は約7対5。S&P500種株価指数 は0.1%未満下落の1183.26。今月は3.7%高となった。ダウ工業 株30種平均は4.54ドル(0.1%未満)上げて11118.49ドル。

セキュリティー・グローバル・インベスターズのファンドマネジ ャー、マーク・ブロンゾ氏は、「株式相場はこう着状態にある」と指 摘。「GDPは予想通りだった。これを受けて米連邦準備制度理事会 (FRB)が量的緩和第2弾について考えを変えるかは分からない。 FRBが市場にサプライズを与えないようディーラーから意見を募っ ていることを忘れてはならない。株式相場はこれまで非常に良い動き を見せており、今はそれを消化している段階だ」と述べた。

GDP

第3四半期の米GDP速報値は前期比で2%増となり、ブルーム バーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値と一致した。 第2四半期GDPは1.7%増だった。

フィラデルフィア・トラスト(フィラデルフィア)の最高投資責 任者(CIO)、リチャード・シーシェル氏は、「良く言ってゆっく りとした成長というところだ」とし、「GDPの数字に驚きはない。 個人消費は拡大しつつあるが、望ましいペースとはいえない。失業は 当面、高水準にとどまるとみられ、それが来週の追加量的緩和決定へ の呼び水となりそうだ」と述べた。

10月の消費者マインド指数は前月比で低下、2009年11月以来 の低水準に落ち込んだ。一方、シカゴ購買部協会が発表した10月の 景気指数は、市場予想に反して前月から上昇した。

ファースト・シティズンズ・バンクシェアーズのエリック・ティ ール最高投資責任者(CIO)は、「危機は脱していないかもしれな い。ただ、わたしはそれほどネガティブにもならない」と説明。「こ うしたぱっとしない経済統計は、FRBが一段と積極的な刺激策を講 じる必要があることを強く示唆している。だがその一方で、企業景況 感の改善に伴い雇用の見通しは明るさを増し、最終的には投資家心理 も改善する。ただし改善のペースは緩やかなものになるだろう」と続 けた。

マイクロソフト

マイクロソフトは1.5%高の26.67ドル。同社の7-9月(第 1四半期)決算は、1株当たり利益が62セントと、アナリスト予想 の55セントを上回った。法人顧客がコンピューターやそのプログラ ムの購入を拡大したことが寄与した。

モンスター・ワールドワイドは26%上昇し18.06ドル。上昇率 はS&P500種で最大となった。同社は、第4四半期の調整後1株当 たりの利益が最大8セントになるとの予想を示した。アナリスト予想 平均は5セント。

米石油2位のシェブロンは2.2%下げて82.60ドル。同社の7 -9月(第3四半期)決算は予想外の減益となった。原油高と生産増 から利益を得たものの、コスト増大が響いた。

米2位の医薬品メーカー、メルクは1.7%安の36.31ドルで終 了した。

◎米国債:30年債上昇、PCEコア価格指数が予想下回る

米国債相場は30年債が続伸。第3四半期(7-9月)の実質国内 総生産(GDP)統計で、食品とエネルギーを除く個人消費支出(PC E)コア価格指数が市場予想を下回ったことから、連邦準備制度理事会 (FRB)は量的緩和策で償還期限の長い国債の購入を増やすとの見方 が広がった。

30年債は月間ベースでの下げを縮小した。ゴールドマン・サ ックス・グループが、FRBの国債購入の対象は30年債を含めす べての年限にわたる公算が大きいとの見方を示したのも材料視され た。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジス ト、ケビン・フラナガン氏は、「FRBの試みの一部は、すでに実 現したものもある。その一つがインフレ期待の上昇だ」と指摘した。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時56分現在、30年債利回りは前日比6ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)低下の3.99%。月間では30bp 上昇した。同年債価格(表面利率3.875%、償還期限2040年8 月)は前日比1 2/32上げて98 2/32。

10年債利回りは6bp下げて2.6%。週間では5bp上昇。 2年債利回りは0.3357%。10月12日に記録した過去最低の

0.327%に1bp未満に迫った。

月間ベース

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータによると、米 国債の投資リターンは10月に0.4%のマイナスとなった。月間ベ ースでは今年3月以来で初のマイナス。年初来では8.3%上昇。米 国の景気回復が停滞する中で、米国債が比較的安全な投資先だとみ られている。

第3四半期のPCEコア価格指数は前期比年率0.8%上昇、 ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想では1%の上昇だった。 前四半期は1%上昇。

商務省が発表した第3四半期のGDP(季節調整済み、年率) 速報値は前期比で2%増加した。

10月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(確定値) は67.7と、前月の68.2から低下した。速報値は67.9だった。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値では 68が見込まれていた。

次回のFOMC

次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は11月2-3日に開 催される。

BNPパリバの金利ストラテジスト、サブラト・プラカシュ氏 は、「短期的には刺激策が必要だ」と述べ、「時宜を得てFRBが どの程度積極的な追加刺激策を打ち出すかについて、ある程度の信 頼感はある」と続けた。

◎NY金:続伸、月間では3カ月連続高-終値1357.60ドル

ニューヨーク金先物相場は続伸。月間ベースでは3カ月連続で 上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)の国債購入拡大でドル の価値が下落し、代替投資としての金の魅力が増すとの見方から買 いが入った。

金は今月3.7%上昇。一方、ドルは主要6通貨のバスケットに 対して1.9%下げた。11月2-3日の連邦公開市場委員会(FO MC)会合で量的緩和が決定されるとの観測が背景にある。金は今 月14日に1オンス=1388.10ドルと最高値を更新した。

インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズ(シカゴ) のヘッドディーラー、フランク・マギー氏は、「市場は追加の金融 緩和を予想し、それを見込んだ値動きになっている」と指摘。「金 の上昇が止まるのはFRBが口先だけで行動が伴わない場合だ。上 昇を支えるにはFRBが市場で国債を購入していることを示す明確 な証拠が必要だ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物相場12月限は前日比15.10ドル(1.1%)高の1オンス=

1357.60ドルで終えた。年初からは24%上昇しており、このまま いけば年間ベースで10年連続高となる。

◎NY原油:下落、ドルの戻りを嫌気-月間では1.8%上昇

ニューヨーク原油先物相場は下落。外国為替市場でドルがユー ロに対して持ち直したことから、代替資産としての原材料投資が手 控えられた。

欧州で債務危機が再来するとの懸念を背景に、ドルは上昇。こ れを受けて原油先物は0.9%下落した。10月の米消費者マインド 指数は2009年11月以来の水準に落ち込み、個人消費の先行きが 懸念されている。

エネルギー顧問会社、オイル・アウトルックス・アンド・オニ オンズ(ヒューストン)のカール・ラリー社長は、「ドルが堅調を 維持する限り、原油価格には下押し圧力がかかり続ける」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は 前日比0.75ドル(0.91%)安の1バレル=81.43ドルで終了し た。過去1年間では2%、月初来では1.8%の値上がり。

◎欧州株:ほぼ変わらず、テレシンコ高い-サンドビック下落

欧州株式市場では、ストックス欧州600指数はほぼ変わらず。 スペインのメディア企業、ヘステビション・テレシンコはライバル 企業の買収が承認されたことが好感され上昇。一方、スウェーデン のサンドビックは決算が嫌気され下落した。同指数は、月間ベース では上昇した。

テレシンコは、スペインの反トラスト当局が同業のクアトロ買 収を承認したことを受けて値上がり。世界最大の金属切削工具メー カー、サンドビックの7-9月(第3四半期)利益はアナリスト予 想に届かなかった。ギリシャのピレウス銀行は下落。株主割当増資 により8億ユーロを調達する計画を発表したことに反応した。

ストックス欧州600指数は前日比ほぼ変わらずの265.96で 終了。今週は0.3%安。今月は2.4%上昇となった。

クレディ・スイス・プライベート・バンキングの資産配分担当 グローバル責任者、マイケル・オサリバン氏は、ブルームバーグテ レビジョンのインタビューで、「短期的には、量的緩和の成功を市 場が織り込んでしまっているということが若干のリスクとなるかも しれない」と分析。「多くの人が考えるように量的緩和が効果を発 揮するかについては、多少疑問がある」と述べた。

テレシンコは6.9%高の9.17ユーロ。上昇率は5月以降で最 大。サンドビックは4.3%安の100.70クローナ。ピレウス銀は

4.4%下げて3.74ユーロ。

◎欧州債:ギリシャ国債が下落、財政懸念で-独国債には買い

欧州債市場ではギリシャ国債が下落。同国債を中心に周縁国の 国債は週間ベースで値下がりした。ギリシャの財政目標達成が難航 するとの懸念から、ドイツ国債との利回り格差は過去1カ月の最大 に拡大した。

ドイツ国債は上昇。欧州連合(EU)が提唱した債務危機防止 策が投資家にとっては不利に働くとの懸念が広がり、比較的安全と される資産に買いが入った。ポルトガル国債は週間で下落。世論調 査によると、野党の社会民主党(PSD)の支持率はソクラテス首 相率いる社会党に対するリードを広げた。

BNPパリバ(パリ)のシニア債券ストラテジスト、パトリッ ク・ジャック氏は、「周縁国は引き続き脆弱(ぜいじゃく)だ」と 指摘。「ギリシャの状況は依然として苦しい」と述べた。

ロンドン時間午後4時1分現在、ギリシャ10年債利回りは前 日比19ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の

10.68%。同年物の独国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は 809bpと、終値ベースでは9月30日以来の最大に拡大した。同 スプレッドは今月1日以降、800bpを超えていなかった。

ドイツ10年債の利回りは前日比4bp低下の2.53%。月間 では、2009年5月以降で初めて2カ月連続で上昇した。独国債は 米連邦準備制度理事会(FRB)が米国債の購入を拡大するとの観 測に支えられた。

◎英国債:上昇、10年債利回り3.08%-2年債は0.67%

英国債相場は上昇。10年債利回りは前日比7ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下の3.08%。同年債(表面利回り

4.75%、償還2020年3月)価格は0.57上昇の113.48。2年 債利回りは4bp低下の0.67%。

10年債利回りは週間では13bp上昇。27日には3.19%と、 8月11日以来の高水準をつけた。2年債利回りは週間で3bp上 昇。

ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS) がまとめた指数によると、英国債の年初からの投資収益率は7.8%。

7.7%の独国債は上回っているが、米国債の8.4%は下回っている。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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