財務省:10月の介入額はゼロ-円売り介入控え、通貨安競争を回避

日本政府による10月の為替市場 介入額はゼロ円だった。円・ドル相場は戦後最高値に迫っているが、6 年半ぶりの円売り介入に踏み切った9月とは一転、輸出に有利な自国通 貨安を求める競争の回避に配慮した格好となった。

財務省が29日発表した9月29日から10月27日までの「外国為 替平衡操作の実施状況」で明らかになった。介入額ゼロは2カ月ぶり。 政府・日本銀行が2004年3月以来の円売り介入を実施した9月(8月 30日-9月28日)の実績は2兆1249億円だった。03年初から04年 3月にかけては約35兆円、円売り介入した経緯がある。

午後7時3分時点の円・ドル相場は1ドル=80円84銭前後。財 務省の発表前は80円80銭前後で推移していた。

円・ドル相場は10月25日に一時、80円41銭に上昇。15年半ぶ りの高値をつけた。介入を実施した9月15日の82円台後半を上回り、 5月の年初来安値からは約15.3%上昇。1995年4月に記録した戦後 最高値79円75銭に迫っているが、米金融緩和観測を背景としたドル 安基調は、なお終息していない。

クレディ・スイス証券の深谷幸司チーフ通貨ストラテジストは発表 前に、10月の介入額ゼロは「予想通りだ。G20も通貨安競争の回避を 求めている」と指摘。政府からの円高けん制発言もあるが、歴史的な水 準なので「ドル買い需要もある程度は出てきている」と説明した。

G20、切り下げ競争回避

20カ国・地域(G20 )財務相・中央銀行総裁会議は23日の共同 声明で、為替問題に関する基本姿勢を初めて表明。「経済のファンダメ ンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映し、より市場で決定される為替 相場システムに移行し、通貨の切り下げ競争を回避する」と強調した。 先進国については「為替レートの過度の変動と無秩序な動きを監視する 」ことで合意した。

国際通貨基金(IMF)は28日、主要20カ国・地域(G20)当 局向けの報告書を公表し、ファンダメンタルズに照らすとドルは「強 め」、円とユーロ、ポンドは「ほぼ沿っている」との認識を示した。人 民元は「かなり過小評価されている」と指摘。29日の読売新聞電子版 によると、同報告書は日本や新興国の為替介入が「保護主義の亡霊をよ みがえらせ、世界経済の回復を失敗させる」と批判した。

欧州連合(EU)は29日、首脳会議後の声明で、G20に保護主 義と通貨切り下げ競争の回避を呼び掛ける。ブルームバーグ・ニュース 入手した草稿で明らかになった。

断固たる措置

政府は、円急騰などがあれば円売り介入も辞さない構えを崩してい ない。野田佳彦財務相は29日午前の会見で、為替相場を重大な関心を 持って見守っており、必要な時は断固たる措置を取ると述べた。

世界的な金融危機の後、輸出と政府の景気対策によって回復してき た日本経済は、世界経済の不確実性の高まりや円高を受け、足踏み状態 に陥っている。日銀の企業短期経済観測調査(短観、9月調査)では、 大企業・製造業の想定為替レートは今年度89円66銭だった。

米連邦準備制度理事会(FRB)は11月2、3日の連邦公開市場 委員会(FOMC)で5000億-1兆ドル規模の米国債購入を打ち出す と市場関係者は予想。足元までのドル安基調をもたらしている。

日銀は5日、政策金利を従来の0.1%から0-0.1%に変更。物価 の安定が展望できる情勢になるまで実質ゼロ金利政策を継続すると表明 した。長・短期国債やコマーシャルペーパー(CP)、社債、指数連動 型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J=REIT)などを買 い入れるため、臨時に5兆円規模の基金創設を検討するとした。

28日には、買い入れ資産の内訳などを決定。次回の決定会合をF OMC明けの11月4、5日に前倒した。白川方明総裁は28日の記者 会見で、日程変更はFOMCを「意識してのことではない」と説明。た だ、日銀は米金融緩和観測が浮上していた8月10日の決定会合で金融 政策の現状維持を決定。FOMCは同日、償還される保有証券の元本を 米国債に再投資する景気浮揚策を打ち出した。円・ドル相場は翌11日、 約8カ月半ぶりに95年7月以来の高値を更新した経緯がある。

Editor:Joji Mochida, Takeshi Awaji

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 野澤茂樹 Shigeki Nozawa

+81-3-3201-3867 snozawa1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Rocky Swift +81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE