東電:純利益予想上方修正も株価の戻りは重そう-大規模増資の余波

史上最高の猛暑で夏場の販売電力量 が伸びたものの、9月末に発表した巨額増資の影響懸念は払しょくでき なかった。東京電力は今期(2011年3月期)の連結純利益予想を800億 円に上方修正したが、ブルームバーグ・ニュースが集計したアナリスト による予想の1093億円(中央値)には届かず失望感を誘った。29日の 株価は高値引けしたものの、週明けの上値は重いとの見方が多い。

決算記者会見でも質問が集中したのは、巨額増資の発表後に株価が 急落した「東電ショック」をめぐるものだった。10年国債金利とほとん ど変わらぬ低金利で資金調達ができるにもかかわらず、1株利益の希薄 化を招き投資家の反発が強い増資になぜ踏み切ったのか、株主なら誰で も思う疑問が武井優副社長に振りかかった。

武井氏は「リーマンショック後、社債市場で投資家層が薄くなっ た」と指摘したうえで「以前であれば、1回の発行額が500億円程度 であったものの、この2年間は1回の発行額が300億円程度に低下し た」と説明した。

東電は9月末、最大5550億円に上る公募増資を発表した。発電時に 二酸化炭素(CO2)を排出しない原子力発電所と熱効率の高い最新鋭 の火力発電所への投資、米国の原発増設計画など海外事業に投資する予 定。

大規模増資が株価に与えた影響は大きかった。東電の株価は増資発 表前の2400円(4-9月の平均)から下落し、今月27日には25年ぶりの 安値1860円を付けた。その間の下落率は20%以上に達し、円高でさえ ない展開が続いている東京株式市場の中でも弱さが目立っている。

武井氏は「ひとつのマーケットの評価として事実として受け止め る」としながらも「ロードショー(投資家説明会)では中長期的なビ ジョンが理解された」と述べた。

29日の株価は、今期純利益予想が800億円に上方修正されたと伝わ った大引けにかけて急騰し、前日比46円(2.5%)高の1925円で引けた。

ドイツ証券の電力・ガス担当アナリスト、直原知直弘氏は決算発表 前の電話インタビューで、新潟県柏崎刈羽原子力発電所の再開が進めば 燃料費のコスト削減につながり通期純利益予想を再度上方修正する可能 性があると述べた。

直原氏は今後の東電の株価については、好材料を既に織り込んでい ることから上値余地はそれほどないとみている。同氏は東電の株式を 「ホールド」にしている。

29日に発表した2010年4-9月期の連結純利益は前年同期33.2% 減の923億円。営業利益は2%減の2358億円。売上高は8.5%増の2兆 7100億円。上半期の販売電力量が半期としては過去最高の1507億キロ ワット時に達したことが背景。

取材協力:稲島剛史

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