【日本株週間展望】小動き、FOMC後のマネー潮流警戒-政策も漂流

11月1週(1-5日)の日本株相 場は、日経平均株価が9000円台前半で小動きとなりそうだ。東京市場 が3日の祝日休場中に、米国では追加の量的金融緩和の有無を決める連 邦公開市場委員会(FOMC)、政権党の劣勢が伝えられる中間選挙の 結果が判明する。重要日程通過後に投資マネーの潮流が変わる可能性も あり、市場参加者は買いに慎重になる。

ドイツ銀行金利調査チームのグローバルヘッド、ドミニク・コンス タム氏は、「金融市場の原動力として作用してきたのは経済指標ではな く、量的緩和への期待」との認識だ。ただ、米金融当局高官の発言など から、連邦準備制度理事会(FRB)が市場期待以上の量的緩和策を打 ち出す可能性は低く、8月末から量的緩和要因に過剰反応してきた資産 は「急激な反落リスクに直面しやすい」と言う。

世界の景気は足元伸び悩んでいる。経済協力開発機構(OECD) が毎月公表する景気先行指数は、直近分の8月に102.9と前月比0.1ポ イント低下し、2カ月連続のマイナスとなった。主要国では日本を除き 米国、欧州が低下。新興国でも、景気過熱やインフレ抑制策の影響で中 国が8カ月連続、ブラジルが5カ月連続、インドネシアが4カ月連続の マイナスと、勢いの鈍化は主要国に先行する。

しかし、景気動向に反し米ダウ工業株30種平均、独DAX指数は 年初来高値圏で推移、インドネシアのジャカルタ総合指数は過去最高値 を付けた。過剰流動性相場への期待で市場にあふれ出た資金は、原油や 金、銀など商品市況の高騰、豪ドルなど資源国通貨高を演出した。「不 況期の株高」さながらの現状は、米国の量的緩和観測を背景に投資家が より高リスク・高リターンを志向した結果にほかならない。

規模予想さまざま、期待外れのリスク

FRBは11月2、3両日にFOMCを開く。市場は追加の量的緩 和実施は濃厚と読むが、当局の資産購入プログラムの最終的規模の予想 については、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが1兆ドル、ゴー ルドマン・サックスが2兆ドル、シティグループによる市場関係者への アンケート調査の平均は5600億ドルなど大小さまざまだ。

一方、FOMC副議長のダドリー・ニューヨーク連銀総裁がFRB のバランスシート拡大を完ぺきな手法でないとしているほか、仮に大規 模な量的緩和を行った後の当局のインフレ統制力は未知数だ。また「い きなり1兆ドルか、毎月1000億ドルずつかなど手法によっても印象は 違う」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフスト ラテジストは指摘しており、前のめりだった緩和期待もここにきてやや 修正を迫られている。

「量的緩和の規模が期待外れだった場合、新興国の株式市場もポジ ショニング、バリュエーションの観点から先進国に比べリスクがある」 とは、ドイツ銀のコンスタム氏。これまでの新興国傾斜、欧米や日本敬 遠の構図は10月のメリルリンチ投資家調査でも顕著で、新興国に対す る強気度は33%から37%に上昇した半面、日本株をオーバーウエート としている比率からアンダーウエートを引いた数値はマイナス32%か らマイナス35%と、弱気の比率が拡大した。

国内業績良好

新興国市場に入り過ぎたマネーが逆流すれば、主要国が恩恵にあず かる可能性もある。特に日本は、OECD景気先行指数で17カ月連続 のプラスで、決算発表もまずまず良好。みずほ証券リサーチ&コンサル ティングがまとめる東証1部銘柄のリビジョン・インデックスは、27 日時点で10.8と20日時点の5.8から上昇している。同指数は企業業績 の勢いを示し、上方修正回数から下方修正回数を引いたものだ。

ただ、日本も円高リスクや中国との政治摩擦を抱えている。グロー バリゼーションが深化した過去5年の世界株式の動きを見ても似通った チャート形状で、新興国調整時に日本株も相応の影響を免れない。「成 長力で新興国に妙味があるのは変わらず、ボトムアップで日本株を買う 状況にない。業績の良い銘柄が買われても、一方で悪い銘柄を売るロン グ・ショートの動きが出やすい」と東海東京証券エクイティ部の倉持宏 朗部長は見ている。

TPP、海外勢変化誘う試金石

11月中旬からの横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC) 首脳会議に向け、「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)参加をめ ぐり国際社会から自由化の波も寄せきた。しかし、TPPに参加した場 合の国内総生産(GDP)への影響試算では、内閣府や経済産業省のプ ラスに対し、農林水産省はマイナスと真っ向から対立する。

先ごろ欧州歴訪で現地投資家と会合を持った三菱Uモルガン証の芳 賀沼氏によると、「外国人投資家の日本株に対する認識の現状は、『無 関心』」。極端なケースだが、大陸の一部ファンドでは日本株ウエート をゼロにしているところもあった。

昨年以降の海外投資家の日本株売買を見ると、2009年1-3月が 2兆5378億円売り越し、4-6月が7886億円買い越し、7-9月1兆 4671億円買い越し、10-12月2兆596億円買い越し。10年1-3月は 2兆2843億円買い越したが、その後4-6月7619億円売り越し、7- 9月2730億円買い越しと、絶対金額は縮小傾向にある。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、国 益主張に積極的な海外諸国と対照的に「日本は外交面で弱腰、内向きの 権力闘争に明け暮れ、海外投資家の日本株への関心低下につながってい る」との見方だ。自ら「奇兵隊内閣」と称した菅政権は、攘夷か開国か 高度な政治判断を迫られ、株式市場も行方を見守っている。

11月1週の主な予定は、国内では引き続き決算発表が相次ぎ、時 価総額上位では5日にトヨタ自動車が予定。エコカー補助金制度終了後 の自動車業界を見通す上で、動向は気掛かりだ。このほか4、5日には 日本銀行が金融政策決定会合を開催。海外では、2日に米国で中間選挙 があり、5日は10月の米雇用統計が発表される。

【市場関係者の当面の日本株見通し】 ●中央証券株式部の大越秀行部長

リバウンド局面に入ると見る。国内の決算発表は円高などのリスク を織り込みながらも通期で利益を確保する企業が目立ち、業績に対する 過度の悲観論は後退するだろう。信用買い残の整理も進み、相場は下値 を切り上げてもおかしくはない。FOMCで追加の金融緩和が発表され れば、材料出尽くしから米国株や商品相場は下落する可能性はあるが、 スピード調整にとどまれば、日本株は出遅れ修正となろう。

●日本アジア総合研究所の黒川達夫主席テクニカルアナリスト

9月30日の日経平均終値は9369円。均衡表で言うと、基準線をつ くる値の片割れで、今後のトレンドを示す重要な数値だ。29日にこれ 大きく下回り、均衡表上は下に放たれたため、チャートは下だ。個人は 痛んでいる状況で、外国人がここから買ってくるかだが、これまでのパ フォーマンスで見劣りする日本株を買う訳がない。慈善事業で株を買っ ている人はいない。

●三菱UFJモルガン・スタンレー証券の山岸永幸ストラテジスト

こう着が続いていた日本株は29日に下方向に振れたが、まだ相場 下落の入り口にいる可能性が高い。日銀が次回の政策決定会合をFOM C直後に変更したが、金融市場の反応は瞬間的だった。これは、仮に日 銀が前倒しで緩和措置を実施しても、手段・規模ともに限られ、インパ クトは小さいと投資家が見ていることを反映している。日米の相対的な 金利低下余地の観点から、ドル売り・円買いの動きに歯止めをかけるの は容易でない。9月の鉱工業生産も悪く、電子部品や自動車を中心に製 造業には当面、下期以降の業績悪化を警戒した売りが出やすい。

--取材協力:常冨浩太郎、鷺池秀樹、河野敏 Editor:Makiko Asai、 Shintaro Inkyo

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