増資前の不自然売買めぐる観測、東証も認識-信頼性低下恐れとの声も

公募増資前の不自然な売買をめぐ り、東京証券取引所と証券取引等監視委員会(SESC)が調査してい るとの観測が29日の日本株市場で広がった。仮に具体的なインサイダ ー取引事件に発展すれば、同市場の信頼性そのものが低下すると警戒す るとの声も、一部専門家の間から出ている。

28日付のフィナンシャルタイムズ(FT)電子版は、東証とSE SCが直近の増資に関連するインサイダー取引を調査していると、報じ た。また、日本経済新聞(電子版)も29日、東証が過去数カ月間に公 募増資を行った企業の株価に不審な動きが見られることから、インサイ ダー情報に基づいた不正な取引がなされているかどうかの調査を進めて いることを明らかにした、と伝えている。

日本株市場では、7月以降に公募増資に関連して国際石油開発帝石 や東京電力、日本板硝子など発表前に売買が増加し、株価が下落する銘 柄が相次いでいる。東証・広報担当の高橋直也課長は、「公募増資前に 不自然な売買が行われ、空売りで売り崩されるという見方があることは 認識している」と、ブルームバーグの取材に対し述べた。

ただ高橋氏は、売買審査部ではインサイダー取引が疑われるケース では常に適切に調査を行っていると強調した上で、「個別の銘柄で調査 しているかどうかは答えられない」としている。SESCの寺田達史総 務課長も、「増資の前後の異常な値動きがある銘柄については、リサー チする対象となる」とした上で、「個別の銘柄で調査しているかについ てはコメントできない」と話した。

一方、東京電力は29日、「東証が過去数カ月間に公募増資を行っ た企業の株価に不審な動きが見られることから調査を進めている」との 日経新聞電子版の報道に対し、「情報管理を徹底しており、当社から情 報が漏れたとは考えられない」と広報の岸野真之氏がブルームバーグの 電話取材に答えた。

市場関係者が不自然売買に敏感になるのは、相次ぐ巨額増資に対す る投資家の不信感が根強いため。みずほ証券の北岡智哉ストラテジスト はFT報道を受け、「仮に具体的なインサイダー取引事件に発展すると すれば、短期的に日本株市場の信頼を低下させる可能性がある」と指摘 した。

さらに、資本コストを無視した増資が既に投資家の信頼を低下させ ているなら、今回の結果には関係なく、一定以上の希薄化を伴う増資決 定を株主総会に諮るなどといった「今後のルール整備に向けた道筋の方 が重要」だと強調している。

たとえば板硝子株の場合、公募増資の実施観測から8月20日に売 買高が前日比2.7倍に急増し、株価は前日比6.5%安の203円と急落し た。会社側は24日に公募増資の実施を発表した。

--取材協力:河元信吾、中山理夫、林純子Editor:Shintaro Inkyo、 Makiko Asai

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