日生など大手生保、円債投資を加速へ-インフレ懸念で米債の妙味低下

日本の大手生命保険会社は、円 債への投資を増やしつつある。日本銀行のデフレ回避策が奏功せず、米 国債も今年3月以来で最も悪いパフォーマンスになりそうな雲行きだか らだ。

日本生命保険、第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の 大手4社は円債投資を増やす方針を表明している。10月14日に行わ れた30年債の入札は応札倍率が5.4倍に達し、8年ぶりの高倍率とな った。

日本の投資家は、利回りが世界で最も低い水準の0.91%程度でも 10年国債を購入している。日本は消費者物価が年間で0.9%下落し、 実質金利が1.81%に達しており、10年物米国債の実質金利ベースの

1.58%を上回っているからだ。

最大手の日本生命の松永陽介財務企画部部長は10月20日、2010 年度下期の資金運用計画の説明会で、主に安定的な利回りを確保できる 円建て資産の残高積み増しを継続する方針を表明。第一生命も国内債券 の投資残高を積み増す方針を明らかにした。

また、明治安田生命は償還期間が一段と長い債券への投資を選好す る考えを示し、住友生命も主に長期・超長期の日本国債に投資する意向 を明らかにした。

デフレ克服できず

政府・日銀が景気浮揚策を発動しても、日本経済はデフレを克服で きていない。円の対ドル相場が1-8月で約10%も上昇し、輸出主導 型の日本経済に暗雲を投げ掛けるなか、政府・日銀は9月、円売り・ド ル買い介入を実施。しかし、円相場は10月25日、1995年4月以来の 高値となる80円41銭を付けた。

また、日銀は10月、短期金利の誘導目標をそれまでの0.1%から 「0-0.1%程度」に引き下げるとともに、国債やコマーシャルペーパ ー(CP)など金融資産を買い入れる5兆円規模の基金を創設した。

米フランクリン・テンプルトン・インベストメンツで409億ドル (約3兆2700億円)規模のテンプルトン・グローバル・ボンド・ファ ンドを運用するマイケル・ヘイセンスタブ氏は、政府・日銀は「経済の 活性化もデフレ脱却もできて来なかった」とし、「現在の政策手段は機 能していない」と指摘した。

薄れる米債の妙味

米国債の投資妙味が薄れる一方で、日本国債への投資選好は増して いる。米国債の利回りは、投資家がインフレ加速を見込んでいることを 示している。連邦準備制度理事会(FRB)が景気浮揚に向け、新たに 米国債を買い増すとみられるからだ。

トレーダーらの物価上昇期待を示す米10年債と同年限のインフレ 連動債(TIPS)の利回り格差は10月27日、2.2%に拡大、5月 18日以来の高水準に達した。

DIAMアセットマネジメントのポートフォリオ・マネージャー、 山本拓也氏は「足元の米国債の金利上昇は量的緩和再開によるインフレ 率の上昇を織り込んだ動き」とみている。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ指数によると、期 間10年および10年超の米国債は10月、3.9%下落したのに対し、同 年限の日本国債は1.5%下げた。

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