円が対ドルで約15年半ぶり高値に接近-米緩和警戒やリスク回避

東京外国為替市場では、円が対ド ルで一時1ドル=80円54銭と、25日に付けた1995年4月以来、約 15年半ぶりの高値80円41銭に接近した。米国の追加緩和策を警戒し たドル安の流れが続く中、アジアの株価下落を受けてリスク回避の動 きに伴う円買いが活発化した。

この日は円が主要16通貨に対し全面高となった。81円ちょうど を挟む水準で早朝の取引を迎えたドル・円相場は、月末の需給に絡む 円買い需要の観測もあり、円がじり高に展開。日経平均株価が下落幅 を拡大したなかで、円も80円台後半に水準を切り上げ、正午すぎには 80円54銭を付けた。午後3時55分現在は80円65銭付近。円は対ユ ーロでも一時1ユーロ=111円88銭と、20日以来の水準まで急伸した。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、米連邦公開市場 委員会(FOMC)を控えて、先行きの不透明感から、「投資資金が警 戒感を増した」として、リスクを回避する動きが「円高方向に効いた」 と説明。さらに、米国では国内総生産(GDP)が発表されるが、「悪 い内容となれば量的緩和が長期間固定していくという見方につながり やすい」として、ドルが一段安になる可能性もあるとみている。

この日は米国で7-9月のGDPや10月のミシガン大学消費者 マインド指数などの経済指標が発表される。

株安・円高で「負のスパイラル」

日経平均株価は午後の取引開始後に下げ幅を拡大し、一時は9179 円15銭まで下落。前日比163円58銭安の9202円45銭と9月9日以 来の安値でこの日の取引を終了した。

東海東京証券金融市場部の二瓶洋トレーディンググループマネー ジャーは、株の下落を受けて、リスク回避的な動きが出て円高につな がり、さらに円の上昇が株価を押し下げるという「負のスパイラル」 に陥っていると指摘。この日の東京市場ではクロス・円(ドル以外の 通貨と円の取引)での円買いに「火が付く」格好になったと説明して いる。

そうした中、野田佳彦財務相は午前の閣議後に会見し、円高で推 移している為替相場について、重大な関心を持って見守っており、必 要な時は断固たる措置を取る姿勢を示した。また、海江田万里経済財 政担当相も閣議後の記者会見で、デフレ脱却に向けて、政府と日銀が 一体になってさらに努力すると述べた。

さらに、この日は財務省が「外国為替平衡操作の実施状況」を発 表する。二瓶氏は、介入をしていなかったことが明らかとなれば、前 回の介入が「一過性」のものだったと受け止められかねず、先行きに ついて80円割れの局面でも実弾介入は出ないとの見方につながる可 能性があると分析する。

米追加緩和観測がドルに重し

一方、来週11月2、3日に米FOMCを控えて、28日には、連 邦準備制度理事会(FRB)が今後6カ月間の資産購入規模の予想や その利回りへの影響について調査していることが明らかとなった。こ れを受けて、大規模な資産購入に踏み切る可能性も残るとの見方から、 米国債相場が反発。2.7%台に乗せる場面も見られていた10年債の利 回りは2.6%台に低下している。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の久保信明バイスプ レジデントは、米国の追加量的緩和に対する観測で債券相場が右往左 往し、為替もそれに応じた動きになっているというところは変わらな いと指摘。「きのうは多少なりとも規模の部分で上方修正するイメージ があったのか、債券相場が回復し、それを受けた米金利低下がドルを 押し下げる感じになっている」としている。

また、国際通貨基金(IMF)は28日、主要20カ国・地域(G 20)当局向けのリポートを発表し、米経済動向と比べるとドルは「強 め」であるとの認識を示した。

東海東京証の二瓶氏によると、IMFの同リポートを受けて、国 内機関投資家の間で、ドルの先安観が強まった。このため、米国の追 加緩和観測を背景に「ドル安基調が定着」する中で、市場は安心して ドルを売っている状況に陥っているともいう。

-‐Editor:Masaru Aoki, Joji Mochida

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