9月の消費者物価は2カ月ぶりに下落率が拡大-1.1%低下

(第5段落にコメントを追加し、更新します)

【記者:日高 正裕】

10月29日(ブルームバーグ):9月の全国の消費者物価指数は、 前年比の下落率が2カ月ぶりに拡大した。米国を中心とする海外経済 の減速懸念や円高の影響で、景気の先行き不透明感が強まっており、 デフレ脱却の時期は後ずれする可能性が出ている。

総務省が29日発表した9月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食 品、コアCPI)は前年同月比1.1%低下と19カ月連続のマイナスと なった。10月の東京都区部コアCPIは同0.5%低下だった。ブルー ムバーグ・ニュースがまとめた予想中央値は全国が1.0%下落、東京 は0.8%低下だった。前月はいずれも1.0%低下だった。

日銀は28日公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、 2011年度のコアCPIは前年度比0.1%上昇と、大方の予想に反して 7月中間評価の見通しを据え置いた。しかし、来年夏に予定される5 年に1度の基準年改定で消費者物価指数の前年比は下方修正される公 算が大きく、デフレ脱却はなお遠いとの見方が強い。

CPI総合指数は9月の全国が前年同月比0.6%低下、10月の東 京都区部は0.3%上昇だった。前月はそれぞれ0.9%低下、0.6%低下 だった。変動の大きな食料(酒類除く)とエネルギーを除く「米国型 コアCPI」は、9月の全国が1.5%低下、10月の東京都区部は0.6% 低下だった。前月はそれぞれ1.5%低下、1.3%低下だった。

10月からはたばこ増税の影響も

東京都区部のコアCPIの下落幅が縮小したのは10月1日から 値上げされたたばこの影響が大きい。大和総研の熊谷亮丸チーフエコ ノミストはそれに加え、「市場コンセンサスから上振れた主な要因は傷 害保険料の上昇といった特殊要因であり、物価の基調が好転したとは 言えない」と指摘。東京都区部などの動きから推計すると、来月発表 される10月の全国コアCPIは前年比0.8%低下程度と予想している。

アールビーエス証券の西岡純子チーフエコノミストは先行きにつ いて「需給ギャップを大幅に抱えた状態で、景気は10-12月より足踏 み感を強めるとみられ、かつ円高もしばし続くと見通せば、CPIは 当初想定よりもプラス圏への回復が遅れるとみるべきだ」という。29 日午前の東京市場で円相場は1ドル=80円台後半で推移している。

来年夏に予定されている消費者物価指数の2005年から10年への 基準年改定の影響も見過ごせない。モルガン・スタンレーMUFG証 券の佐藤健裕チーフエコノミストは「改定後の消費者物価指数の下落 率拡大が予想される」と指摘する。5年前の前回改定では前年比0.5 ポイント程度の下方改定が行われた。足立氏は今回も基準年改定が「コ アCPIを0.4-0.5ポイント押し下げる要因」になるとみる。

11年度のプラス転化は困難

日銀は5日の会合で政策金利を「0-0.1%」とするとともに、物 価の安定が展望できる情勢になるまで実質ゼロ金利政策を継続すると 表明した。日銀の「中長期的な物価安定の理解」は、CPI前年比で 2%以下のプラスで、委員の大勢は1%程度を中心と考えている。ブ ルームバーグがまとめた日銀ウオッチャー15人対象の調査では、11 年度のコアCPI前年比見通しの中央値はマイナス0.2%だった。

日銀の11年度見通しはマイナス転落が回避されたが、第一生命経 済研究所の新家義貴主任エコノミストは「先行きの物価下落幅縮小ペ ースは緩慢なものにとどまる可能性が高く、11年度中にCPIコアが プラス転化することは難しいだろう」としている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE