失業率は低下、有効求人も改善-先行きは悪化のリスクも

9月の国内雇用指標は、完全失業 率が3カ月連続で低下し、有効求人倍率も改善した。年前半からの景 気持ち直しが雇用環境に及んできた形だが、先行きはアジア向け輸出 の鈍化や生産の減少などから景気の不透明感が増しており、雇用情勢 が再び悪化する懸念も指摘されている。

総務省が29日発表した労働力調査によると、9月の完全失業率 (季節調整済み)は5.0%と、前月から0.1ポイント改善した。男女 別では、男性が5.5%、女性が4.3%。一方、厚生労働省が発表した9 月の有効求人倍率(季節調整値)は0.55倍と前月を0.01ポイント上 回った。その月に新たに受け付けた求人数である新規求人倍率は0.91 倍で、前月から0.03ポイント上昇した。

ブルームバーグ・ニュースによるエコノミスト調査の予想中央値 は、完全失業率が5.1%、有効求人倍率は0.55倍。

政府は10月の月例経済報告で、「景気はこのところ足踏み状態」 とし、輸出と生産の弱含みを主因に基調判断を1年8カ月ぶりに下方 修正した。失業率も「高水準にあるなど厳しい状況」との認識を示し た。失業率は6月に5.3%まで上昇後、9月まで3カ月連続で改善し たが、先行き再上昇するリスクがある。

三菱総合研究所の武田洋子シニアエコノミストは、「雇用環境は厳 しい状況が続く」と述べ、先行きは「少なくとも改善のテンポが止ま り、場合によっては悪くなる状況が続く可能性がある」と指摘。その 理由として、政策効果のはく落や輸出の増勢鈍化による生産の減少に 加え、円高の進行を指摘。「足元では不確実性が高いため、企業は新規 雇用に躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ない」と語った。

乗用車に駆け込み需要-消費支出

一方、総務省が同日発表した9月の家計調査によると、2人以上 の世帯の消費支出は27万5367円で、前年同月比横ばいだった。ブル ームバーグ・ニュースのエコノミスト調査の予想中央値は同0.8%の 増加。一方、季節調整済み前月比は0.4%の減少だった。

第一生命経済研究所の岩田陽之助エコノミストは統計発表前に、 10月1日からのたばこの値上げ前の「駆け込み需要が発生したことが 増加に寄与すると考えられる」とする一方、乗用車については、「9月 上旬のエコカー補助金支給終了以降に販売が大きく減少しており下押 しとなろう」と指摘。

その上で「全体としては小幅な増加にとどまる」と予想。残暑の 影響については「エアコンなどの販売が好調であった反面、秋物衣料 が販売不振となっており、トータルで見たときの効果は現時点では判 断し難い」としていた。

最近の消費関連指標をみると、9月の国内小売業販売額は、前年 同月比1.2%増となった。業種別では、機械器具や燃料、自動車、飲 食良品が前年同月比で増えた半面、各種商品や織物・衣服・身の回り 品などが減少した。一方、今後半年間の消費者の購買意欲を示す消費 者態度指数(一般世帯)は、9月に3カ月連続で低下。内閣府は、消 費者心理は「ほぼ横ばい」とし、2カ月連続で判断を下方修正した。

--取材協力:伊藤亜輝, Minh Bui, Theresa Barraclough Editor: Norihiko Kosaka, Keiichi Yamamura

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