日銀展望:11年度0.1%上昇、12年度0.6%上昇-コアCPI

日本銀行は28日午後、経済・物 価情勢の展望(展望リポート)を公表した。2011年度の消費者物価指 数(除く生鮮食品、コアCPI)は委員の中心値で前年度比0.1%上 昇と、7月中間評価の見通しを維持した。12年度は同0.6%上昇と日 銀の物価安定の理解の中心値である1%には及ばず、実質ゼロ金利政 策の解除時期は展望できないとの見方が強い。

ブルームバーグがまとめた日銀ウオッチャー15人の11年度コア CPI前年度比の予測中央値は0.2%低下。予想に反し、日銀は5日 の包括緩和の効果を強めに織り込むことでマイナス見通しを回避した。

日銀は5日の金融政策決定会合で包括的な金融緩和を決定。物価 の安定が展望できるまで実質ゼロ金利を継続すると表明した。日銀の 物価安定の理解はCPI前年比で2%以下のプラスで、委員の大勢は 1%が中心。11年度のコアCPIは夏に予定される5年に1度の基準 年改定で下方修正される可能性が高い上、今回新たに示した12年度の 見通しも1%には遠く、実質ゼロ金利は長期化する公算が大きい。

日銀の実質国内総生産(GDP)の見通し(中央値)は11年度が

1.8%増、12年度が2.1%増。足元の景気は海外経済の減速や円高の影 響で、改善の動きが弱まっている。日銀は先行きについて、需要刺激 策の効果の減衰などから景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続 いた後、緩やかな回復経路に復していくとみている。

基準年改定の影響

コアCPIについては「マクロ的な需給バランスの改善テンポが 緩やかなものとなることを踏まえると、前年比プラスの領域に入るの は11年度中となり、その後12年度にかけてプラス幅を拡大させてい く」と予測している。ただ、今回の見通しは現行の05年基準の指数を ベースにしており、来年8月に予定される10年基準への改定により、 「前年比上昇率が下方改定される可能性が高い」と注記している。

西村清彦副総裁は20日の講演で「改定幅を現段階で見積もるのは 難しいが、後から振り返ってみると、消費者物価指数の下落幅は、思 っていたよりも大きかったというようなことが起こる可能性は考慮し ておく必要がある」と述べた。06年夏の前回改定では、CPIは前年 比0.5ポイント程度の下方改定が行われた。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「プラスの インフレ率の定着は13年度以降との見通しになりそうだ」と指摘。「実 質ゼロ金利政策の解除条件は1%程度のインフレ率が見込まれるよう になることであるため、予測期間中に追加の金融緩和があるとしても、 引き締めはよほどのことがなければ予想されない」としている。

リスク要因

日銀はリスク要因として「新興国・資源国の経済の強まりなど上 振れ要因がある一方、米国経済を中心とする不確実性の強い状況が続 く下で、景気の下振れリスクにも注意が必要」と指摘。さらに、「 新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが 国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の 低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある」としている。

金融政策運営については「物価の安定が展望できる情勢になった と判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続する。また、資産買い入れ 等の基金の創設・活用を通じて、長めの市場金利の低下とリスクプレ ミアムの縮小を促す。これらの包括的な金融緩和政策を通じてより強 力な金融緩和を推進していく」としている。

見通しは次の通り(前年度比、%。は政策委員見通しの中央値)

                       【政策委員の大勢見通し】
                実質GDP  国内企業物価指数  コアCPI
【2010年度】     +2.0~+2.3     +0.7~+0.9     -0.5~-0.3
                                     
7月時点の見通し +2.5~+2.7     +1.2~+1.3     -0.5~-0.2
                                     
【2011年度】     +1.5~+1.9     +0.4~+0.7      0.0~+0.3
                                     
7月時点の見通し +1.8~+2.1     +0.5~+0.9      0.0~+0.2
                                     
【2012年度】     +2.0~+2.4     +0.3~+0.8     +0.2~+0.8
                                     
                       【政策委員の全員の見通し】
                実質GDP  国内企業物価指数  コアCPI
【2010年度】     +2.0~+2.3     +0.5~+0.9     -0.5~-0.2
7月時点の見通し +2.2~+2.7     +1.0~+1.4     -0.5~-0.2
【2011年度】     +1.5~+1.9     +0.4~+1.0     -0.2~+0.4
7月時点の見通し +1.8~+2.1     +0.5~+1.0     -0.1~+0.3
【2012年度】     +2.0~+2.4     +0.3~+1.0      0.0~+0.8
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