僥幸に恵まれる英首相の賭け、景気好調で「運使い果たす」との懸念も

【記者:Jennifer Ryan】

10月27日(ブルームバーグ):キャメロン英首相の予算をめぐる 一世一代の賭けが差し当たっては吉と出ている。英国の7-9月(第 3四半期)の国内総生産(GDP)が予想外に大幅な拡大を示し、景 気の二番底リスクをめぐる投資家の不安が和らいでいる。

英国の7-9月のGDP成長率は前期比0.8%とアナリスト予想 の2倍の拡大ペースとなった。米格付け会社スタンダード・アンド・ プアーズ(S&P)は統計発表後2時間もたたずに英国の格付け見通 し(アウトルック)を「安定的」に引き上げ、格下げの危険がある状 態を脱したと発表。S&Pはキャメロン首相の歳出削減策が英国の最 高格付け維持の防御役を果たしたと指摘した。

キャメロン政権は先週、過去最悪の財政赤字の2015年までの解消 を目指し、公務員49万人の削減を含む戦後最大規模の予算削減策を公 表した。市場はギリシャ型の財政危機を回避するための財政再建の取 り組みを好感し、英国の2年国債利回りは過去最低水準に低下した。

だが、ノッティンガム大学の英国政策センターのディレクター、 スティーブン・フィールディング氏は「キャメロン氏は今のところ運 に恵まれている。しかし、与えられる幸運の量は決まっており、初期 段階の幸運を残らず使っている」と指摘。「景気に悪影響を与えずに 50万人近い公務員を本当に削減することができるだろうか。今後4年 は非常に険しい道のりが待ち受けているだろう」と警告する。

鉄の女よりも幸運

キャメロン首相が歳出削減を打ち出したタイミングは、過去のサ ッチャー保守党政権と比べると思いがけない幸運に恵まれた。1981年 3月に財政緊縮策が発表された当時、英経済はまだリセッション(景 気後退)を脱していなかったが、今年4-9月は2四半期としては 2000年以来の力強い成長となっている。

イングランド銀行(英中央銀行)の元当局者でもあるバークレイ ズ・キャピタルのエコノミスト、サイモン・ヘイズ氏は「英政府は危 ない綱渡りを強いられている」とした上で、キャメロン首相は「消費 者・企業信頼感が何とか持ちこたえているうちに金融市場を満足させ る財政再建策を確実に推し進める」必要があろうと話している。

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