債券下落、米金利上昇で先物1カ月ぶり安値-長期や超長期債売りも

債券相場は下落。米国の長期金利 がインフレ期待の強まりを受けて上昇したことや円高・ドル安傾向が 一段落したことが売り材料視され、先物相場は1カ月ぶり安値圏での 推移となった。現物市場では午後の取引で長期や超長期ゾーンに売り が優勢となった。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、米金利上昇を受けて銀行勢中心に売りが先行したと指摘。30 年債など超長期債には生命保険会社の買いも入ったが、米国の金融政 策を見極めたいとの見方から打診買いの域を出なかったとも言う。

東京先物市場の中心限月の12月物は前日比31銭安い143円11 銭で始まり、一時は143円08銭を付けるなど9月28日以来の安値圏 で推移した。しかし、午前の取引終盤からは下げ幅を縮めて、午後に 入ると12銭安の143円30銭まで戻した。その後は143円20銭付近で のもみ合いが続き、結局は24銭安の143円18銭で取引を終えた。

前日の米国市場では債券相場が下落したほか、ニューヨーク外国 為替市場では円相場がじり安に推移した。みずほインベスターズ証券 の落合昂二チーフマーケットエコノミストは、米国のインフレ懸念が 日本に及ぶ影響は見通しづらいが、米金利の上振れを受けて国内債に も売りが先行したと言い、「短期的には市場センチメントの悪化で投資 家も手を出しにくくなった」と話した。

26日の米国債市場では米連邦準備制度理事会(FRB)による国 債購入が消費者物価の上昇を促すとの見方が広がるなど将来のインフ レ懸念が高まり、米10年債利回りは8ベーシスポイント(bp)高の

2.64%付近で引けた。一方、為替は1ドル=81円台半ばまでドル高・ 円安方向に動き、米国株相場は小幅プラス圏で取引を終えた。

ただ、あすに日本銀行の金融政策決定会合を控えており、午前の 売り一巡後にはもみ合いとなった。クレディ・スイス証券の海老原慎 司債券ストラテジストは、下期の運用といった見地からは債券残高を 積み増したい投資家は多く、日銀の金融政策決定会合前でも一定の現 物買いが入ったもようだとみており、先物市場でも一時は売り方の買 い戻しが優勢となる場面があった。

日銀はあすの会合で金融政策を現状維持とする公算が大きい一方 で、資産買入基金でのコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い入 れ基準を緩和する可能性が高まっている。また、午後3時に公表する 経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2011年度の成長率や物 価見通しを下方修正するとの見方が有力だ。

10年債利回りは0.955%

現物市場で新発10年物の311回債利回りは前日比1.5bp高い

0.925%で始まった。その後も売りが優勢となると徐々に水準を切り上 げ、午後5時前には4.5bp高い0.955%と、新発10年債として今月初 め以来の高水準まで上昇した。

311回債利回りは今週初めまで0.8%台後半でのもみ合いが続い たが、前日午後以降に0.9%台に水準を切り上げ、あすの金融政策決 定会合直前のタイミングでもあり、買いを手控える雰囲気が強まった。

クレディ・スイス証券の海老原氏は、20年債利回りの1.8%付近 で押し目買いが入ったことから、相場はいったん下落後のもみ合いと なったとしながらも、FOMC直前の来週2日に次回の10年債入札を 控えて積極的には動きにくいとも話した。

FOMCまではもみ合いとの見通しが出ていたが、足元では金利 が上昇しており、現物債の需給はなお良好との声も聞かれた。みずほ インベスターズ証の落合氏は、20年債利回りが節目とされる1.8%に 上昇しており、月末に当たって保有債券の年限を長期化する買いが入 りやすいため、「超長期ゾーンの金利上昇が抑えられれば10年債も売 りにくい」と言う。

2年債入札は無難な結果に

一方、この日に実施された2年利付国債の入札は無難な結果とな った。市場では2年ゾーンは大手銀行を中心に潤沢な運用資金を抱え る投資家の資金消化の受け皿になるとされており、クレディ・スイス 証の海老原氏は事前の予想通りしっかりの入札結果だったと評価して いた。

大和住銀投信投資顧問の伊藤氏も、2年ゾーンはもともと買い需 要が旺盛である上、利回り水準も月初の急落後にじりじりと上昇した 後だっただけに、投資家にとって買いやすさがあったと話した。

財務省が発表した2年物の298回債(11月発行)の入札結果によ ると、最低落札価格は事前予想の上限となる99円92銭に決まった。 平均価格は99円92銭2厘となり最低と平均価格の差であるテールは 2厘だった。応札倍率は5.75倍から5.54倍に低下したものの、前回 債に続いて5倍の大台は維持した。

日本相互証券によると、この日に入札された298回債の業者間取 引は0.14%で始まり、その後は0.135%程度で推移している。

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