70年代のインフレの魔物解き放つFRB、TIPSが投資家の期待示す

【記者:Craig Torres】

10月26日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB) のバーナンキ議長が、FRBを再び未知の領域に導こうとしている。 このような局面は2006年の就任後で2度目となる。

バーナンキ議長は来週、金融危機対策として実施した1兆7000 億ドル(約137兆円)相当の証券買い入れ後の追加措置として、大規 模な資産購入の第2弾を開始するかどうかの決定をめぐって、連邦公 開市場委員会(FOMC)会合での議論を取り仕切ることになる公算 が大きい。FRBの政策担当者らの過去1週間の発言がこれを示唆し ている。

フェデラルファンド(FF)金利誘導目標が既にゼロ近くに設定 される中で、FRBはインフレ率の上昇期待を誘導し、実質金利を引 き下げることを目指すと予想される。個人消費を解き放ち、緩慢過ぎ て失業率の押し下げにつながらない景気回復ペースの活性化を図るの が狙いだ。

FRBの資産購入プログラムの最終的な規模の見通しは、バン ク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ・グローバル・リサーチ が1兆ドル、ゴールドマン・サックス・グループが2兆ドルと開きが あるが、まず5000億ドルの購入が11月2、3日に開かれるFOMC 会合後に発表される可能性が高いとの見方で両社のエコノミストは一 致している。しかし、FRBが物価上昇にいったん火をつければ、イ ンフレの制御が困難になる危険が伴う。

ミラー・タバクのチーフ経済ストラテジスト、ダン・グリーンハ ウス氏は、FRBが「実質金利を低下させ、明日になれば物がもっと 安く買えるのになぜ今日消費する必要があるのかという心理を打ち破 ろうとしている」とした上で、そうすることで雇用拡大に十分な成長 を促進したいと望んでいると分析。ただその一方で、「インフレとい う魔物を解き放った1970年代後半のシナリオが現実のものとなるリ スクもある」と警告する。

米財務省が25日実施した5年物インフレ連動債(TIPS)の 入札(発行額100億ドル)は落札利回りが初のマイナスとなった。F RBがインフレに火をつけることに成功すると投資家が考えているこ とが背景にあるとみられる。

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