ドルが対円で15年半ぶり安値付近、米量的緩和観測が重し-80円後半

東京外国為替市場ではドルが対円 で約15年半ぶり安値付近で推移した。米連邦公開市場委員会(FOM C)を1週間後に控えて、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気浮 揚に向け追加金融緩和に踏み切るとの観測が根強く、ドルは1ドル= 80円台後半で上値の重い展開が続いた。

日本時間午後4時15分現在のドル・円相場は1ドル=80円76銭 付近。朝方付けた80円89銭を日中のドル高値に80円台後半で小幅な 値動きが続いたが、徐々に上値が重くなり、午後には一時、80円62 銭までドルが弱含む場面が見られた。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は「G 7やG20はアドホック(その場限り)的にあったイベントであり、基 本的な流れは量的緩和期待を背景としてドル安で、少なくとも11月3 日のFOMCのアナウンスメントまでは続きそうだ」と指摘。また、 FOMC前に日本が介入する可能性はゼロではないとしながらも、「戦 術的にベストのタイミングかというと難しい」と語った。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3900ドル付近までユーロ売りが 先行したが、その動きも続かず。午後にかけてはドルがじり安となり、 一時、1.3982ドルまで値を切り下げた。

米国の量的緩和観測

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は25日、バランスシート拡大が 「完ぺき」な手法でないにしても、FRBは失業率を押し下げる行動 を取る必要があると言明した。FRBの追加資産購入の発表がドル安 につながるとの観測から25日の外為市場でドルが対円で15年ぶりの 安値を付けたことに関しては、ドル相場は金融政策の目標ではないと 言明し、それは米財務省の「管轄だ」と述べるにとどめた。

米ゴールドマン・サックス・グループは調査リポートで、FRB が11月3日のFOMCで金融緩和の第2弾を発表し、米景気を刺激す るため最大で2兆ドル(約162兆円)相当の資産を買い取る可能性が あるとの見方を示した。当局は、10%近い失業率を引き下げるため、 さらなる米国債の購入を検討している。

前日の海外市場では米国の量的緩和観測を背景にドルがほぼ全面 安となり、対円では一時、80円41銭と戦後最安値の79円75銭を記 録した1995年4月19日以来の水準までドル安が進行。対ユーロでは 一時、1.4080ドルと今月15日以来の安値を付けた。

東海東京証券金融市場部トレーディンググループマネージャーの 二瓶洋氏は「11月のFOMCを控えてドル売りが先行しやすい地合い は変わらず、日本からの介入も期待できないという雰囲気が着実にド ルの上値を抑えている」と指摘。79円75銭の最安値もすでに射程圏 内に入っている状況で、「今週中かFOMC前後までに80円という大 きな壁を割っていく局面があるだろう」と語った。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 26日発表される全米20都市を対象にした8月の米スタンダード・ア ンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月 比2.1%上昇と7月(同3.2%上昇)から伸びが鈍化すると見込まれて いる。一方、米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表する10 月の消費者信頼感指数は49.9と、前月の7カ月ぶり低水準(48.5)か ら上昇したとみられている。

介入警戒

野田佳彦財務相は26日午前の参院財政金融委員会で、歯止めが掛 からない円高について、必要な時に断固たる措置を取るという姿勢は 変わらないと強調した上で、為替相場で過度な動きあった場合は日米 欧で協議し対応すると述べた。

野田財務相はまた、午後の衆院財務金融委員会で、「円高の長期化 は日本経済にとって厳しい。為替の過度の変動は甚大な影響を与える。 根拠のない過度な動きには歯止めが必要だ」と言明。日本が今後、外 国為替市場で円売り介入を実施する可能性については、「介入をするか どうか、介入の規模をどうするかは市場への影響があるためコメント できない」と言及を避けた。

前週末に韓国で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行 総裁会議は、輸出促進を目的とした通貨安競争の回避を表明。声明は また、先進国は「為替レートの過度の変動と無秩序な動きを監視する」 と記述した。

バークレイズ銀の山本氏は、日本の円売り介入の可能性について 「日経平均がまだ落ち着いているので過熱感はないが、水準的には名 目実効相場も介入前の水準を上回ってきており、警戒レベルはだいぶ 高くなってきた感がある」と指摘。ただ、「当局もFOMC前に大きく 介入するのはタイミング的に最適ではないと思っているのではないか」 と語った。

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