五十嵐氏:投機的円高に断固たる姿勢-サプライズ介入に効果

五十嵐文彦財務副大臣は25日、 急速な円高に懸念を表明し、投機的動きなどに対し引き続き断固たる 姿勢で臨むとの方針をあらためて示した。その上で、為替市場への介 入について「サプライズ」があれば、為替介入にも一定の効果がある との見方を示した。財務省内でブルームバーグ・ニュースのインタビ ューで語った。

五十嵐氏は、思惑や投機に伴う極端な為替相場の動きは「経済全 体に混乱を招き、世界への悪影響がある」と指摘。排除へ向け「断固 とした姿勢を持つ」と強調した。その上で、「このところの円高はやは り急激なもの」として、「マーケットの実態に注目していかなければい けない」と警戒感を示した。

政府・日銀は先月15日、急速な円高進行を受けて6年半ぶりに円 売り・ドル買い介入に踏み切った。五十嵐氏は介入の効果について「過 去の事実関係を言えば、32兆円ぐらいの断続的な介入をしたが、結果 としてはうまくいかなかった」と指摘。「サブライズのない介入をして も効果は限定的だ。逆にサプライズがあれば一定期間は効果を発揮す ることも分かっている」との見方を示した。

今後の介入の可能性については、「今の時点で何か方向感のあるも のを政府として示すことはできない」と述べるにとどめた。さらに「日 銀に対してもこれ以上政府が要求すると言っても、そうアナウンス効 果があるようにも思えないということも確かだ」との見方を示した。

「暗黙の承認」も介入のポイント

一方、景気停滞が全世界を覆う中、通貨安競争に各国が走る懸念 も出ている。前週末にかけて韓国・慶州で開かれた20カ国・地域(G 20)財務相・中央銀行総裁会議は、共同声明で「経済のファンダメン タルズ(基礎的諸条件)を反映し、より市場で決定される為替相場シ ステムに移行し、通貨の切り下げ競争を回避する」と表明。世界経済 の 回復は「脆弱(ぜいじゃく)であり一様ではない」と指摘した。

五十嵐氏は、為替介入を実施する上での国際協調に関しては「仁 義をきらずにやれるかというと、それはやれないということになる。 暗黙の承認を求められるかどうかが1つのポイントだ」と述べた。

一方、対ドルの円相場上昇には歯止めがかかっていない。25日の 外国為替市場では一時1ドル=80円41銭に上昇、政府・日銀が介入 を実行した先月15日の終値である同85円75銭から5円以上円高が進 んだ。市場は、今後の節目として、11月2-3日に予定される米連邦 公開市場委員会(FOMC)を注視する姿勢だ。

五十嵐副大臣は、「次のFOMCまでは注目して、米国の金融緩和 の期待予測のもとにじりじりと円高が進んできた」と指摘。「日本にと っては好ましいことではない。大変心配している」との懸念を示した。

全体の心理を冷やす-輸出企業への円高

日本の輸出額は、円高や海外経済の停滞を背景として伸び率が縮 小しつつある。9月の輸出額は前年同月比14.4%増の5兆8429億円 と、10カ月連続増加となったが、伸び率は7カ月続けて縮小した。

こうした状況に対応するため、政府も緊急総合経済対策を今月8 日に決定。予算規模は約5.1兆円で、内閣府の試算では、国内総生産 (GDP)を約0.6%ポイント押し上げ、45万-50万人の雇用創出・ 維持効果が見込まれる。

五十嵐氏は、円高進行に伴う国内企業への影響に関して、輸出企 業へのダメージが、日本企業全体に及ぼす心理的影響の大きさを指摘。 円高は輸入面で「大きなメリットもある」としながらも、「心理的に冷 え込むことが問題だ」と語った。

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