日銀口座で「運用」、外銀の滞留資金4兆円超-円高で海外資金が流入

日本銀行の当座預金口座に外国 銀行が預け入れている資金が急増している。円高基調を受けて、海外投 資家の円資産投資の資金が集中しているとみられる外銀にとって、日銀 は安全・確実に0.1%の利息が稼げる「運用」先だからだ。

RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、外銀の日銀預 金が急増している背景について、「為替の円高という意味で海外投資家 が円に投資し、特別な資産には興味がなく、日銀の当座預金や短期国債 に資金を振り向けることはある」と説明する。

銀行は日銀口座に一定額を準備預金として預け入れるように義務 付けられている。日銀が10月18日に公表した9月の業態別当座預金 残高によると、外銀が必要以上に積み上げた超過準備は、平均残高ベー スで前月比1兆1050億円増の4兆5700億円と、量的緩和政策下にあ った2005年11月以来の高水準を記録した。これは邦銀(都市銀行、 地方銀行、第二地銀、信託銀行)の合計額1兆2230億円の3.7倍にあ たる。

量的緩和下の日銀の当座預金は無利子だったが、08年11月から

0.1%の利子を付けた。当時の金融緩和策として日銀が資金供給を積極 的に増やすのに伴い、市場金利が過度に低下するのを防ぐのが狙いだっ た。それ以降、外銀東京支店の超過準備は急速に増え始め、4カ月後に 2兆円を突破。今年6月以降は3兆円を上回っており、日銀が外銀に支 払う1カ月の利息も3億-4億円規模に達している。

これと並行してドル・円相場はいったん1ドル=90円台から100 円台に乗せた後、80円台まで円高・ドル安が進み、足元では15年ぶ りの円高値を付けた。東短リサーチの寺田寿明研究員は、「外銀の超過 準備は円高の進行とともに増えている」という。

運用難で日銀口座に資金シフト

日本証券業協会が発表した9月の公社債投資家別売買高によると、 外国人の国庫短期証券(TB)の買い越し額が10兆円を超え、09年 以降の最高を記録。それに加えて日銀の金融緩和もあり、3カ月物のT B利回りは0.11%を下回るなど、日銀口座の利息とほとんど変わらな くなってきた。

コメルツ銀行東京支店の武藤洋一ディレクターは、「余った資金 は日銀に積んだ方が短期金融市場で運用するより効率的だ」と話し、外 銀資金がTBから日銀口座に移りつつあるとみる。

武藤氏によると、外銀は余ったドルなど外貨を円に交換して日銀 口座で運用することも多いという。「為替スワップ(フォワード)で交 換すれば0.1%よりかなり安く円が調達できるため、日銀に置いても利 ザヤが確保できる。資金の性格として期間が短い運用になるので、日銀 口座に集まりやすいのは事実だ」とみている。

もっとも、東短リサーチの寺田氏は、外銀の超過準備は為替スワ ップ取引だけでは説明できない規模に達しているとして、「海外ファン ドなど投機筋の円資金が外銀の東京支店に集まって、日銀に積み上がっ ている可能性が高い」と指摘する。

邦銀の超過水準は低水準

一方、外銀に比べて預金量が大きい都市銀行の9月の超過準備は 平均で2840億円と、外銀に比べて低水準にとどまっている。都銀の資 金担当者は、日銀の意向を受け止めれば、余剰資金をできる限り市場で 運用することで短期金融市場の機能低下を防ぐ必要があるという。

超過準備のように日銀口座に滞留する資金が膨らめば、当座預金 残高が高水準の割に市場に出回る資金は減る可能性もある。東短リサー チの寺田氏は、「実質的にはないのと同じ資金で、日銀としてもうれし くは思っていないだろう」という。

日銀は今月の金融政策決定会合で国債からETF(指数連動型上 場投信)まで幅広い金融資産を買い入れる5兆円の基金を創設したほか 、新型オペも目標30兆円に向けて残高を積み上げ、金融緩和を拡大す る方向にある。

RBS証券の福永氏は、「日銀がバランスシートを膨らませれば、 誰かが超過準備を増やす必要がある」と指摘。当座預金残高と外銀の超 過準備の推移を比較すると、相関的に残高が増加しており、外銀が緩和 拡大の受け皿になっている側面もあるという。

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