米国債:TIPS入札、初のマイナス利回り-インフレ期待

米財務省が実施した5年物イン フレ連動債(TIPS)入札は、落札利回りが初めてマイナスとな った。投資家が米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ誘発に 成功すると予想していることが示唆された。

5年物TIPSの入札(発行額100億ドル、追加発行)の結果 によると、最高落札利回りはマイナス0.550%を記録した。ブルー ムバーグがまとめたプライマリーディーラー(政府証券公認ディー ラー)7社の予想平均と一致した。新発債は4月発行の銘柄(110 億ドル)と統合される。通常の米国債は上げを失った。

ドイツ銀行の金利ストラテジスト、アレックス・リ氏(ニュー ヨーク在勤)は、「金融緩和を通じてFRBがある程度のインフレを 誘発できるとの市場参加者の期待が示されている」と述べ、「通常の 利回りが非常に低いので、TIPSとの高い利回り格差を狙うには、 5年債TIPSでマイナスの落札利回りが必要になる」と説明した。

TIPSは消費者物価指数(CPI)の変動に応じて、元本が 調整される。TIPSの利回りは通常の国債よりも低く、通常の国 債とTIPSの利回り格差はブレークイーブンレートと呼ばれる。

5年物TIPS

国債局の広報担当官マケイラ・バーデン氏によると、入札で落 札利回りがマイナスを記録できるのはTIPSだけだ。通常の国債 はマイナス利回りで発行されない。

CRTキャピタル・グループの国債ストラテジスト、イアン・ リンジェン氏は、マイナス落札利回りは、「利回りの全体状況を映し 出している。さらにインフレ誘発や物価上昇に対するFRBへの期 待も含まれている。結果的には景気にとってインフレ誘発や物価上 昇はプラスに働くだろう」と述べた。

ブルームバーグ・ニュースがまとめた調査によると、2010年の インフレ率は1.6%が予想されている。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時24分現在、30年債利回りは前営業日比2ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01%)低下の3.91%。一時は7bp下 げて3.86%をつけた。10年債利回りは1bp上げて2.56%。一時 は2.49%まで低下する場面もあった。

金融緩和の正当性

バーナンキ議長は15日、インフレ率が低過ぎるほか、失業率は 高過ぎる状態にあることから、一段の金融緩和が正当化される可能 性があるとの認識を示した。食品とエネルギーを除く9月のCPI コア指数は前年同月比で0.8%上昇と、1961年以来で最低だった。

金融政策当局者は通常、インフレ加速を懸念するが、大恐慌以 来で最悪のリセッションを経験して以来、物価の下落がより大きな 懸念事項となった。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダの金利ストラテジスト、キー ス・ブラックウェル氏は「さらなる金融緩和策観測で、短期的なデ フレ不安の可能性は著しく緩和された。FRBはインフレ期待値の 引き上げに注力している」と述べた。

TIPS入札では、投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.84 倍と、前回の3.15倍を下回った。過去10度の平均値は2.38倍と なっている。

前回4月26日の5年物TIPS入札では落札利回りはプラス

0.550%だった。

財務省は26日に2年債(350億ドル)、27日に5年債(350 億ドル)、28日に7年債(290億ドル)の入札を実施する。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE