米のデフレ懸念後退-債券市場、FRBが物価刺激と予想

米消費者物価指数(CPI)のコ ア指数が50年ぶりの低い伸びとなり景気収縮懸念が強まった後で、債 券市場ではバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は物価上 昇を刺激することに成功するとの見方が広がっている。

FRBが追加資産購入を通じた金融緩和姿勢を打ち出したことか ら、米債券市場では今月、他市場よりも急ピッチに物価上昇期待が強 まった。30年物米国債は同年限のインフレ連動債(TIPS)との利 回り格差が9月以降、最大0.5ポイント拡大し2.61ポイントに達した。 これは5月以降最大の差で、消費者物価の上場期待の表れだ。

中央銀行は通常、インフレの加速をより懸念する傾向があるが、 大恐慌後で最悪の金融危機を受けて持続的な物価下落の方がより大き な不安材料となっている。既に政策金利をほぼゼロに引き下げ、1兆 7000億ドル(約138兆円)相当の証券を購入したFRBは、追加の米 国債購入とインフレ期待の押し上げ戦略を検討している。

フィフス・サード・アセット・マネジメントの債券担当責任者、 ミッチェル・ステープリー氏はFRBの政策について、魔法使いの若 者を描いた小説を基にした「ハリー・ポッターの映画のようだ」と述 べ、「当局は無から金を作り出している。短期的にはインパクトはない かもしれないが、ある時点で確実に作用するとわれわれは感じている。 将来的な成功が見込まれる」と予想した。

CPI

フィフス・サードで220億ドルの運用に携わるステープリー氏は、 9月のCPIが予想を下回る前月比0.1%上昇にもかかわらず、TI PSを購入しているという。労働省の今月15日の発表によると、食品 とエネルギーを除いたコア指数は前月比横ばい、前年同月比では

0.8%上昇と、1961年以来で最少の伸び率だった。

投資家の間では、FRBがインフレを抑制できない場合の固定金 利の価値下落に備えてTIPSへの関心が強まっている。フィラデル フィア連銀のプロッサー総裁は今月22日にフィラデルフィアでのイ ベントで「インフレ率は向こう1年で2%前後に戻るとみている」と 述べ、インフレ加速の「火種」はすでに存在しているとの見方を示し た。

30年物のTIPSと米国債のブレークイーブンレート(利回り格 差)は2008年11月に過去最低の0.57ポイントに低下した。金融危機 で住宅などの資産価値下落がデフレを引き起こすとの懸念が強まった ためだ。

投資家のインフレ期待を示すブレークイーブンレートは、30年物 TIPSの発行が始まった1998年以降、平均で約2.30ポイント。8 月25日には1.84ポイントに低下した。先週はほぼ変わらずの2.54 ポイントで終了。

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