超長期債上昇、午後に投資家の買い-15年半ぶり円高が先物を下支え

債券市場では現物債の利回り上昇 時における投資家の買いが意識されており、この日の午後には超長期 ゾーンで買いが優勢だった。東京外国為替相場が15年半ぶりのドル 安・円高となり、先物相場も取引終盤にかけて下げ渋った。

トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー は、来週にかけて日米両国で注目イベントが続くため持ち高調整の取 引が中心としながらも、「下期の債券残高構築が進んでいない投資家が 多く、きょうは割安とされる超長期ゾーンに買いが入った」と言う。

現物市場では超長期ゾーンで買いが優勢となり、新発20年物の 122回債利回りは前週末比1.5ベーシスポイント(bp)低下の1.745%、 30年物の33回債は同2bp低い1.925%を付けた。

前週までに実施された超長期債の入札では、20年債の1.8%や30 年債の2.0%手前で買い需要がにじみ出ていた。市場では、利回り曲 線上では相対的に割安との指摘が多いほか、今週は月末にあたって保 有債券の年限を長期化する買いも期待されていたもよう。

一方、新発10年物の311回債利回りは、22日終値より0.5bp低 い0.885%で始まったが、午後には0.89-0.895%での推移となった。

新発10年債の終値は前週末までに13営業日連続で0.8%台に収 まっており、今週も方向感の乏しい展開が予想されているものの、市 場では金利上昇時の押し目買い需要は旺盛との見方が多い。実際、2010 年度の下期入りのタイミングにあたって、投資家の需要は超長期債に 限らず、10年債の0.9%や5年債の0.3%といった水準が押し目買い のポイントだと意識されていた。

先物は取引終盤に下げ渋り

東京先物市場の中心限月の12月物は、前週末比1銭高い143円 47銭で始まり、午前には一時6銭高の143円52銭まで上昇した。そ の後、午後に入って売りが先行すると143円38銭まで下落する場面も あったが、円高を背景に取引終盤には下げ幅を縮めて、結局は4銭安 の143円42銭まで戻して引けている。

先物12月物は前週後半にかけて4日続落となり、週末には4日以 来の安値圏となる143円34銭まで下落したものの、この日の午前には 買いがやや優勢の展開となった。現物市場では金利上昇時の需要が旺 盛との見方が有力で、先物相場に関しても相対的な割高感が解消され たことが買いを促したもようだ。

また、東京外国為替相場がドル安・円高方向に動き、午後には1 ドル=81円を割り込んだことも、国内債相場を下支えする要因となっ た。ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、米国が量的緩 和に入っていく可能性が高いことから、為替相場は円高基調が続くと みられると言い、国内市場は日経平均株価の上値の重さとも相まって、 債券相場の堅調地合いが維持される見通しだと話した。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストも、先週には金利水 準が切り上がる過程で中期から超長期ゾーンまでの各年限で押し目買 いが入ったと指摘。現物市場がこうした実需に支えられる中、為替市 場の円高や株価の軟調推移は追い風だったとも言う。

もっとも、来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催さ れるため、今後も内外市場とも様子見姿勢が強まる可能性があり、先 物12月物の日中の値幅は14銭にとどまった。JPモルガン証券の山 脇貴史チーフ債券ストラテジストは、米国では来週にFOMCのほか にも中間選挙や雇用統計発表といった注目イベントが目白押しなだけ に、国内債相場は今しばらくレンジ取引が続くとみていた。

為替が15年半ぶり円高に

この日の為替市場はじりじりと円が買われる展開。午後には一時 1ドル=80円66銭を付け、1995年4月以来、約15年半ぶりのドル安・ 円高水準を記録しており、債券相場のサポート要因として意識された。

韓国で23日に開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀 行総裁会議では、貿易をめぐる緊張が世界経済に打撃となるのを防ぐ ため、輸出促進を目的とした通貨安競争を回避し、より市場ベースの 為替政策を追求することを盛り込んだ共同声明を採択。HSBC証の 白石氏は、日本の当局が円売り介入をしづらい環境になったと言い、 株価の上値を抑える一方で債券を支える材料だとみていた。

日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、 円相場の先高観測が拭いきれないことが、国内経済の先行き不透明感 を通じて債券相場を支えると言い、先物12月物の143円台前半や10 年債の0.9%前後では押し目買いが優勢だとみていた。

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