円最高値はチャンス-日生や明治安田の外債投資、為替リスクも覚悟

日本生命保険や明治安田生命保険 は2010年度下半期の資産運用で、為替リスクを伴う外国債券を円高局 面で積み増す機会をうかがう。円・ドル相場は戦後最高値を突破する 可能性が高いものの、米国経済の持ち直しなどもあり、円高には限り があると分析。上半期に続き、為替差益も狙える外債投資に動く構え だ。

明治安田生命は下半期に外債の残高を2000億円増やすが、円高進 行時に生じる為替差損の回避措置を取らない(オープン)投資が中心。 為替差損を回避(ヘッジ)する外債は一部にとどめる。円は今後1ド ル=78円まで上昇するが、来年3月末には87円に下落すると予想。 高松泰治副社長は「為替の水準感」を強調する。同社は上半期にも「中 長期的な視点」で、オープン外債を2700億円積み増した。

日本生命は上半期に円高局面をとらえ、オープン外債を3800億円 純増させた。松永陽介財務企画部長は「外債全体の含み損益がゼロと なる為替水準が改善した」と指摘。下半期は「横ばいから増加」の計 画だ。年度末は85円と予想するが、内外経済や金融政策に関する思惑 から75円程度まで円高が進む場面があると分析。「割安と判断できる 為替水準なら、残高積み増しもあり得る」という。

上半期にオープン外債を純増させた住友生命保険は、下半期は「為 替動向をにらみ、機動的に運用」する。平田晴久運用企画部次長兼運 用戦略室長は、円が戦後最高値を突破し78円まで上昇すれば「達成感」 も出て、3月末には88円と「通常レンジに戻ってくる」と読む。

FOMC

大和総研の亀岡裕次シニアエコノミストは、円高・ドル安の主因 は米金融緩和観測だが「市場はすでに大規模な資産購入策を織り込み、 米インフレ期待は上昇している」と指摘。米長期金利の上昇を背景に、 円は3月末に87円前後に下落すると読む。生保のオープン外債投資も、 11月初めに「米金融緩和が実施されれば円高・ドル安も終息していく」 と見ているためで、適切な判断だろうと語った。

生保の資産運用はALM(資産・負債の総合管理)の推進が基本 だ。保険商品の契約者に対して抱える「長期・固定」の負債に見合う、 残存期間(デュレーション)が長く、円建てで安定的な収益を得られ る資産を増やす。価格変動が経営を直撃しかねないリスク資産の残高 は抑制。安全性が高い超長期国債などが最優先の投資対象となる。

ただ、長年にわたる低成長とデフレ、世界的な金融危機後の金融 緩和などを背景に国債利回りは低下。個人年金などの予定利率をにら み、収益性が高い資産も必要とする生保にとって、国内債より高い利 回りの外債を為替差損回避のコストをかけずに取得するオープン外債 は有力な投資対象だ。米10年物国債利回りは2.5%台と低迷している が、日本は0.8%台に過ぎない。

為替リスク

主要生保は09年度まではオープン外債を削減してきた。購入後に 円高が進めば為替差損が生じ、評価損の計上を迫られる場合もあるた めだ。実際、明治安田生命は今年度の上半期決算で「15%ルールに基 づく評価損が270億円ほど出る」見通しだ。

それでも、中長期的に見た円高局面で積み増せば、平均取得コス トが低下し、将来の円安時に為替差益を得られる可能性もある。主要 生保は一段の円高を見込む半面、11年3月末には高値から約10円下 げて85-90円程度になると予想する。

第一生命保険はリスク抑制を重視しているが、上半期に円高が進 む中でもオープン外債の残高削減は見送り、下半期も残高を維持する。 西尾晃直運用企画室課長は、米国経済は来年9月以降に回復基調が強 まると予想。その後の米金融政策を市場は半年ほど先行して織り込む と分析。3月末の円・ドル相場は90円と見ている。

円・ドル相場は5月につけた年初来安値94円99銭から、ほぼ一 貫して上昇。政府・日本銀行は9月、6年半ぶりに円売り介入したが、 今月20日には一時80円85銭と1995年4月以来15年半ぶりの高値を 記録した。戦後最高値は95年4月19日の79円75銭。先週末の20 カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では23日の共同声明で、 進国は「為替レートの過度の変動と無秩序な動きを監視する」ことで 合意。ガイトナー財務長官は米国が「強いドル」を支持すると語った。

2005年度の前例

主要4社は円・ドル相場が下落基調に転じた直後の05年度上半期、 一斉にオープン外債を積み増した経緯もある。円は05年1月に101 円68銭と5年ぶり高値をつけた後、12月には2年9カ月ぶりの安値 121円40銭まで円安・ドル高が進んだ。

各社が同年10月に公表した上半期の運用実績によると、日本生命 は2300億円、残高がゼロだった住友生命はドル建て債を中心に数千億 円まで積み増した。明治安田生命は「横ばい」の計画を変更し300億 -400億円の純増、第一生命も微増となった。

主要生保は下半期に、為替差損を回避するヘッジ外債も積み増す 計画だ。日本生命は「横ばいから増加」、明治安田生命も数百億円規模 で増やす。住友生命は「内外金利差をにらみ機動的に運用」する。内 外の長期金利差が一定程度ある中で、ヘッジのコストを決める短期金 利差が歴史的な低水準にとどまっているためだ。

例えば、10年債利回りの日米格差は1.6%ポイント(pt)前後あ るが、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)3カ月物の金利差は日 米金融緩和の長期化観測を背景に0.09%pt程度。ヘッジコストを差し 引いても、0.9%前後の日本国債より約1.5%pt高い利回りを得られる 計算だ。

--取材協力:伊藤小巻、山崎朝子、関泰彦、近藤雅岐 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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