【今週の債券】長期金利0.8%後半、FOMC接近も金利上昇時に買い

今週の債券市場で長期金利は0.8% 後半での推移が続く見通し。来週に米連邦公開市場委員会(FOMC) を控えており、基本的に前週までの取引レンジを踏襲する可能性が高 い。今後も日米両国で金融緩和が維持されるとの観測が強いため、金 利上昇時には投資家からの買いが見込まれている。

三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長は、米国の追 加緩和を市場はある程度まで織り込んだと言い、マーケットを大きく 動かす材料とはなりにくいと予想。その上で、「超長期ゾーンには生命 保険会社などの押し目買い需要が健在であり、10年債についても基本 はレンジ相場ながら0.9%台では買い優勢の展開だ」とみている。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で0.82%-0.95%となった。新発10年債の終値は5日から13営業 日連続で0.8%台に収まっている。

前週の長期金利はもみ合い。週初こそ0.865%まで低下する場面 があったが、その後は0.8%台後半での小動きに終始した。週末にか けて売りが優勢となっても0.90%を上回るには至らず、結局は15日 終値より1.5ベーシスポイント(bp)高い0.89%で終了した。

FOMC接近

11月2、3日に開催されるFOMCが接近するのに伴い、今週も 国内債市場では新規取引が手控えられる公算が大きい。

もっとも、市場ではFOMCでの追加緩和実施を織り込んだとみ られており、緩和策の中身を見極めようとする雰囲気もあるドイツ証 券の山下周チーフ金利ストラテジストは、市場では短めの年限の国債 を中心に5000億-1兆ドル買い入れるとの見方があるが、具体的な内 容を予想するのは困難だと指摘。追加緩和観測を手がかりに進んだド ル安・円高や金利低下が足踏みしてもみ合う期間が続くと話した。

大和証券キャピタル・マーケッツの尾野功一シニアストラテジス トは、FOMCが大規模な緩和に踏み込むのか斬新的手法を取るかは 不透明だが、今週に発表される住宅関連統計や週末の7-9月期の国 内総生産(GDP)の結果が緩和の規模に影響を及ぼすとみる。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は15日、ボス トンでの会議でインフレ率は低過ぎるほか、失業率は高い状態にある ため、一段の金融緩和が正当化される可能性があるとの認識を示した。

長期金利0.9%では押し目買い

長期金利は今週も方向感の乏しい展開が予想されている。ただ、 前週までに実施された30年や20年債の入札が順調だったことで、超 長期ゾーンでの金利上昇懸念が和らぐ中、今週は月末にあたって保有 債券の年限を長期化する買いが期待できる。10年度の下期入りのタイ ミングでは投資家の需要は超長期債に限らず、10年債の0.9%や5年 債の0.3%といった水準が押し目買いのポイントとなりそう。

FOMC前なので為替や内外株式市場も総じて様子見姿勢が広が るとみられるが、為替市場では引き続きドル安・円高の余地が残って いる。韓国で23日に開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央 銀行総裁会議では、貿易をめぐる緊張が世界経済に打撃となるのを防 ぐため、輸出促進を目的とした通貨安競争を回避し、より市場ベース の為替政策を追求することを盛り込んだ共同声明を採択した。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、為替市場 における一段のドル安・円高やこれに伴う国内株安の展開も考えられ るとした上で、「長期金利が一段と低下するリスクを踏まえると、投資 家は0.9%台ではなお買いスタンスであろう」と予想する。

28日には日本銀行が金融政策決定会合を開催して、午後3時に経 済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表する。展望リポートでは 2011年度の成長率や物価見通しを下方修正するとの見方が有料視さ れているが、日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジ ストは、5日の会合で包括的な金融緩和を決定ばかりであり、展望リ ポートの内容には注目が集まるものの相場の変動要因とはなりづらい とみる。

市場参加者の予想レンジとコメント

10月22日までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週の 予想レンジは以下の通り。

◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長

先物12月物143円00銭-144円00銭

新発10年債利回り=0.82%-0.92%

「現物債は底堅い。来週のFOMCでの追加緩和が織り込まれた ものの、どの程度まで緩和が拡大されるか見極めるまでは売れない。 実際に20年債の1.8%や30年債の2%は生保などが購入する水準だ。 今週は月末にもあたって保有債券を長期化する需要が入りやすく、10 年債利回り0.9%台を超えると上昇余地が限定されるとみている」

◎みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリスト

先物12月物142円60銭-143円60銭

新発10年債利回り=0.85%-0.92%

「先週までとあまり代わり映えしない展開だろう。FOMCでの 追加緩和観測のもとで米国の金利が上がりにくい環境なので、国内債 市場も売られにくい地合いが続く。実際、先週末には先物ゾーンで割 高修正の売りが膨らんだが現物債市場は安定を維持しており、5年債 の0.3%台や10年債の0.9%台での買い需要は旺盛だとみている」

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物12月物143円00銭-143円80銭

新発10年債利回り=0.865%-0.915%

「10年債利回りは0.8%台後半で方向感に乏しい展開。米量的緩 和期待は強まることはあっても弱まる可能性は低いため、円相場の先 高観測やこれに伴う国内経済の不透明感は払えず、投資家の余剰資金 は債券市場に流入しやすい。一方、FRBがインフレ期待を高めよう としていることに米長期金利が反応し始めていることには警戒が必要 だ」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物12月物143円00銭-144円00銭

新発10年債利回り=0.85%-0.95%

「長期金利は0.9%を挟んでもみ合い。生産は前月に減少したも のの、自動車の減産で9月もマイナスが予想されている。日銀展望リ ポートをどう消化していくか注目されるが持ち高を傾けにくい。週末 には11月はじめの米中間選挙やFOMCが近づき動きづらくなりそ う。2年債入札での波乱はなく相場への影響はないと見込んでいる」

--取材協力:船曳三郎、池田祐美 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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