優先債は政府保証の「特権」失うか-アイルランド銀行債が映す不安

アイルランド政府は2年前、優 先債の保有者に対し、銀行が破たんしても投資資金を失うことはない と保証した。そして今、また同じ約束をしている。

しかし今回は、政府が税金を使って救済してくれることに一部の 債券投資家が懐疑的となっている。ブルームバーグのデータによれば、 アングロ・アイリッシュ銀行の政府保証優先債は、全額償還されない リスクを反映し額面1ユーロ当たり90セントに下落した。

アリアンツ・グローバル・インベスターズのRCM部門で最高投 資責任者(CIO)を務めるニール・ドウェーン氏など一部の株式投 資家は、政府が保証を約束していること自体に憤っている。

同氏は「債券投資家にはまるで、損失を免れる特権があるかのよ うだ」と述べ、「危機から2年過ぎたが、われわれは何も学ばず何ら行 動を起こさなかった。債券保有者は、銀行に投資すれば損失を被る可 能性があることを理解しなければならない」と指摘した。

ブルームバーグのデータによると、MSCI世界銀行指数を構成 する201行は、来年末までに償還期限を迎える社債3兆ドル(約240 兆円)相当の借り換えが必要になる。

欠陥あるシステム

英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RB S)のフィリップ・ハンプトン会長は「債券保有者は銀行が経営を維 持する上で重要な資金源であるため、彼らを一掃することは極めて困 難だ」と述べた。同行は、金融危機時の銀行救済としては世界最大の 455億ポンド(現在の為替レートで約5兆8000億円)の公的支援を 受けている。

国際決済銀行(BIS)の元チーフエコノミスト、ウィリアム・ ホワイト氏は、優先債保有者が損失リスクを十分抱えずに済むという 欠陥が銀行救済によって金融システムにもたらされたと指摘。政府は 納税者を犠牲にしてモラルハザード(倫理観の欠如)を生み出したと 批判した。経済協力開発機構(OECD)経済開発検討委員会の委員 長を務める同氏は、見解はOECDでなく個人のものだと断った。

カルロス・エヘア氏らモルガン・スタンレーのアナリストは、銀 行優先債の将来に関する15日付リポートで、優先債をその銀行の株 式と交換する案がこれまでになく現実味を帯びているとの見方を示し た。

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