英国で離婚成金もはや望み薄-婚前合意重視で元JPモルガン行員敗訴

英国が離婚時の財産分割で、米国 式に婚前の合意を尊重する方向に一歩踏み出した。

英最高裁は20日、米銀JPモルガン・チェースの元バンカーが資 産家の元妻から巨額の財産分与を得ようとして争っていた離婚訴訟で、 2人が婚前に結んでいた合意を理由に元夫の分け前は減額可能との判 決を下した。

弁護士らによると、イングランドとウェールズではここ10年、離 婚者が判事を介在させた財産分割で巨額の分け前を手にする傾向があ り、こうした中で婚前合意の存在感が高まってきた。合意があれば、 別れる相手から財産を保護できるためだ。

法律事務所ウィザーズのマーク・ハーパー弁護士は電話インタビ ューで、「資産を持つ者なら誰でも婚前合意を望むはずだ」とコメント し、この日の判決で英国でも婚前合意が「存在感を増すだろう」と述 べた。同氏は今回の裁判にかかわっていない。

元夫のニコラ・グラナティーノ氏は、巨額の遺産相続人となって いる元妻カトリン・ラドマッハーさんが資産の全容を知らせていなか ったとして、婚前合意の無効を訴えていた。合意書に署名した際に適 切な法的助言を得られなかったことも理由としている。

ラドマッハーさんはこの日、「うれしい限りだが、ここまでくるの に4年もかかったのは残念です」とのコメントを文書で発表した。そ の上で、自身の母国であるドイツやグラナティーノ氏が生まれたフラ ンスでは婚前合意尊重は「全く普通で通常のこと」と述べた。

ブルームバーグ・ニュースはグラナティーノ氏の代理人にもコメ ントを求めたが、これまでのところ返答はない。

製紙業を営んでいた実家から資産を受け継いだラドマッハーさん はイングランドで1998年に結婚。それに先立ちグラナティーノ氏に、 離婚の際には双方が金銭上の恩恵を受けない旨の合意書に署名するよ う頼んでいた。2人は2006年に別居。03年に銀行を退職して大学で 働いていたグラナティーノ氏の貯金は既に底を突き、家計を支えてい たラドマッハーさんは07年に離婚届けを出した。裁判上の資料によれ ば、ラドマッハーさんは流動資産5000万ポンド(約64億円)強とド イツ企業2社の持ち分を所有していた。

2人の離婚訴訟では当初、グラナティーノ氏に約600万ポンドの 受け取りを認める判断を判事が下したが、控訴院はこれを認めず、婚 前合意の内容を重視する方向を打ち出していた。

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