レアアース:日本、ベトナムでのASEAN会議で新たな供給先を模索

中国の輸出削減で供給ひっ迫が世界 的に問題になっているレアアース(希土類)。日本は28-30日にベトナ ムで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、中国以外 の供給先を模索する。ASEAN首脳会議では活発な資源外交を展開す る中国にどう対応するかが焦点となりそうだ。

外務省によると、菅直人首相はASEAN首脳会議に出席する方向 で調整中。これに先立ち、鳩山由紀夫前首相は5日間の日程で22日から ベトナムを訪問する。グエン・タン・ズン首相と会談し、レアアース問 題で意見交換する予定。`

鳩山事務所の関係者によると、鳩山氏はズン首相のほか他の主要閣 僚とも会談し、原子力発電所や高速鉄道など日本のインフラ技術を売り 込む。ASEAN首脳会議中に菅首相とズン首相の2国間会談も予定さ れており、いわば鳩山氏が「露払い」を務める形だ。

中国は世界のレアアースの90%以上を生産し、輸出削減姿勢を打ち 出していることから、日本にとって代替供給先探しは緊急課題となって いる。レアアースはトヨタ自動車のハイブリッド車や米ロッキード・マ ーチン製のレーダー、ゼネラル・ダイナミクス製の戦車などの部品に利 用されている。

米政府は国内での採掘を再び活発化することを目指すほか、ドイツ のメルケル首相は東欧や中央アジアでの生産増強により代替供給を確保 するよう呼び掛けるなど各国の「レアアース確保合戦」はヒートアップ している。

22日付日本経済新聞朝刊は、菅首相がベトナムのズン首相と31日 にハノイで会談し、レアアースの共同開発で合意すると報じた。

中国の資源外交について、城西大学の霧島和孝教授(経済学)は、 「希少資源で今後も伸びる産業分野に使われるものだから、外交の手段 としても戦略的に使いたいということになってきたんだと思う。中国に は人民元の問題や政治的問題、領土問題などがからんでおり、人民元の 立場が弱いので、レアアースカードは中国にとって大事なものになって きている」と分析。

対中包囲網は警戒感呼ぶ

ただ、日本の対中外交に関して霧島教授は「諸外国との協力は必要 だが、包囲網をつくると警戒する。ASEANプラス3のような中国も 参加する場での協議が大切だ」と指摘した。

日本貿易振興機構アジア研究所の坂田正三・主任調査研究員は「ベ トナムは日本の商社などによる資源への投資などについては歓迎するは ず。一方、中国と領有権問題を抱えるベトナムとしては、レアアース開 発で政府間合意として政治色を出しすぎるメリットはないのではない か」と述べた。

仙谷由人官房長官は22日午前、日経報道について「わたくしの承知 しているところでは民間ベースでそういう話が進んでいるようだが、政 府レベルの対応については私のところに上がってきていない」と述べ た。

貿易問題に発展も

トヨタ自動車の関連会社、豊田通商は双日、ベトナム国営鉱山会社 と合弁で12年からレアアースの輸入を始める。世界2位のハードディス クメーカー、昭和電工は5月、ベトナムにレアアース工場の稼働を開始 した。

クレディ・スイスの株式アナリスト、山田真也氏は「各社とも半年 分ぐらいのレアアースの在庫はあるので、当面は大丈夫だろう」としな がらも「年末まで中国からレアアースを輸入できず、来年も輸出を再開 しないとなれば、世界貿易機関を巻き込んだ貿易問題に発展するだろ う」と懸念を示した。

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