【日本株週間展望】米量的緩和期待で反発、インフレ読み株式に資金

10月第4週(25-29日)の日本 株相場は反発する見通し。米金融当局による追加の量的緩和策に対する 期待が根強く、米国を中心に世界の株式相場は上昇基調を保つ公算が大 きい。企業決算発表が本格化する日本でも、好業績銘柄中心に買われ、 海外株式に対する出遅れ感は解消されていきそうだ。

GCSAMの佐藤博最高投資責任者は「決算説明会などで感じる企 業のファンダメンタルズの力強さと、マクロでみた日本株相場の出遅れ 感とのかい離は、非常に大きい」と指摘。これまで相場の重しとなって きた円高進行、公募増資に対する懸念がほぼ一巡し、「好決算を素直に 評価する形で、日経平均株価が9000円台後半に上昇する」と予想する。

10月3週の日経平均終値は前週末比0.8%安の9426円。中国人民 銀行が19日、インフレ加速を背景に貸出金利と預金金利を引き上げる と発表。20日は中国の景気減速や需要減などを警戒し、資源や機械株 などが売られたが、金融緩和観測や良好な企業業績を背景に米国株が上 昇基調を維持、世界的な株高傾向から日本株の下げも限られた。

国債購入プログラムの規模は約5600億ドル――。これは、シティグ ループが20日に発表した米追加緩和策の中身を予想するアンケート調 査の予想平均だ。米連邦準備制度理事会(FRB)関係者の中には大規 模な資産購入に反対する向きもあるが、調査に参加した市場関係者の9 割は、11月2、3日に開かれる次回連邦公開市場委員会(FOMC) 後に、量的緩和と呼ばれる国債購入が始まると予測。政策当局による景 気浮揚策の発動がコンセンサスとなっている。

元FRB副議長で、プリンストン大学エコノミストのアラン・ブラ インダー氏は20日、直近の信用スプレッドの縮小を根拠に、「市場で はすでに1兆ドル(約81兆円)の資産購入が織り込まれている」と指 摘した。また米セントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁は21日、 11月に1000億ドル(約8兆1300億円)相当の長期国債を購入、次の 会合以降も、物価・経済状況次第で1000億ドル単位で買い入れ規模を 調整すべきと発言した。

スタグフレーションの足音

欧米主要国が景気停滞や資産デフレに悩む半面、中国など新興国は ハイペースの景気拡大と資産価格の高騰に苦慮している。草野グローバ ルフロンティアの草野豊己代表は、「世界を1つの国と考えれば、いま の状況はスタグフレーション(景気停滞下のインフレ)そのものだ」と 強調し、簡単に解決策は出ないと話す。

著名投資家のマーク・ファーバー氏は、各国政府が過度の通貨供給 を続けており、「金利は低下ではなく、上昇し始める可能性がある。ド ルは下落ではなく上昇する」と予測。向こう3カ月以内に金利が上がり 始めるとみて、債券売り・株式買いを勧めている。

米国でもスタグフレーションは警戒視され始めているようで、米国 債利回りは10月半ばに底を打った可能性がある。米10年債と30年債 の利回り格差(スプレッド)は、今月18日に1.45%まで拡大、少なく とも2000年以降で最大だ。JPモルガン証券の北野一チーフストラテ ジストによると、同スプレッドは金利と逆に動く傾向が強く、「過去最 大水準に拡大したことは、長期金利底打ちを示唆している」という。

インフレ期待を反映する米10年債利回りと同年限のインフレ連動 債の利回り格差(ブレークイーブンレート)も、8月半ば以降は拡大基 調となり、今月14日には約5カ月ぶりの高水準となる2.14%を付けた。 一方、米S&P500種株価指数は21日に1189ポイントと5月4日以来 の水準を回復、年初来リターンはプラス5.8%となっている。

10月4週は、3月決算企業の4-9月(上期)決算発表が本格化 し、東証上場銘柄では584社が開示する。27日には新日本製鉄、富士 通、28日にはコマツ、シャープ、任天堂、29日にはソニー、ホンダ、 商船三井、野村ホールディングスなどが予定。「最大の注目点は各社の 為替前提と下期見通し」と、日興コーディアル証券の西尾浩一郎マーケ ットアナリストは言う。

日本企業の上期業績好転の原動力となった中国では18日、「第12 次5カ年計画(11-15年)」が決まった。日興コーデ証の白岩千幸エ コノミストは、総額4兆元(約49兆円)の戦略的新興産業への支援策 で、日本の関連企業も一定の恩恵を受けるとみる。

中国政府が次世代送電網(スマートグリッド)や電気自動車の技術 開発に主体的にかかわる意思を感じたほか、今回新たに戦略産業に格上 げされたサービスセクターでも、「海外の進んだノウハウは取り入れる はず。日本企業は物流になどにチャンスがある」と白岩氏は指摘する。

このほかの重要日程は、28日からベトナムのハノイで東南アジア 諸国連合(ASEAN)・日中韓首脳会議(アセアンプラス3)が開催 予定。米国では、国債入札と住宅関連指標の発表が相次ぐ。9月の米中 古住宅販売件数は25日、MBA住宅ローン申請件数と9月の新築住宅 販売件数は27日にそれぞれ発表される。

【市場関係者の当面の日本株見通し】 ●日興コーディアル証券国際市場分析部の河田剛シニアストラテジスト

「引き続き方向性を欠く展開を想定。世界的な過剰流動性相場への期 待を背景に、余剰資金をリスク資産に振り向ける流れは続くと見られ、 日本株もその恩恵を受ける。もっとも、円高による輸出企業の業績悪化 懸念が根強い中、日本株を買う動きは限られよう。4-9月決算発表が 本格化するが、個別銘柄ごとにまちまちの内容・株価反応となり、相場 全般へのインパクトは小さいだろう」

●大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所・投資戦略部の

高橋和宏部長

「円高一巡や米量的緩和期待は下値を支えるが、国内の決算発表は目 白押し。決算では特に為替の見通しがポイント。テクノロジー企業が円 高方向に為替想定を修正したうえで、どの程度の利益になるのかを見た い。29日の米7-9月の国内総生産(GDP速報値)などを控え、米 量的緩和期待が低下するかも注目。円高による先行きの警戒感が薄れれ ば、良好な4-9月実績を評価する動きになる可能性がある」

●証券ジャパンの大谷正之調査情報部長

「株価指数は方向感に乏しいが、東証1部の値上がり銘柄数は増えて いる印象で、決算発表を控えて好業績銘柄を物色する動きが強まってい る。高岳製作所が業績予想を上方修正すると、同業のダイヘンが思惑か ら買われるなど、周辺銘柄への物色の広がりも散見される。アジアなど 新興国需要の恩恵を受ける自動車部品や電子部品を手掛ける企業の業績 が好調だ」

●かざか証券の田部井美彦市場調査部長

「決算発表に向け、業績の良い銘柄が選別される。円高に対する警戒 感もいったん落ち着き、日経平均レンジは9300-9700円を想定。注目 は米中古住宅販売件数。米国経済でぜい弱と言われているのが住宅関係 で、その最たるものが中古住宅。そこが活発になれば新築住宅にも影響 する。予想を上回る数字が出た場合、FOMCに向け過度の金融緩和期 待が後退する可能性がある。米経済は落ち着いているとの見方から、株 式市場もプラスに反応するのではないか」 *T

-共同取材:長谷川敏郎、常冨浩太郎、河野敏、岩谷多佳子-Editor: Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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