今日の国内市況:株式続落、長期金利0.88%まで低下-為替は81円付近

東京株式相場は小幅続落。為替の 円高進行に対する警戒感の強さが露呈し、東証1部売買代金上位では キヤノンや日産自動車、信越化学工業など輸出関連株が安い。また、 追加規制に対する不透明感などで銀行株も軟調、リニア新幹線に絡む 財務不安や増資への警戒でJR東海が急落し、陸運株が業種別下落率 1位。

半面、きのうの国際商品市況の上昇が追い風となり、非鉄金属や 鉱業などの資源関連株の一角は終日堅調。世界的な過剰流動性への期 待感から下値を売り込む動きも乏しく、株価指数の下げ幅も限られた。

日経平均株価の終値は前日比5円12銭(0.1%)安の9376円48 銭、TOPIXは3.29ポイント(0.4%)安の820.40。

前日の海外時間で円が対ドルで15年半ぶりの高値となったこと を受け、為替動向にらみの展開となった。午前半ばには、ガイトナー 米財務長官がドルは円やユーロに対しこれ以上安くなる必要はないと の見方を示したと米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が 報道。円高修正が進み日経平均は100円近く上昇したが、同長官の発 言効果は為替、株式両市場で長続きせず、円高懸念は払しょくし切れ なかった。

20日発表の地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米国の景 気は9月から10月初めにかけて加速の兆候はほとんど見られなかっ たことが示され、金融緩和期待からドルは売られやすい環境だった。

内外とも買い手控えムードが強い中、特に下落が目立ったのは20 カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議をあすに控えた銀行 株。TOPIX下落寄与度首位、下落率でも5位だった。指数を構成 する83銘柄のうち60銘柄が安く、東京都民銀行や千葉興業銀行、北 日本銀行、七十七銀行など地方銀行株は52週安値を相次ぎ更新した。

クレディ・スイス証券では20日付リポートで、バーゼル銀行監督 委員会が公表したG20に対する金融危機への対応報告書の内容など から、システム上重要な金融機関に対する追加規制に関する議論は、 少なくとも来年中旬まで長期化する可能性があると指摘。追加規制に 関する不透明感が続く間は、大手銀行の株価の上値が抑えられる可能 性があるとの見方を示している。

東証1部売買高は概算で17億7758万株、売買代金は同1兆2450 億円。値上がり銘柄数は444、値下がり1077。

個別の材料銘柄では、国土交通省の審議委員会でリニア中央新幹 線のルート選定が事実上決着したと21日の日本経済新聞朝刊など各 紙で報じられ、5兆円を超す費用負担などが警戒されたJR東海が急 落。現状の高バリュエーションは正当化し難いとし、三菱UFJモル ガン・スタンレー証券が「アンダーパフォーム」に引き下げたトヨタ 紡織、モルガン・スタンレーMUFG証券が格下げしたみずほ証券、 野村証券が業績予想を引き下げたアマダもそろって下げた。

半面、米投資顧問が過去2カ月あまり、株式を市場で買い増して いたことが21日に分かった住友大阪セメントが急伸。4-9月の連結 営業利益が従来予想を39%上回ったもようのマクニカ、4-9月の連 結営業利益が計画を20%上回ったもようの関東自動車工業もそれぞ れ大きく上げた。

長期金利は0.88%まで低下

債券市場で長期金利が0.88%まで低下した。午後に発表された20 年債入札が順調な結果となったことを受けて買い安心感が広がり、超 長期債が堅調となったほか、長期ゾーンの金利は低下に転じた。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の311回債利回 りは、前日比変わらずの0.89%で始まった後、若干水準を切り上げて 1ベーシスポイント(bp)高い0.90%まで上昇した。しかし、午後に 入って20年債入札結果が好調だったことを受けて買いが入ると、1bp 低い0.88%まで水準を切り下げた。

財務省がこの日実施した表面利率(クーポン)1.8%の20年利付 国債(122回債)の入札結果は、最低価格が100円40銭、平均落札価 格は100円44銭となった。

最低落札価格は事前予想の100円30銭を上回ったほか、小さくな るほど好調とされるテール(最低と平均落札の価格差)は4銭と前回 の20銭から縮小して、市場では入札は良好な結果だったと評価された。 一方、応札倍率は4.41倍と前回の4.56倍から低下した。

20年債入札結果を好感して超長期債が買われた。20年物の121 回債利回りは1bp低い1.75%、新発30年債利回りは2bp低い1.945% まで低下。日本相互証券によると、この日入札された20年物の122 回債利回りは業者間市場では1.775%で寄り付いた後、いったんは

1.78%まで売られたが、その後は1.765%付近で推移している。

東京先物市場で中心限月12月物は小幅ながら3日続落。前日比1 銭高の143円65銭で始まった後、円高・ドル安が修正されて株価がプ ラス圏に転じると売りが優勢となった。午後には20年債の入札結果を 受けて10銭高の143円74銭まで上昇した。しかし、その後は再び売 りが出て13銭安まで下落。結局は4銭安の143円60銭で引けた。

円相場はこの日の朝方に1ドル=80円99銭まで上昇した後、一 部報道で米国のガイトナー財務長官の発言が伝わると、ドル買い・円 売りが膨らんで一時81円83銭まで急落した。午後の遅い時間では再 び1ドル=80円台に上昇した。

先物12月物は今月上旬に144円台前半と、中心限月で約7年ぶり 高値圏まで達したが、その後は上値が抑えられており、今週に入って 143円台後半での推移が続いている。市場では、今週末にG20を控え て上値が重いものの相場には過熱感がないことから、来週発表される 鉱工業生産などの統計が悪い内容となれば、上値を試す可能性もある といった指摘も出ていた。

為替は81円付近

東京外国為替市場では、ドルが午後の取引で主要16通貨に対して 上昇幅を縮小する展開となり、対円では再び1ドル=80円台に落ち込 む場面も見られた。一段のドル安をけん制するガイトナー米財務長官 の発言を受けて午前はドル買いが進んだものの、米国の追加金融緩和 観測が根強く、上値は限定された。

午前に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によるガ イトナー財務長官のインタビュー内容が伝わると、ドル・円相場は81 円83銭までドルが急上昇。午後にかけてはじりじりと上昇幅を縮小す る展開となり、一時は80円92銭まで押し戻された。

ユーロ・ドル相場は午前の取引で一時1ユーロ=1.3872ドルと、 前日のニューヨーク時間午後遅くに付けた1.3964ドルからドル高が 進行。午後の取引終盤には1.39ドル台後半までドルが水準を切り下げ ている。

WSJによると、ガイトナー長官は同紙とのインタビューで、世 界の主要通貨は整合が取れていると述べ、ドルが円やユーロに対して これ以上下げる必要はないとの見方を示した。また、週末のG20では、 米国が繁栄のため通貨を切り下げる意図はないと説明する見通しとい う。

野田佳彦財務相は21日午前の参院財政金融委員会で、円高への対 応について、為替の過度な変動は経済や金融の安定化に悪影響だと指 摘した上で、必要なら介入を含めて断固たる措置を取ると述べた。為 替相場の水準についてはコメントを控えた。

11月2、3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、市 場では連邦準備制度理事会(FRB)が景気下支えに向けて追加の緩 和策に踏み切る可能性があるとの観測が根強い。FRBが20日に発表 した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米国の景気は9月か ら10月初めにかけて総じて「緩やかなペース」で拡大し、加速の兆候 はほとんど見られなかったことが示された。

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