今日の国内市況:日本株は反落、長期金利が上昇-円介入後の高値更新

東京株式相場は反落。欧州の債務 問題拡大への懸念から海外で銀行株が下げた影響を受け、三菱UFJフ ィナンシャル・グループが2カ月ぶりに年初来安値を更新するなど銀行 株の下げが拡大した。業績予想を減額した任天堂が急落し、その他製品 株指数は6.5%安と東証1部33業種の下落率1位。

特に午後終盤に相場は先物主導で一段安となり、日経平均株価の終 値は前日比190円3銭(2%)安の9369円35銭と安値引け。TOP IXは17.46ポイント(2.1%)安の829.51。円が対ドルで介入後の 高値を付けたことによる業績不安、アイルランドを中心としたユーロ金 融への警戒感が広がり、33業種はすべて下落した。

きのうの海外株市場では銀行株が売られた。アイルランドが同国の アングロ・アイリッシュ銀行の救済費用を30日に発表する予定を前に、 欧州の多重債務国が財政赤字の縮小に苦戦するとの懸念や新しい銀行自 己資本規制「バーゼルIII」でリスク資産が増加し、自己資本が想定以 上に低下するのではないかという観測が強まった。

きょうの東京市場はこうした海外の流れを引き継ぎ、さらに午後に なると、ドル・円相場が1ドル=83円50銭を上回る円高・ドル安が 進行。政府・日本銀行の円売り介入があった15日以来の円高値を更新 したことで、株価指数の下げが拡大した。アングロ・アイリッシュ銀行 とアライド・アイリッシュ銀行は、最大で144億ユーロの資本が追加 で必要となることが明らかになった。

特に下げがきつかったのは銀行株。三菱UFJや三井住友フィナン シャルグループがともに52週安値を更新し、下落率は一時前日比4% 超に達した。

東証1部の売買高は概算20億7369万株、売買代金は同1兆4272 億円。値上がり銘柄数は155、値下がりは1459。

長期金利が2週ぶり上昇

債券市場では長期金利が2週間ぶりに上昇。きのうの米国債相場下 落を受けた売りが先行した後は、中間期末にあたって新規買いに慎重な 雰囲気が広がった。一方、鉱工業生産が予想対比で弱かったため先物は 売り一巡後にもみ合い推移が続いた。

現物市場で新発10年物の310回債利回りは前日比1.5ベーシス ポイント(bp)高い0.935%で始まり、その後は同水準でのこう着が 続いた。午後にいったんは2bp高の0.94%を付けたが、この水準では すぐに買いが入って0.93-0.935%に戻している。

310回債利回りは前日の午後3時過ぎに0.92%まで低下して、新 発10年債として8月26日以来の低い水準を記録。15日の取引で

1.1%の大台を割り込んで以降に金利低下ピッチが加速したことへの警 戒感が広がったほか、その後の米国債相場が下げに転じたこともあり、 きょうは中間期末日にもあたって買い控えの雰囲気が強まった。

一方、日本銀行が29日に発表した企業短期経済観測調査(短観) で景気の先行き悪化見通しが示されたほか、きょうの鉱工業生産も事前 の市場予想を下回った。

午後には外国為替相場が1ドル=83円台前半までドル安・円高と なり、日経平均株価も9500円割れで推移したわりに債券買いの動きは 鈍かったが、下期入り後には再び金利低下余地を探りそうだ。

東京先物市場の中心限月12月物は前日比6銭安い143円34銭で 始まり、開始後には2銭高の143円42銭を付けた。その後は小幅マイ ナス圏でのもみ合い推移となり、午後2時半前後には143円28銭まで 下げたが、取引終盤には持ち直して、結局は143円42銭でこの日の高 値引けとなった。

29日の米国債相場が下落したことが売り材料視される中、先物相 場は前日に中心限月として7年3カ月ぶり高値圏まで急騰した反動売り が先行した。

しかし、鉱工業生産が市場予想に反して前月比マイナスとなった ため、日中取引では下げ渋る展開となった。

午前8時50分に発表された7月の鉱工業生産は前月比0.3%低下 した。ブルームバーグによるエコノミスト調査の同1.1%上昇から下振 れたほか、先行きの製造工業生産予測指数は9月に同0.1%低下、10 月には同2.9%低下とマイナスが続くと見込まれている。

円が介入後の高値更新

東京外国為替市場では円が対ドルで介入後の高値を更新した。政 府・日銀による円売り介入への警戒感は残っているものの、米国の追加 金融緩和観測を背景にドルの先安観が根強く、円はじりじりと値を切り 上げた。

ドル・円相場は一時、1ドル=83円20銭まで円が上昇。顧客に 金融機関が提示する基準レート(仲値)が設定される午前10時に向け ては、国内輸入企業などの円売りの持ち込みがやや多かったもようだが 、円の下値は83円82銭までとなり、仲値通過後は国内輸出企業など の円買いに押される展開となった。

ブルームバーグ・データによると、ドルは今四半期(7-9月)に 主要16通貨すべてに対して下落。対オーストラリア・ドルでは13% 安、対ユーロでは10%安となっており、対円でも6%値下がりしてい る。

政府・日銀は今月15日、円が対ドルで約15年3カ月ぶり高値と なる82円88銭を付けたことを受け、約6年半ぶりとなる円売り介入 を実施。円は一時86円近くまで下落した。しかし、米連邦準備制度理 事会(FRB)が21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で 「追加金融緩和の用意がある」と表明すると、ドル安の流れが強まり、 円はじりじりと介入後の下げ幅を埋める展開となった。

財務省はこの日、日本時間午後7時に9月の外国為替平衡操作の実 施状況を公表する。15日の介入額については当座預金残高の増加によ り過去最大規模の1.7兆円から1.8兆円程度だったとの見方が多い。

米国ではこの日、9月のシカゴ購買部協会製造業景況指数や先週分 の新規失業保険申請件数、4-6月期の国内総生産(GDP)確定値が 発表される。景気減速を示す内容となれば、追加金融緩和観測が強まり 、米金利の低下を通じてドルの下押し圧力が強まる可能性がある。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が米上院 銀行委員会の公聴会で証言するほか、ワシントンで講演する予定。追加 緩和について踏み込んだ発言が出るかどうかが注目されている。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のド ル指数は29日に78.779と、前日の79.014から0.3%低下。一時は

78.616と、1月28日以来の低水準を付ける場面もあった。

アイルランド中央銀行は30日、アングロ・アイリッシュ銀行とア ライド・アイリッシュ銀行は最大で144億ユーロ(約1兆6310億円) の追加資本が必要となる公算が大きいと発表した。

一方、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは30 日、スペインの信用格付けを「Aa1」に引き下げた。見通しはステー ブル(安定的)としている。

ユーロ・円相場は7月29日以来、2カ月ぶりユーロ高値となる1 ユーロ=114円23銭から一時、112円98銭までユーロが下落。また、 ユーロ・円につられる形で、ユーロ・ドル相場も海外時間に付けた約5 カ月半ぶりのユーロ高・ドル安水準(1ユーロ=1.3647ドル)付近か ら1.35ドル台後半へ値を戻した。