アイルランド:銀行システム救済の総額は最大5.7兆円規模

アイルランド政府は同国の銀行、 アライド・アイリッシュ銀行の過半数株を取得し経営権を握るととも に、昨年国有化したアングロ・アイリッシュ銀行には追加資本を注入 する。金融システム修復に向けた一連の措置のコストは最大の場合 500億ユーロ(約5兆6600億円)に上る。

アイルランド当局が30日公表した。レニハン財務相はこの日ブル ームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「アイルランドの銀行 システムはこれで盤石だ」と述べ、同国が支援を必要とするとの観測 を否定した。

銀行救済のコストはアングロ銀についての「ストレスシナリオ」 が現実となった場合、最終的に約500億ユーロとなる。「基本シナリオ」 の場合は約450億ユーロと概算されている。アライド銀は最大30億ユ ーロの資本が必要となる見込みだという。

政府は既に、2009年1月の国有化以降アングロ銀に229億ユーロ を注入している。10年に及んだ同国の不動産バブルの破裂で銀行は不 良債権を抱え窮地に立った。銀行救済のコストが膨らむことへの懸念 を理由に、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) は8月に同国の信用格付けを引き下げた。

アイルランド10年国債とドイツ債との利回り格差はこの日、438 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と29日の446bpから縮 小した。CMAによると、アイルランド国債を保証するクレジット・ デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは19bp低下し451.5 bpと約1週間ぶりの低水準となった。

財政赤字

アイルランドの銀行と住宅貯蓄組合への公的資金注入額は合計で 約330億ユーロに達している。発表によると、アングロ銀行は最大で 64億ユーロの政府による追加資本注入が必要な見込み。予想外の損失 が生じた場合はさらに50億ユーロが必要な可能性もあるという。住宅 貯蓄組合のアイリッシュ・ネーションワイド・ビルディング・ソサイ エティーはさらに27億ユーロが必要。

ダブリンを拠点とする証券会社メリオン・キャピタルのアナリス ト、セバスチャン・オルシ氏は「大きな驚きだったのはアライド銀の 数字だ」として、「計画されている増資での投資家の反応次第だが、政 府は最終的に90%以上を保有することになるかもしれない」と話した。

中銀によれば、6月に29億3000万ユーロを増資したアイルラン ド銀行は追加資本を必要としない。

銀行システム修復後には、政府は財政赤字削減に取り組まなけれ ばならない。2009年の赤字は国内総生産(GDP)比で14%とユーロ 圏で最大。レニハン財務相がこの日述べたところによると、10年は銀 行救済コストにより一時的に「急上昇」し同32%前後なる見込み。