新興国通貨:上昇見通し一段と強まる-投資家は「通貨戦争」に懐疑的

投資家の間では、ブラジルや韓国 の政策当局が約1年ぶりの大幅高となっている新興国通貨の上昇を抑 える取り組みに失敗するとの見方が一段と強まっている。

通貨オプションの需給の偏りを示すリスクリバーサル率によれば、 ブラジル・レアル、南アフリカ共和国ランド、韓国ウォン、インドネ シア・ルピアのプットオプション(売る権利)への需要がコールオプ ション(買う権利)との比較で減退、5カ月ぶりの低水準となってい る。3カ月物ドル・オプションのインプライドボラティリティ(IV、 予想変動率)に基づけば、これら4通貨の急落見通しは、円やユーロ、 ポンドとの比較で5月以来の弱い水準だ。

新興各国は、自国通貨安を促して景気鈍化に対応する先進国の取 り組みの影響をもろに受けている。政府・日銀は今月、自国通貨高抑 制に取り組むアジアや中南米諸国に続き、円売り介入を実施した。

ブラジルは国内流入資本を対象にした増税を検討。同国のマンテ ガ財務相は27日、自国通貨高阻止に向けた各国による「通貨戦争」が 始まったと警告した。南ア中銀のマーカス総裁は22日、「解決策を模 索するため多くの国」と協議していると明らかにした。

UBSの新興市場債券・通貨戦略責任者バーヌ・バウェジャ氏(ロ ンドン在勤)は、新興国について、「資本統制の可能性が高まっている。 中銀は自国通貨高にこれまでほど寛容ではなくなるだろう」との見方 を示した。

JPモルガン・チェースの新興市場通貨指数によると、7-9月 期の新興国通貨はドルに対して6.1%高と、昨年4-6月期以来の大 幅上昇。ゴールドマン・サックス・グループの10日付のリポートによ れば、ファンドマネジャーの新興市場資産への投資額は年5750億ドル と、世界的な金融危機前に記録した従来の最高を20%上回る水準に達 している。

ドイツ銀行の新興市場戦略担当責任者、ドラウシオ・ジャコメッ リ氏は、ニューヨークからの電話インタビューで、大半の中銀は資本 規制よりもドル買いを増やす手段を選択するだろうと予想。「資本規制 を導入した場合、その国の国債を誰が買ってくれるのか」と述べ、資 本規制で資金調達が困難になる可能性を指摘した。