米国債:四半期で3期連続上昇、FRB追加緩和観測で

米国債相場は四半期ベースで 3四半期連続の上昇。米経済統計で景気回復の失速が示されたこと から、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和を増大するとの 観測が強まった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数による と、2008年第1四半期(1-3月)以来最長となる四半期ベース の上昇、第3四半期(7-9月)のリターンは2.7%となった。こ の日の国債相場は前日からほぼかわらず。経済指標では労働市場や 製造業で改善の兆しが示された。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジス ト、ケビン・フラナガン氏は、「経済統計の個々の数値はすべて量 的緩和第2弾の有無という観点から分析されている」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時35分現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)未満上昇の2.51%。同年債(表面利 率2.625%、2020年8月償還)価格は1/32下げて101。

米国債はこの日、一時下げを埋める場面もあった。月末にベン チマーク(基準)と合わせるため、一部の投資家がデュレーション (保有債券の平均残存期間)の拡大を図り、長めの国債を購入した ことが背景にある。

キャンター・フィッツジェラルドの金利責任者、ブライアン・ エドモンズ氏は「月末特有の資金流入がみられた」と述べた。

国債のリターン

BOAメリルリンチの指数によると、米国債の年初来のリター ンは8.8%。主要7カ国(G7)の国債のリターンは第3四半期に

2.3%、年初以来では6.6%となっている。

国債相場は朝方には下落する場面もあった。米経済統計では第 2四半期(4-6月)の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、 年率)確定値が、改定値から小幅上方修正されたほか、先週1週間 の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が予想以上に減少した。 シカゴ購買部協会が発表した9月の景気指数は、予想に反して前月 から上昇した。

ウンダーリッヒ・セキュリティーズのマネジングディレクター で米国債トレーディング責任者のマイケル・フランゼーズ氏は、 「統計の改善が続けば、FRBがどう反応するのかわからなくなる」 と指摘。「当局が大規模な刺激策の導入に慎重となれば、量的緩和 が十分なショックと効果をもたらさないリスクが生じる。『ゆっく りと死に至らしめる拷問』になりかねない」と述べた。

プロッサー総裁の見解

前日に国債相場は下落した。フィラデルフィア連銀のプロッサ ー総裁は、デフレの「リスクがほとんどない」ことなどを理由に、 米連邦公開市場委員会(FOMC)による一段の金融緩和には反対 の意向を表明。ボストン連銀のローゼングレン総裁は、追加の大規 模な国債購入は経済見通しや今後発表される統計内容に左右される との見方を示した。

ジェフリーズ・グループのチーフ・テクニカル・ストラテジス ト、ジョン・スピネロ氏(ニューヨーク在勤)は顧客向けリポート で、「FRB当局者の発言により、次回のFOMCに関して相場の 織り込み方が変わった。量的緩和で十分なショックと効果をもたら すという見方から、『必要とあれば』という一段と計算された反応 に変化した」と述べた。

FRBは21日に開いたFOMC会合後の声明で、「委員会は 今後も経済見通しと金融の動向を見守り、景気回復を支援し時間を かけてインフレを責務と一致する水準に戻すため、必要に応じて緩 和措置を追加する用意がある」と表明した。

米労働省が17日発表した8月の米消費者物価指数は、食品と エネルギーを除いたコア指数が前年同月比では5カ月連続で0.9% 上昇にとどまった。これは1966年以降で最も低い伸び。