東芝:リチウムイオン電池増産、新工場で来期100万セル超

総合電機メーカー国内2位の東芝は 29日、充電して繰り返し使えるリチウムイオン電池(2次電池)の生産 能力を大幅に増強すると発表した。世界で急速に需要が拡大している同 電池事業強化に向け、新工場で来年2月から量産を開始する。

東芝は同日、リチウムイオン電池の第2の量産拠点として新潟県柏 崎市内の新工場の竣工式を行い、当初は月産50万セルで量産を開始し、 来年度(2012年3月期)中に月産100万セル以上とする計画を発表した。 同社によると、月産100万セルに達すると、既存能力の20倍以上にな るとしている。これに伴う設備投資は累計250億円を予定している。

工場内で記者会見した佐々木則夫社長は「2月中にしっかり量産に 入る形になるが、もっと早くしたい」と前倒しにも意欲を示した。その 上で「さらなる需要増が見込まれる中で生産能力を拡大し、今後の事業 拡大の大きな布石ができたと思う」と述べた。

東芝は中期経営計画で、リチウムイオン電池事業関連で2015年度 に2000億円の売上高目標を打ち出しており、長野県佐久市に続く新工 場の稼働により、本格的な量産体制を整える。佐々木社長は、同電池事 業について「15年度に2けたの利益率を出せる」との見通しを示した。 さらに、今後のコスト競争力や開発に関連して「国内外を問わず、あら ゆる形のアライアンスの可能性を考えていく」と述べた。

リチウムイオン電池は、従来のノートパソコンや携帯電話向けなど 民生機器で主に使われてきたが、省エネ推進を背景に、自動車、各種発 電設備、無停電電源装置などの産業機器、スマートグリッド(次世代電 力網)などにも用途が広がることで市場拡大が見込まれている。野村総 合研究所は、リチウムイオン電池の世界市場が10年度の1兆円超から、 20年度は約4.5兆円へ拡大すると試算している。

東芝は04年にリチウムイオン電池事業からいったん撤退したが、 研究開発は継続。07年は高速充電が可能な同電池を開発したと発表し、 再参入の方針を明確にした。その後は、電動工具やバイク向けなどのリ チウムイオン電池「SCiB」の事業化を進め、自動車用では09年か ら独フォルクスワーゲン(VW)と、10年7月からは三菱自動車と共同 開発している。

特に自動車向け同電池については、世界中の電機メーカーが開発競 争を加速させている。ガソリンと電気モーターを併用して走るハイブリ ッド(HV)車向けでは、従来のニッケル水素電池からリチウムイオン 電池への置き換えが進むほか、家庭用コンセントで充電可能なプラグイ ンハイブリッド(PHEV)車や電気自動車(EV)車向けへの開発と 生産も始まっている。

国内電機メーカーでは、リチウムイオン電池世界最大手の三洋電機 を傘下に持つパナソニックが同電池で12年度に5000億円の売上高を目 指している。NECが同電池を軸とした事業で17年度に3000億円、日 立製作所が14年度に2500億円、ジーエス・ユアサコーポレーションが 12年度に400億円の中期目標を掲げている。富士通も電池関連会社だっ たFDKを昨年3月に子会社化、FDKは乾電池や高周波デバイスに加 えリチウムイオン電池も強化し、12年度に全社売上高で1200億円を目 指す方針。

東芝の株価は2日に年初来安値を付けた後、400円台前半に値を戻 している。29日の終値は前日比4円(1%)高の409円。