円が介入後の高値更新、米追加緩和観測でドル安圧力-83円50銭

東京外国為替市場では円が対ドル で介入後の高値を更新した。政府・日本銀行による円売り介入への警 戒感がくすぶりつつも、米国の追加金融緩和観測を背景としたドル売 り圧力が根強く、円はじりじりと値を切り上げる展開となった。

ドル・円相場は一時、1ドル=83円50銭までドル売り・円買い が進行。朝方には日銀が発表した企業短期経済観測調査(短観、9月 調査)で企業の先行き見通しが悪化したこともあり、84円台に乗せる 場面が見られたが、ドルの上値は重く、午後には政府・日銀が6年半 ぶりに介入を実施した15日以降の円高値を塗り替えた。

日興コーディアル証券国際市場分析部の為替ストラテジスト、松 本圭史氏は「ドル安の地合いが続く中で、明確な円高けん制も出てい ないし、期末の要因も絡んでドル売りになっている」と説明。ただ、 日本の円売り介入への警戒感も残っているため、「ドルを一方的に売り に行くということでもない」と付け加えた。

ユーロ・円相場も朝方に8月2日以来のユーロ高・円安水準とな る1ユーロ=114円19銭を付けたが、午後には113円49銭まで円が 反発。NTTスマートトレードの工藤隆市場情報部部長によると、朝 方は仲値に絡んだ円売り・ドル買いが観測されたが、その後は輸出企 業の円買いがドル以外の通貨に対しても出ていたもよう。「午後も輸出 が出ていた」と言う。

米国の追加金融緩和観測

アトランタ連銀のロックハート総裁は28日、政策当局者の間で新 たな資産購入を開始すべきかどうかをめぐる議論が今後数週間で激し くなるだろうとの見方を示し、当局者は景気回復支援のために必要に 応じて行動する意思を持っていると言明した。

前日の海外市場では米国の消費者信頼感指数が2月以来の低水準 に悪化したことを受け、米長期金利が低下。米連邦準備制度理事会(F RB)が景気浮揚に向け追加の量的緩和を実施するとの観測が高まる なか、ドルはほとんどの主要通貨に対して下落し、ドル・円も介入が あった15日以降で初めて84円を割り込んだ。

ユーロ・ドル相場も前日の海外市場で一時、4月15日以来の水準 となる1ユーロ=1.3596ドルまでユーロ高・ドル安が進行。この日の 東京市場では1.35ドル台後半でドルの上値が重い展開が続いた。

日銀短観

一方、日銀短観では、企業収益の改善を受けて大企業の景況感が 6期連続で改善したものの、先行きの見通しは、海外経済の減速懸念 や円高の影響から、リーマン・ブラザーズ破たん後の2008年12月調 査以来の悪化に転じた。

クレディ・スイス証券経済調査部の小笠原悟エコノミストは「大 企業のセンチメントが6月より悪化する見通しになり、日銀が一段の 緩和を検討する可能性は高まった。米国で11月の追加緩和の思惑が強 まれば、じりじりとドル安・円高が進むため、日銀もそれを抑える追 加的な資金供給を考えざるを得ないだろう」と指摘した。

短観によると、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」 と答えた割合を引いた業況判断指数(DI)は、大企業・製造業がプ ラス8と前回調査から7ポイント改善。大企業・非製造業はプラス2 と7ポイント改善した。予想調査ではプラス7、マイナス2が見込ま れていた。3カ月先の見通しは大企業・製造業がマイナス1、大企業・ 非製造業はマイナス2といずれも悪化した。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、日 銀短観の内容は強弱まちまちだが、全産業の設備投資が予想外に下方 修正されており、大企業・製造業の先行きも予想よりも悪いという点 で、景気の下振れリスクがある中で円高は容認できないと「介入する 理由にはなり得る感じもする」と語った。

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