金融庁:東京海上など大手損保の監督強化へ-海外リスク把握

金融庁は国際展開を進める東京海上 ホールディングスなど大手損保の監督強化に乗り出す。現地拠点への立 ち入り検査実施も視野に、M&A(合併・買収)積極化などで拡大する 海外事業のリスクを把握し、経営管理の徹底を促すのが狙いだ。複数の 関係者が明らかにした。

年内にも東京海上HD、MS&ADインシュアランスグループホー ルディングス、NKSJホールディングスなどを対象に、海外での投融 資状況や、M&Aを含む今後の事業拡大計画などを聴取する。金融庁で は、10人規模の専門チームも加え50人体制で、損失許容度の測定手法 や経営リスク管理体制を重点調査する。

国内景気低迷の中、大手損保では東京海上HDが38カ国、MS& ADが42カ国、NKSJが23カ国・地域に拠点を広げている。金融庁 は、海外事業に関するリスクを把握する重要性が増したとみて監督強化 に踏み切る。MS&ADの三井住友海上火災保険は米金融危機のあおり で欧州子会社が2009年3月期に約360億円の損失を計上した。

10年3月期の海外部門の純利益は、東京海上HDが米保険フィラデ ルフィア社の買収効果もあり689億円と前年同期の8倍に拡大。MS& ADは5年前の5倍となり、4年後の海外利益率は20%を目指している。 NKSJは今後3年間で海外M&Aなどに2000億円を投じるなど各社 は海外展開を加速する方針だ。

金融庁は今夏から大規模な国際取引を行う大手証券グループの監 視も強化。野村ホールディングスや米ゴールドマン・サックス、モルガ ン・スタンレーなどを対象に投資ビジネスの中身やリスク管理体制など を重点チェックしている。従来からの大手銀行グループに加え、証券、 保険の監督強化で世界的な金融混乱の再発防止につなげる考えだ。

買収先への立ち入り検査も

通常の保険検査官は約40人。今回の監督強化ではアクチュアリー (保険数理人)や弁護士、実務経験者などの担当官に、支援部隊である 機動班から10人を追加して調査を強化する。海外当局と連携して現地 での運用リスクや財務状況などを把握する方針だ。立ち入り検査は国内 拠点、海外拠点に加え、買収した海外子会社も対象とする。

JPモルガン証券の辻野菜摘アナリストは、大手損保の海外業務に ついて「人口が増えない日本で大きな成長は期待できない中、海外でプ レゼンスを高めていくことは重要」と指摘。それに伴い引き受けや資産 運用のリスクも高まるが、「金融当局による監督強化は投資家にとって 安心材料の一つになり得る」とみている。

金融庁広報の眞下利春室長は、「個別の検査・監督に関してのコメ ントは控える」と述べた。監督強化について東京海上の石井英行氏、M S&ADの村上雄一氏、NKSJの安川誠高氏の各広報担当はコメント を控えた。欧州子会社が損失計上した三井住友海上は6月に「国際管理 部」を新設して海外投融資の審査を一元化する体制に強化した。

--取材協力:伊藤小巻、山崎朝子 Editor:Kazu Hirano Takeshi Awaji

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