9月29日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場:ドル指数、8カ月ぶり低水準-FRB政策で

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロや円を含む主要通貨バスケ ットに対するドル指数が低下し、8カ月ぶり低水準を付けた。景気押し 上げのため、米連邦準備制度理事会(FRB)が国債購入を増やすとの 観測が背景にある。

経済指標では米国の景気回復が足踏みしている兆候が示されて おり、ドルはこのままいけば、四半期ベースでは主要16通貨すべて に対して値下がりとなる。バーナンキFRB議長は30日、上院銀行 委員会で証言する。円は対ドルで、15日の円売り・ドル買い介入以 来の高値付近で推移。オーストラリア・ドルは、カナダ・ドルに対し て2004年以来初めてパリティー(等価水準)に達した。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの主任市場アナリ スト、オマー・エシナー氏は「FRBの追加緩和見通しがドルには非 常に重しとなっている」と指摘。「米経済の脆弱(ぜいじゃく)な状 況が続く限り、日本政府・日銀はドル・円相場の水準維持に苦労する だろう」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時24分現在、主要6通貨に対するイン ターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は78.755と、前 日の79.014から0.3%低下。一時78.616と、1月28日以来 の低水準を付ける場面もあった。

ドル下落

ドルはユーロに対し0.3%安の1ユーロ=1.3631ドル(前日

1.3585ドル)。一時1.3639ドルと、4月15日以来の安値を付 ける場面があった。ユーロは対円で1ユーロ=114円7銭(前日 113円94銭)。円は対ドルで、1ドル=83円68銭(前日は83 円87銭)。一時83円50銭と、15日の円売り・ドル買い介入以 来の高値に上昇した。

日本の財務省は30日に、8月28日から9月28日の期間に実施 した円売り介入の規模を公表する。

豪ドルはカナダ・ドルに対し上昇。市場では、カナダ銀行(中央 銀行)が政策金利を据え置くとの観測が広がっている。ブルームバー グ・ニュースのエコノミスト調査の中央値では、豪準備銀行(RBA) は来週の政策決定会合で、政策金利を4.75%に引き上げると予想さ れている。

豪ドルはカナダ・ドルに対し、1豪ドル=1.0020カナダ・ド ル(前日は0.9963カナダ・ドル)に達した。対米ドルでは、

0.2%上昇し、0.9691米ドル。一時0.9730米ドルと、08年7 月23日以来の高値を付ける場面もあった。

FRB政策論議

FRB当局者らは、国債の買い増しが景気回復ペースを加速させ るのに役立つかどうかについて議論している。アトランタ連銀のロッ クハート総裁は28日、資産購入を開始すべきかどうかをめぐる議論 が間もなく激しくなるだろうと述べた。

ボストン連銀のローゼングレン総裁は、追加の大規模な国債購入 は経済見通しや今後発表される統計内容に左右されるとの見方を示し た。またフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は、デフレの「リス クがほとんどない」ことなどを理由に、一段の金融緩和には反対の姿 勢を表明した。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア為替ストラテジスト、 ウィン・シン氏は「ドル相場については、市場はすでに量的緩和を織 り込んでいる」とした上で、「私はまだ済んだ話ではないと考えて いる」と述べた。

◎米国株式市場:下落、欧州債危機の悪化を懸念-銀行・小売り安い

米株式相場は下落。欧州債務危機の悪化や、銀行や小売業者の利益 予想の低迷に対する懸念で売りがかさんだ。

JPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴなど金融株が下げ た。衣料小売りのアーバン・アウトフィッターズも下落。衣料品小売 りで欧州2位、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M) の利益がアナリスト予想を下回ったのが嫌気された。

原油価格の上昇を好感し、エネルギー株が値上がりし、コンピュ ーターのヒューレット・パッカード(HP)は利益予想がアナリスト 予想を上回ったのが買い材料となり上昇。株価指数は一時、もみあう 展開となった。

S&P500種株価指数は前日比0.3%安の1144.73。ダウ工 業株30種平均は22.86ドル(0.2%)下落の10835.28ドル。

カブレラ・キャピタル・マーケッツのシニア株式トレーダー、ラ リー・ペルッツィ氏は、「相場は堅調に上げてきた。今は次の段階 に入るための材料を待っている状況だ」と述べ、「四半期が終わりを 迎え、決算シーズンを控えて相場は揺れている」と続けた。

S&P500種は月初から9.1%上昇と、9月の成績としては過 去71年で最大の値上がりだ。欧州債務危機と米国の失業が世界景気回 復の足を引っ張るとの懸念が緩和されたのが背景だ。

欧州の懸念

欧州の銀行株が下落したのに追随し、米銀の株価も低迷した。欧 州の多重債務国が財政赤字の縮小に苦戦するとの懸念が背景にある。

ブルームバーグ・ニュースの調査によると、スペインはムーディ ーズ・インベスターズ・サービスが付与する最上級格付けを失うリス クがある。リセッション(景気後退)からの脱却や財政赤字縮小が難 航しているのが理由だ。アイルランドはアングロ・アイリッシュ銀行 の救済費用を30日に発表する。

セキュリティー・グローバル・インベスターズのファンドマネジ ャー、マーク・ブロンゾ氏は、「欧州のソブリンリスクは、断続的に 相場を左右する懸念材料になっている」と説明した。「国外の経済成 長に比較して米経済成長がどのように展開するのか、綱引きのような 状況だ」と続けた。

モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループはい ずれも下落。著名アナリストのメレディス・ホイットニー氏が両社の 2010-12年の通期利益予想を引き下げたのが影響した。

JPモルガンは1.4%下落。ウェルズは1.2%安だった。S& P500種金融株価指数は0.8%下落と、産業別10指数のうち値下が り率2位。

モルガン・スタンレーは0.1%安、ゴールドマンは0.4%下落 した。ゴールドマンのアナリストはモルガン・スタンレーの第3四半期 利益予想を引き下げた。債券、通貨・商品および株式部門の収入が 「軟調」との見方が理由だ。

アーバン・アウトフィッターズ、HP

アーバン・アウトフィッターズは8.4%下落。S&P500種銘 柄の中で最大の値下がり率だった。

一方、HPは2.2%上昇。HPのキャシー・レスジャク暫定最高 経営責任者(CEO)は、2011年通期について、一部コストを除く1 株利益が5.05-5.15ドル、売上高が1315億-1335億ドルにな るとの予想を明らかにした。ブルームバーグ調査のアナリスト予想は、 1株当たり利益が5.01ドル、売上高が1317億ドルだった。

◎米国債市場:下落、FRB当局者が量的緩和に反対表明

米国債相場は下落。10年債利回りは3日ぶりに上昇した。米連邦 準備制度理事会(FRB)の政策当局者が国債買い増しに疑問を呈した ことが背景にある。

フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は、デフレの「リスクが ほとんどない」ことなどを理由に、米連邦公開市場委員会(FOMC) による一段の金融緩和には反対の意向を表明。ボストン連銀のローゼ ングレン総裁は、追加の大規模な国債購入は経済見通しや今後発表さ れる統計内容に左右されるとの見方を示した。

ノバスコシア銀行の米国債トレーディング責任者、チャールズ・ コミスキー氏(ニューヨーク在勤)は「この日のFRB当局者の発言 はよりバランスが取れていた」と指摘。「当局もまだ十分な情報を持 っておらず、さらなるデータが必要だ。疑問は残っている」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時3分現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の2.50%。同年債(表面利率

2.625%、2020年8月償還)価格は9/32下げて101 2/32。

10年債利回りは一時2.45%と、8月25日以来の低水準付近に 低下する場面もあった。2年債利回りは1bp上昇の0.44%。22日 には過去最低の0.41%まで下げていた。

10年債と2年債の利回り格差は2.07ポイントに拡大。前日は 8月31日以来の最小となる2.03ポイントに縮小していた。

政策当局者の発言

ローゼングレン総裁はニューヨークでの講演後の質疑応答で、追 加の国債購入は「状況に左右される部分が大きい」と発言した。

プロッサー総裁はニュージャージー州での講演で「現時点での資 産購入の拡大は、利点がほとんどなく、一定のコストが予想されるた め、打ち出すべきではない」と語った。

FRBは先週、8月10日の会合で示した金融システムからの資 金流出を回避するため国内証券の保有規模を約2兆ドルに維持すると するスタンスを保つ方針を示した。FRBは前日に5億5000万ド ル相当のインフレ連動債(TIPS)を購入。今回の購入プログラム が始まった8月17日以降の総額は346億1200万ドルとなってい る。

入札

国債相場はこの日、下げを埋める場面もあった。米財務省が実施 した290億ドルの7年債入札では最高落札利回りが過去最低となっ た。

投資家の需要を測る指標の応札倍率は3.04倍と、政府が 2009年2月に同年債の入札を再開して以来の最高水準だった。最高 落札利回りは1.890%と、ブルームバーグがプライマリーディーラ ー7社を対象にまとめた入札直前の予想の1.899%を下回った。

キャボット・マネー・マネジメントの債券ポートフォリオマネジ ャー、ウィリアム・ラーキン氏は「順調な入札だった」と指摘した上 で、「不透明感が広がっており、経済の行方がわからない」と述べた。

既発の7年債利回りは3bp上昇の1.87%。一時は1bp低下 し1.83%となる場面もあった。前日には1.82%と、09年の同年 債入札再開以来の最低を付けた。

前日の国債相場は上昇していた。5年債入札(発行額350億ドル) で最高落札利回りが1.260%と、政府が1976年に四半期ベースの 同年債入札を開始して以来の最低となったほか、米消費者信頼感指数 が2月以来の最低に落ち込んだことが手掛かりだった。

27日に実施された2年債入札(発行額360億ドル)では最高 落札利回りが過去最低の0.441%、応札倍率は07年8月以来の高 水準となる3.78倍だった。財務省は今週の計3回の入札で総額 1000億ドルの国債を発行した。

月末にベンチマーク(基準)と合わせるため、一部の投資家はデ ュレーション(保有債券の平均残存期間)の拡大を図り、長めの国債 を購入した。

◎金先物市場:連日の過去最高値、一時1314.80ドル

ニューヨーク金先物相場は続伸し、9月中旬以降で9度目の過去 最高値更新となった。ドル安で貴金属に代替投資としての買いが集ま った。

金は1オンス=1314.80ドルまで上昇し、過去最高値を更新。 ドルは主要通貨バスケットに対し、1月以来の水準に下落した。米景 気回復に弾みを付けるため、米連邦公開市場委員会(FOMC)が追 加緩和に踏み切るとの観測が背景にある。

キトコ・メタルズ(モントリオール)のアナリスト、ジョン・ナ ドラー氏は、「貴金属市場でこの1カ月みられる現象は、米金融緩和 第二章が避けられないとの認識に明らかに基づいたものがほとんどだ」 と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比2ドル(0.2%)高の1オンス=1310.30ド ルで終了した。金現物は同1313.45ドルまで上昇し、過去最高値を 付けた。

◎原油先物市場:7週ぶり高値に反発、石油製品の予想外の在庫減で

ニューヨーク原油先物相場は大幅反発。ガソリンと留出油の在庫 が予想外に減少したことを受け、原油は7週ぶり高値に上昇した。製 油所稼働率は4月以来の水準に低下した。

原油価格は一時2.6%高まで買い進まれた。石油総在庫は3月 以来の大幅減少となった一方、ガソリン需要は2月以来の大幅増加と なった。石油消費2位の中国では、9月の製造業活動が2カ月連続で 加速した。

ワイス・リサーチ(フロリダ州ジュピター在勤)の天然資源アナ リスト、ショーン・ブロドリック氏は、「米国で状況が上向いてきた だけでなく、中国のような新興市場での過熱は続いているようだ」と 指摘。「市場には強気の勢いがみられる」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物11月限は前 日比1.68ドル(2.21%)高の1バレル=77.86ドルで終了した。 一時は8月11日以来の高値となる同78.13ドルを付けた。

◎欧州株式市場:下落、債務危機と景気減速を懸念-H&Mに売り

欧州株式相場は下落。ソブリン債危機が続くなか、スウェーデン の衣料品小売り、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)の6-8月 (第3四半期)決算が失望する内容だったことを背景に、景気減速懸 念が強まった。

H&Mはこの日発表した6-8月期決算で粗利益が減少したこと を明らかにした。英石油会社BPは上昇。同社がメキシコ湾の原油流 出事故で和解に向けて取り組んでいると報じられたことが買いにつな がった。ドイツの日用品メーカー、バイエルスドルフも大幅高となっ た。同業の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が買収に関 心を示したことが手掛かり。

ストックス欧州600指数は前日比0.5%安の261.02で終了。 7月以降の上昇率は7.3%となった。5月に付けた直近の最安値から は12%上げている。

F+Mフィナンシャル(フランクフルト)で1億5000万ユーロ 相当の資産運用に携わるイエンス・フィンクバイナー氏は、「欧州に はまだ多くのリスクがあるほか、域内の債務危機は終わっていない」 と指摘。「一部決算は依然として予想を下回っており、一連のニュー スは相場を押し上げるほど明るいわけではない」と続けた。

29日の西欧市場では、18カ国中13カ国で主要株価指数が低下 した。

H&Mは6.5%下げた。同社の6-8月期利益は23%増と、市 場予想に届かなかった。

BPは3.9%上昇。AP通信によると、BPは米当局と和解に向 けて協議している。ルイジアナ州選出のスカリーズ下院議員(共和党) の話を引用して報じた。バイエルスドルフは4%高となった。

◎欧州債券市場:独2年債は続落-ECBの銀行融資減少で利上げ観測

欧州債市場では、ドイツ2年債相場が続落。欧州中央銀行(EC B)が発表した今後の市中銀行への融資額が一部アナリストの予想を 下回ったことから、利上げ観測が台頭した。

独2年債利回りは約1週間ぶり高水準となった。ECBが3カ月 物資金1040億ユーロを貸し付けると発表したことを受け、欧州銀行 間取引金利(EURIBOR)の先物相場は下落した。一方、2250 億ユーロ相当の長期融資は満期を迎える。

ポルトガル国債相場は上昇。同国では2011年度予算合意に向け た取り組みが進んでいる。

ラボバンク・グループ(ユトレヒト)のシニアマーケットエコノ ミスト、エルビン・デグロート氏は、「流動性供給予定額は予想を下 回った」と指摘し、「利上げ時期が市場で当初見込まれていたよりも 近いとの観測が広がった。これが短期金利を押し上げ、資本市場に影 響を及ぼした」と語った。

ロンドン時間午後3時40分現在、ドイツ2年債利回りは前日比 5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の0.78%。同国 債(表面利率0.75%、2012年9月償還)価格は0.096ポイント下 げ99.94。一方、独10年債利回りは2bp低下し2.23%。

この日のEURIBOR先物2011年12月限は5bp上昇し

1.37%。政策金利が引き上げられるとの見方が強まった。

ポルトガル10年債利回りは6bp低下の6.54%。同年限のド イツ国債に対するスプレッド(利回り格差)は6bp縮小し421bp となった。

◎英国債市場:上昇、10年債利回り2.91%

英国債相場は上昇。イングランド銀行(英中央銀行)が29日発表 した8月の住宅ローン承認件数は4カ月連続で減少し、景気回復が失 速しつつあるとの見方が強まった。

10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)低下の2.91%。同国債(表面利率4.75%、2020年3月 償還)価格は0.225ポイント上げ115.065となった。2年債利回 りは2bp下げ0.63%。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ部門がまとめた 国債指数によると、英国債の今月のリターン(投資収益率)はマイナ ス0.6%となり、7月以降のプラス幅を3.8%に縮小した。これに対 し、ドイツ国債の7月以降のリターンはプラス2.3%、米国債はプラ ス2.9%。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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