たばこ狂騒曲、愛煙家買いだめでにわか景気も-1日から大幅値上げ

神奈川県厚木市のたばこ店で今月、 ひとりの男性客がマイルドセブンを100カートン購入した。値段は締め て30万円。

1箱300円のマイルドセブンは10月1日から410円に値上がりす るため、100カートンだと11万円の節約だ。この店では30カートン程 度のまとめ買いは珍しくなく、在庫が続くかどうか気がかりという。こ うした愛煙家らの買いだめは全国に広がっている。

1本当たりのたばこ価格は、たばこ税の引き上げ分3.5円と値上げ 分1.5円で、計5円程度上昇する。JTの広報担当、杉本由佳氏は、値 上げ前の駆け込み需要は8月から目立つようになったという。日本たば こ協会によると、8月のたばこ販売量は前年を1.9%上回り、2年ぶり に増加したという。

駆け込み需要は景気データも左右するとの見方もある。日本総研に よると、たばこの駆け込み需要により、7-9月期の経済成長は年率で 最大1.4%押し上げられる可能性があるという。同総研の小方尚子主任 研究員は、9月の一時的な需要で7-9月期の個人消費は前期比0.2-

0.6%押し上げられると予想している。

もっとも、値上げ前の一時的な需要には反動がつきもの。総務省統 計局のデータによると、2006年の前回のたばこ値上げの際には、6月に たばこの消費額が前年同月比49%増加したものの、値上げ後の7月には 逆に40%低下した。

BNPパリバの加藤あずさエコノミストは、今回もたばこ税の引き 上げに加えエコカー補助金終了などがあり、個人消費は「7-9月には ものすごく伸びて、10-12月にはとんでもなく落ちる」と指摘する。日 本総研の小方氏は、値上げを機にたばこ離れが進むとみている。JTは 7月の段階で、値上げにより今期(11年3月期)の国内たばこ売上高は 前期比16%低下するとの予想を明らかにしている。

やめない

とはいえ世界の中で日本はまだ喫煙大国。英国の調査会社ERCに よると、日本のたばこ市場の規模は中国、米国、ロシアに次いで4位。 また日本人が2007年に吸ったたばこの本数は平均2028本で、米国人や ドイツの約2倍という。値上げ後のたばこ価格もニューヨーク市の1箱 平均10.8ドル(約900円)の約半分にとどまる。

関西社会経済研究所が昨年12月にまとめたたばこ価格と禁煙の関 係の調査によると、1箱当たり350円だと約10%、500円だと約42%、 1000円だと約83%が禁煙すると答えた。

愛煙家の佐藤智彦氏(30)は、値上がり前にすでに「ラッキースト ライク」を20カートン確保。今回の値上げがあっても「何も変わらな い」と断言。「やめないし本数も減らさない。たばこ大好き」と話す。

ジャパンインベストの大和樹彦アナリストは、今回の値上げには企 業の値上げ分も1本当たり1.5円含まれているため、JTの利益にはプ ラスになるとみている。

--取材協力 小笹俊一、Julie Masuda、 Andy Hung in Tokyo. Editors: Adam Majendie, Kenzo Taniai, Tetsuzu Ushiroyama

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