「PIIGS」イタリア悩ます政治混乱-償還不安で国債発行に影響も

【記者:Steve Scherer】

9月28日(ブルームバーグ):イタリア政府の資金調達コストが上昇 している。同国は公的債務残高の国内総生産(GDP)比率がユーロ 圏で最も高く、ベルルスコーニ首相は、総選挙の前倒し回避のために 十分な支持をつなぎ留めようと躍起になっている。

イタリア政府は28、29の両日、最大95億ユーロ(約1兆760億 円)相当の国債を発行する予定。それを控えて、イタリア10年国債の ドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は27日、163ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01%)を上回り、1カ月ぶりの高水準で 推移した。

イタリアでは7月30日、ベルルスコーニ首相率いる自由国民党か ら、同党の結党にも参加したフィーニ下院議長が離脱し、中道右派の 連立与党が下院で絶対多数を失った。下院の任期満了は13年だが、首 相の政権運営は行き詰まりつつある。同国政府は今年250億ユーロの 赤字削減を目指す一方、500億ユーロ相当の国債償還に備える必要が ある。

ロンドンに拠点を置く証券会社ホバート・キャピタル・マーケッ ツの調査責任者、アレクサンダー・サッセン・ファンエルスルー氏は 「不安定な政治情勢の長期化は債券スプレッドにとってプラスになら ない。いわゆるユーロ周辺国と呼ばれる国にとっては特にそうだ」と 述べ、「他の条件がすべて同じなら、イタリアのソブリン債のドイツ国 債に対するスプレッドが今後拡大するのは確実だ」と話す。

イタリア政府は28日に2021年満期のインフレ連動債15億ユーロ 相当の発行を計画。29日には15年満期の変動利付債(FRN)最大 20億ユーロ相当と3年物債30億ユーロ相当、21年満期債30億ユーロ 相当の財務省入札が実施される。29日の発行額は8月30日に同じ3 種類の国債100億ユーロ余りを発行して以来の規模となりそうだ。

イタリア10年国債のスプレッドは8月2日以降、41bp拡大し、 163bpとなったが、それでもユーロ圏の高債務国グループ「PIIG S」の中では、それほど高くはない。スプレッドはギリシャが865b p、アイルランドが429bp、ポルトガルが414bp、スペインが186 bpに達している。しかし、PIIGSで年内に国債の償還に対応し なければならないのはイタリアだけだ。

ベルルスコーニ首相は9月11日に支持者らに対し、総選挙が前倒 しで実施された場合、「市場の信認を部分的であっても失うリスクを冒 すことを忘れるべきではない」と述べ、政治的混乱が同国の資金調達 を阻害する恐れがあると警告した。