シンガポールGIC:資産配分の柔軟な調整へ-新興市場に軸足

政府系ファンド(SWF)シンガ ポール政府投資公社(GIC)は、ポートフォリオ調整を一段と迅速 に実施できるようにするとともに、先進国を上回る成長を遂げる新興 市場に軸足を置く意向だ。

GICのウン・コクソン最高投資責任者(CIO)は27日に公表 した年次報告書で、「大きなリスクや投資機会により柔軟に対応する」 ため、理事会の承認の下、5年以内の中期的資産配分を自由に変更で きるようにすることを明らかにした。GICはシンガポールの外貨準 備1000億ドル(約8兆4000億円)超を運用する。

先進国の経済成長が鈍化するなか、GICは高成長を遂げる新興 諸国、特にアジアへの投資拡大を継続する意向だ。報告書によると、 2010年3月期のポートフォリオに占める米国資産の割合は、前の期の 38%から36%に低下した。

ルービニ・グローバル・エコノミクスのシニアアナリスト、レイ チェル・ジエンバ氏(ロンドン在勤)は、「GICは異なる投資期間で の運用を図っている」とした上で、「GICは長期的な視野を持った投 資家である一方、公的資産の市場力学の現状からみると市場動向次第 で痛手を負うリスクがある」と指摘した。

GICが公表した過去20年間の平均リターンは米ドルベースで 年7.1%。ただ、前期は5.7%だった。資産総額とその増減額は明らか にしていない。

新興国は向こう10年景気拡大

ウンCEOは、向こう10年間のマクロ経済環境の特徴について、 先進国が成長鈍化である一方、新興国は内需が輸出の弱さを補い景気 拡大を続けると指摘。「投資家は、先進国ではデフレリスクやソブリン 債格付け悪化と、新興国ではインフレリスクや高い信用格付けに取り 組む必要がある」と指摘した。