介入後も円高観測、日本のデフォルト懸念は韓国より深刻-当社調査

政府・日本銀行の円売り介入にも かかわらず、円・ドル相場の先高観測はなお根強いことが、世界の投 資家調査で明らかになった。また、日本のデフォルト(債務不履行) 懸念は英国と並び、米国・ドイツ・フランスより悪く、11月に20カ 国・地域(G20)首脳会議を開く韓国にも劣ると評価されている。菅 直人首相の政策に対しては、悲観的な見方が多かった。

ブルームバーグが世界の投資家やアナリストなど端末ユーザー 1408人を対象に今月16、17日に実施した四半期調査では、政府によ る15日の円売り介入後も、年内に円・ドル相場が上昇するとの見方が 41%に上った。「現状程度」が24%、下落するとの回答は28%だった。 極端な上昇や下落の予想は、いずれも3-4%にとどまった。

今回の「ブルームバーグ・グローバル調査」によると、公的債務 残高が国内総生産(GDP)の約1.9倍と主要国で最悪の日本がデフ ォルトに陥る可能性が「あり得る」との回答が7%。米英と同水準で、 独仏や韓国、ブラジルより高かった。「あり得ない」は89%。英国と ともに5カ国で最低だった。

PIIGSと称される欧州の重債務国ポルトガル、アイルランド、 イタリア、ギリシャ、スペインや、1990年代以降に債務危機を経験し たアルゼンチン、ロシア、メキシコはいずれも「あり得る」が10%を 超えた。欧州債務危機の発端となったギリシャは67%で最も高かった。

日本の財務省によると、国債・借入金・政府短期証券を合わせた 国の債務残高は10年6月末に過去最大の904兆772億円。3月末から 21兆1538億円増えた。ただ、日本銀行の統計では、公的債務の国内 消化余力の目安となる家計の純金融資産は6月末に前年同期比0.9% 増の1077兆7923億円。国債等の約94%は国内で保有されている。

菅内閣の政策、評価は最低

投資環境に影響を及ぼす政策に関しては、菅首相に「楽観的」な 投資家は27%。米英独仏と中国を含む6カ国中、サルコジ仏大統領と 並んで最低だった。「悲観的」との回答は47%で、オバマ米大統領と サルコジ仏大統領に次いで高かった。

「楽観的」が50%以上だったのはメルケル独首相と中国の胡錦濤 国家主席、キャメロン英首相の3人。「悲観的」が最も多かったのはオ バマ米大統領の64%、サルコジ仏大統領は56%だった。

10カ国・地域のうち、来年にかけて有望な投資機会を聞いたとこ ろ、日本が「最も有望」(複数回答)との見方は7%で7位。債務危機 に見舞われた欧州連合(EU)を下回った。「最悪の見通し」と評価さ れた国・地域では、EUが35%で最多。日本が30%で続いた。

「最も有望」が3割を超えたのはブラジル、中国、インドの3カ 国。米国は24%、アフリカが11%で5位に入った。「最悪の見通し」 では米英が日欧に次ぐ20%超、ドバイ・ショックから約10カ月の中 東が14%で5位、不動産バブルが懸念される中国が13%で6位となっ た。

人民元の上昇、小幅にとどまる

オバマ米政権や米議会は、中国の為替政策に対する圧力を強めて いるものの、人民元相場が来年末までに対ドルで「数%」以下の上昇 にとどまるとの予想が68%を占めた。「5%前後」との回答は13%。 「5%超」を見込む向きは8%だった。

今後3カ月間のユーロ・ドル相場については、投資家やアナリス トの見方は割れている。ドル高予想が34%、小動きが32%、ドル安と の回答は30%だった。

円・ドル相場は15日に一時、1ドル=82円88銭と95年5月以 来の高値を記録。同年4月の戦後最高値79円75銭に迫った。菅内閣 は同日、2004年3月以来6年半ぶりに円売り介入を実施。円・ドル相 場は1カ月ぶり安値をつけた。政府は今後も、輸出や株価に打撃を及 ぼす円高加速は介入で抑止する構え。日銀の白川方明総裁も、円高が 日本経済に及ぼす影響を注視し、適宜対応する姿勢を示している。

二番底、失われた10年

今回の調査で、投資家やアナリストの57%は米連邦準備制度理事 会(FRB)の金融政策運営は「おおむね適切」と評価。87%が債券 購入による金融緩和を見込んでいる。しかし、この追加緩和が米経済 を押し上げるには至らないとの見方は65%を占める。

米国経済が今後6カ月以内に二番底に陥る可能性があるとの回答 が62%。日本の「失われた10年」と似た経路をたどる恐れがあると の見方は69%に達した。米財政赤字が今後2年間に信用危機を誘発し、 長期金利の劇的な上昇をもたらす「可能性がある」との予想は、「わず かながら」(33%)も含めて86%。「あり得ない」は13%だった。

ただ、米金融緩和の長期化観測を背景とした債券相場の上昇に対 しては、一定の警戒感も見られる。米国債相場が現在、バブル状態に あるとの回答は46%、否定的な見方が45%で拮抗。今後6カ月で米 10年債利回りが上昇するとの予想は49%、「下落する」は26%にとど まった。同時期に金相場は50%、S&P500種株価指数は49%、原油 相場は44%の投資家やアナリストが上昇見通しを示したが、下落予想 との差は米10年債が最大だった。

来年にかけて「最も高い」収益を期待する金融商品は株式が36%、 商品が32%、通貨が16%。「最低の」運用成績になると見ているのは 債券が49%、不動産が24%だった。今後6カ月の投資戦略で「増やす」 のは株式が44%、商品が36%。債券は「減らす」が49%に達した。