リーマンの元ストラテジスト:アイスクリーム屋への転身、賭けは成功

カルロ・デルミストロ氏は事業を 始めた時、リスクを冒していると考えていた。投資銀行の社員からアイ スクリーム屋に転職した当時だ。

投資銀行というのは、ロンドン東部カナリーウォーフにあったリー マン・ブラザーズ・ホールディングス。退社したのは2008年。悪くな いタイミングだった。

「ロンドンビジネススクールでMBA(経営学修士)の学位を取得 するために07年にシティー(ロンドンの金融街)を後にした。リーマ ンが学費を支援してくれた」とデルミストロ氏(29)は語る。職場では 企業戦略と事業開発を担当し二酸化炭素(CO2)関連市場でのビジネ スチャンスを調査していた。

「最初の夏季休暇の間に決心したんだ。大企業でインターンシップ をするよりは自分で事業を始めようと。もしそれがしっくりこなければ リーマンに戻れると思った。08年の年末、わたしを支援してくれる企 業はもはやなく、一方でアイスクリーム事業は繁盛しているのを目の当 たりにした」。

デルミストロ氏は金融業以外で新たなキャリアを見いだした多くの バンカーたちのうちの1人だ。リーマン破たん後の金融危機で解雇され た約34万6000人のうち何人かが退職金を注ぎ込んで夢を追い掛けた。 自分から退職しトラの保護やスキー作り、映画製作などさまざまな職業 に転身した人々もいる。

デルミストロ氏は自身の企業ジェラート・ミオを立ち上げ、母国イ タリアで好物だったアイスクリームを販売する店をホランドパークで開 き事業を開始した。

デルミストロ氏は「事業を始めた08年はとても厳しい年だった。 銀行は融資に関して非常に慎重になっていたから資金のほとんどは株式 を通じて調達した」と振り返る。「最初に受けた融資はイタリアの銀行 UBIバンカからだった。今では4店舗を展開し売上高は150万ポンド (約2億円)。少ないけれどきっちり利益を上げている。満足している よ」と語った。 (リチャード・バインズ)

(バインズ氏はブルームバーグ・ニュースの芸術・娯楽部門の主 任料理評論家です。この記事の内容は同氏自身の見解です)