スイス・フラン:対ドル最高値更新の背景に東欧の住宅ローン事情

過去半年間の主要通貨のパフォー マンスで上位2番目のスイス・フランは先週、対ドルで最高値を更新 した。フラン高の背景には東欧での住宅ローンの返済遅延がある。

東欧の消費者は国内の高金利を避けて、世界で最も低い水準にあ るフラン建てローンを活用していた。国際決済銀行(BIS)の最新 データによると、銀行のフラン建て債権は2008年9月までの5年間で 5195億ドル(約44兆円)相当から8474億ドルに急増したが、その後 今年1-3月(第1四半期)には6476億ドルに減少した。

この減少分にはポーランドやハンガリーなどの消費者向け債権も 含まれている。これらの国の消費者はフラン高に伴う債務増加に対応 して返済を急いでいる。この結果としてフランが上昇し、東欧諸国政 府はフラン建て住宅ローンの解約を促す取り組みを進めている。

UBSの通貨ストラテジスト、マニュエル・オリベリ氏は「フラ ン高が進行するほど、外貨建てローンの借り手には解約への圧力が強 まる」と述べ、これが一段のフラン高を促す通貨の流入につながると 分析した。

政府統計によると、ポーランドでは住宅ローンに占めるフラン建 ての割合が6月までの1年間に7ポイント低下し60%となった。この 間にフランはポーランド・ズロチに対して7.7%上昇した。ハンガリ ー当局の8月9日の発表によると、同国の住宅ローンの延滞は08年 12月から今年3月までに83%増加した。

東欧の住宅購入者の一部はこれまで、フランで借りた資金を自国 通貨に転換してスイスの低金利の恩恵を受けてきたが、現在ではこう した資金調達手法は敬遠されている。そのためフラン売り・東欧通貨 買いの取引は減少し、フラン高の緩衝材が取り除かれた格好となり、 ズロチは今年、フランに対して7.2%下落、フォリントは13%値下が りしている。

ハンガリーは6月8日、外貨建て住宅ローンの登録を禁止すると 発表。オルバン首相はこれらのローンをフォリント建てに転換し、不 良債権を銀行から買い取る計画だと、ハンガリー通信が今月16日に報 じている。

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