穀物高騰でも商品指数変動率は96年以来の低水準-貴金属上昇示唆か

小麦相場が今年に入って最大2倍 に高騰し、綿花も上昇しているものの、商品指数はインフレ、デフレの いずれも示唆してはおらず、投資家の間では10月-12月(第4四半期) に最高のリターン(投資収益率)を見込めるのは貴金属との見方が強ま っている。

24銘柄で構成するスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の GSCI指数は昨年12月以降1.6%の上昇にとどまり、変動率は 1996年以来の低水準となった。同指数に連動して800億ドル(約6兆 7000億円)が投資されている。金相場は過去最高値を更新し銅も高騰 したが、これらの銘柄の上昇は主要燃料消費国である米国と中国の経 済成長が鈍化し燃料需要が減退したため、天然ガスと原油相場の下落に よって相殺された。

ユーロ・パシフィック・キャピタル(ニューヨーク)のシニアエコ ノミスト、マイケル・ペント氏は、農産物商品の価格上昇の要因は原材 料需要の増加よりはドル相場の軟化やロシアでの干ばつによる部分が大 きいと指摘する。同氏は2008年の商品相場の暴落を的確に予測した。 世界経済が低迷するとの懸念が広がるなか、資産価値の目減り防止を目 指す投資家の金と銀の保有量は今年、過去最高水準に積み上がってい る。

BB&Tウェルス・マネジメントのシニアバイスプレジデント、ウ ォルター・ヘルウィグ氏は「世界の経済成長は堅調とは言えない。主に 先進国の原油需要の減退が原因だ」と指摘。「需要拡大により価格が上 昇すれば、景気回復の兆候だろう」との見方を示した。同社は170億ド ル相当を運用している。

米労働省が17日発表した8月の米消費者物価指数(CPI)は前 年同月比で1.1%の上昇にとどまり、過去10年間の平均である2.6% を下回った。米連邦準備制度理事会(FRB)は21日、長期的な望ま しい水準を下回っているインフレ率を注視していることを示唆した。欧 州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が15日発表したユーロ圏の 8月の消費者物価指数は前年同月比1.6%上昇と、7月の同1.7%上昇か ら鈍化した。

「利ざや圧迫」

農産物価格の上昇は実需業者のコスト増につながっている。米食品 会社クラフト・フーズは米国で販売する一部のコーヒーの価格を5月以 降2度にわたって値上げし、タイヤメーカーのブリヂストンと米グッド イヤー・タイヤ・アンド・ラバーもタイヤの価格引き上げを発表した。

ニューヨークのコーヒー相場は8日、1997年以来の高値に上昇。 東京工業品取引所の天然ゴム相場は4月に1年9カ月ぶりの高値を付 け、ニューヨークの綿花相場は今月22日、15年ぶりの高値に達した。

USグローバル・インベスターズで20億ドルの運用を手掛けるエ バン・スミス氏は、食品会社は原材料価格の上昇分を消費者に転嫁せず 吸収する可能性があると指摘。「厳しい経済環境」にあるため「トウモ ロコシや小麦の相場上昇に伴い、これらの穀物の買い手のほか、消費財 や食品のメーカーの利ざやが圧迫されるだろう」との見方を示す。

工業用原材料価格は上昇へ

S&P GSCI指数と商品19銘柄で構成するロイター・ジェフ リーズCRB指数はともに今年に入って小動きで推移しているが、他の 指数は異なる動きを示している。銅スクラップや黄麻布、牛皮革など取 引所であまり取引されていない原材料で構成するロイター・ジェフリー ズCRBスポット工業原材料指数は8.1%上昇。三菱東京UFJ銀行の 金融担当チーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏(ニューヨーク在 勤)は、これが近い将来の相場上昇を示唆している可能性があるとみて いる。

ラプキー氏は「商品指数は高騰し過去最高水準を付けそうだ。この ため買いが増えるだろう」との見通しを示した。同氏は3-6カ月以内 にロイター・ジェフリーズCRBスポット工業原材料指数が20%上昇 し最高水準に達すると予想している。

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