貿易黒字は15カ月ぶりマイナス、37.5%減少-輸出鈍化鮮明

8月の日本の輸出額は前年同月比 で9カ月連続増加したものの、伸び率は6カ月続けて縮小し輸入を下 回ったため、貿易黒字額は15カ月ぶりのマイナスとなった。海外経済 の変調や為替市場での円高から輸出拡大の勢いには陰りが出ている。

財務省が27日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)による と、輸出額は前年同月比15.8%増の5兆2241億円となった。輸入額 は同17.9%増の5兆1209億円。この結果、貿易黒字額(原数値)は 同37.5%減の1032億円となり、15カ月ぶりに減少した。エコノミス ト調査の予想中央値は輸出額が同19.0%増、輸入額が同17.5%増。貿 易収支は5221億円の黒字予想だった。

足元の輸出環境は、円高進行や海外経済の停滞から不透明感が出 ている。政府が10日に発表した9月の月例経済報告は、景気は引き続 き持ち直しているとしながらも、「このところ環境の厳しさは増してい る」と指摘。輸出については「このところ増勢が鈍化している」とし、 前月の「緩やかに増加している」との表現を7カ月ぶりに下方修正し た。

野村証券金融経済研究所の野木森稔エコノミストは発表後のリポ ートで、「4-6月期の景気回復をけん引してきた輸出が足元で大きく 減速していることを示している」と指摘。「日本の輸出は腰折れには至 らないが、円高の進行や米国景気の先行き不透明感といった輸出の下 押し材料には注意を要する」との見方を示した。

対中国は2カ月ぶりに赤字

輸出入の主要品目をみると、輸出では欧州連合(EU)やロシア、 中国向けを中心に自動車が前年同月比18.7%増、中国、韓国向けの鉄 鋼が26.1%増。一方で、米国向けの自動車は8.3%減と10カ月ぶりに マイナスに転じた。輸入では液化天然ガスが55.9%増、鉄鉱石が

106.8%増だった。

地域別の黒字額は、対米は前年同月比4.9%増の2854億円、 対EUは同84.8%増の819億円、対アジアは同10.0%増の7581億円 だった。うち、対中国は696億円の赤字と2カ月ぶりに赤字に転じた。 また、輸出額は対米が8.8%増、対EUが13.7%増、対アジアが18.6% 増。中国は18.5%増だった。

季節調整済みでみると、8月の輸出額は前月比2.3%減、輸入額 は同2.5%減で、それぞれ4カ月連続、3カ月連続のマイナスとなっ た。一方、同月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル =86.37円で、前年同月比9.1%の円高だった。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは統計発表後、 ブルームバーグ・ニュースに対し、「輸出(数量ベース)への円高の影 響はまだそれほど出てきていない」としながらも、「企業収益にとって は明らかにマイナス要因だ」と指摘。財務省も円高について影響がな いわけではないとの見方を示した。

--取材協力: Minh Bui, Theresa Barraclough Editor:Norihiko Kosaka, Hitoshi Ozawa

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