【今週の債券】長期金利1.0%割れで低下模索-短観で追加緩和思惑も

今週の債券市場で、長期金利は節 目の1.0%を割り込んだ水準で低下余地を探る展開が予想されている。 日本銀行が29日に発表する9月調査の企業短期経済観測調査(短観) で景気の先行き懸念が強まれば、追加緩和への思惑から債券買いが膨 らみそうだ。

パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部 長は、長期金利は0.9%台を中心に低下余地を試すと予想する。「日銀 短観や鉱工業生産を受けて、日銀の追加緩和の憶測が高まるかどうか が注目される。景気の先行き悪化を示す内容となれば、債券は一段高 になるのではないか」と述べた。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グが24日に市場参加者4人に聞いた今週の予想レンジは全体で0.90 -1.10%となった。前週末の終値は0.995%だった。

米連邦準備制度理事会(FRB)が今月21日の連邦公開市場委員 会(FOMC)声明文で、「必要があれば追加的な緩和を行う用意があ る」と表明し、今後の追加緩和を示唆した。市場では、日銀にも短観 などの重要指標で先行きの景気懸念が示されれば追加緩和圧力が強ま るとの見方が多く、こうした観測が債券の買い材料となる見通し。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、「米国では週 初に中期ゾーンの入札が続くが、追加緩和への期待もあって需給不安 は乏しいのではないか。国内債市場も日銀による何らかの緩和策実施 が意識されており、需給環境についても今しばらくは良好な状況が続 く」とみている。

ブルームバーグ調査によると、日銀短観で大企業・製造業の業況 判断(DI)はプラス7、大企業・非製造業DIはマイナス2といず れも前回から改善が続く見通し。しかし、先行きDIは製造業がプラ ス3、非製造業がマイナス4への悪化が見込まれている。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「日本の経済指標は円 高の影響が表れ、先行きの減速ないしは悪化を見込むものが出て来や すい」と説明し、予想外に下振れれば、追加緩和観測が高まり、長期 金利の1.0%割れが定着する原動力になると予想する。

今年度の上半期末を控えて投資家の動きは鈍いとみられるが、今 週は月末最終週で保有債券の年限を長期化する需要のほか、下半期を にらんだ運用が始まる時期に当たる。このため需給環境は良好さを維 持しそう。パインブリッジの松川氏は、「月末は保有債券長期化の買い が入りやすいこともあり、相場は強気に見ている」と言う。

一方、28日に2年利付国債の入札が実施される。表面利率(クー ポン)は前回債と同じ0.1%が予想されている。発行額は2兆6000億 円程度。

今回の2年債入札について、日銀による追加緩和の思惑が出やす い中、投資家の潜在需要の強さを背景に波乱となく通過すると見込ま れている。損保ジャパン・アセットマネジメントの平松伸仁シニアイ ンベストメントマネジャーは、「2年債利回り低下余地はあまり残され ていないが、一定の需要が見込まれており、無難な結果だろう」と予 想している。

市場参加者の予想レンジとコメント

24日までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは310回債。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物12月物142円30銭-143円30銭

新発10年債利回り=0.96%-1.06%

「長期金利は再び低下余地を探る。政策出尽くし感が広がる10- 12月の景気動向や米追加緩和観測を考えると追い風が続く。短観改善 は材料視されづらいだろう。政府は介入による円高阻止で期末の株価 を下支えするとみられるが、期末を通過して介入の手が緩めば、再び 円高・株安のリスクが高まる。ただ、期末だけに債券への益出し売り には注意も必要」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物142円40銭-143円20銭

新発10年債利回り=0.97%-1.05%

「長期金利は1.0%中心に推移しそう。米国では週初に中期ゾー ンの入札が続くが、追加緩和への期待もあって需給不安は乏しいので はないか。国内債市場も日銀による何らかの緩和策実施が意識されて おり、需給環境についても今しばらくは良好な状況が続く。日銀短観 の発表後に金利が上昇すれば押し目買い意欲が強まるのではないか」

◎損保ジャパン・アセットマネジメントの平松伸仁シニアインベスト メントマネジャー 先物12月物142円00銭-143円20銭

新発10年債利回り=0.95%-1.10%

「日米で金融政策観測が高まる中、金利は上昇しづらい。ただ、 8月下旬には低下後に急上昇したため、投資家の間ではさらなる金利 低下に警戒感もあり、買いづらいだろう。短観や生産は、足元の数字 が良くてもその後、10月から年末にかけて落ちていくのがコンセンサ スとなっている。こうした予想に反するものが出てくれば、相場の波 乱要因となりそう」

◎パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部長

先物12月物142円30銭-143円50銭

新発10年債利回り=0.90%-1.05%

「日銀短観や鉱工業生産を受けて、日銀の追加緩和の憶測が高ま るかどうかが注目される。景気の先行き悪化を示す内容となれば、債 券は一段高か。FRBが追加緩和を示唆しており、それに対応して日 銀も追加緩和に動いてくると想定される。月末は保有債券長期化の買 いが入りやすいこともあり強気にみている。2年入札は波乱なく順調 に消化されそうだ」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎、菅野顕一郎 Editors:Hidenori Yamanaka, Masaru Aoki

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