【日本株週間展望】円高警戒し弱含み、配当落ち-短観で波乱公算も

9月第5週(9月27日-10月1 日)の日本株は弱い動きとなりそう。米国で追加金融緩和の観測が強 まっており、為替市場では日米金利差の縮小を見込んだ円高・ドル安 圧力がかかりやすく、日本株への買いは敬遠されがちだ。配当権利落 ちによるマイナスの影響もある。

メッツラー・アセット・マネジメントの小林光之社長は、米国経 済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は日本より劣っている との見方が広がっており、「円高・ドル安進行への警戒は根強く、輸出 関連銘柄を中心に買いは入りにくい」と指摘。相場を支える一因とな っていた「配当狙いの買いが見込めなくなるのも痛い」と言う。

9月4週の日経平均株価は、立会日の3日すべてで下げた。24日 終値は、前の週末に比べ154円(1.6%)安の9471 円と反落。週末に は、為替介入観測の浮上をきっかけに日経平均は上昇転換する場面も あったが、大引けにかけては力なくマイナスに沈んだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は21日開いた連邦公開市場委員 会(FOMC)後の声明で、「必要に応じ緩和措置を追加する用意があ る」と表明した。これを受けて米金利が低下し、為替市場ではドルが 売られ、ドル・円相場は1ドル=84円台前半と、政府・日本銀行が6 年半ぶりに為替介入を実施した15日以来の円高水準を付けた。

FRBが国債購入を増やす準備を進めているとの観測から、足元 では米国を中心に国債が買われ、ニューヨーク金先物相場は22日まで 5日連続で過去最高値を更新。世界のマネーは、相対的に高リスク資 産の株式からリスクの低い資産に向かっている。

もっとも、為替の円高進行局面では、日本の通貨当局が追加介入 に動くと予想され、一方的な円高も考えにくい。「為替変動に連動する 格好で日本株売りが加速し、日経平均が9500 円の節目から大きく下 振れることはなさそう」と、メッツラーの小林社長は見ている。

配当落ち60円強

週初27日は、3月決算企業の4-9月期の配当(中間配当)など の権利付き最終売買日だ。翌日以降は、配当や株主優待を取得する権 利を得た投資家の売りが株価の押し下げ要因として警戒される。日立 製作所や東芝、三菱電機の総合電機大手3社がそろって復配を決める など、業績回復を背景に復配・増配銘柄が相次いでいるだけに、権利 落ち後の株価下落の可能性は否定できない。ブルームバーグのデータ によると、権利落ちが日経平均に与える影響は63円。

配当落ち日以降、早急に当該下落分を埋められない場合は、相場 の上値が一段と重くなると懸念されている。東洋証券情報部の檜和田 浩昭 ストラテジストは、「市場エネルギーが低調な上、個人の投資余 力 もまだ落ち込んでいる状態で、利益確定や戻り待ちの売りに押され やすい」との見方だ。9月4週の東証1部売買代金は平均で1兆2264 億円と、年初来平均(1兆3468億円)を1割近く下回る。

日中さや当ては収束も

このほか、海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件をめぐり、 中国が対日姿勢を硬化させていることも懸念材料だ。中国の大手健康 食品メーカーが10月に予定していた1万人規模の訪日団体旅行の中 止を17日に発表。また、建設会社フジタの社員が中国当局に取り調べ を受けたことが24日に確認され、中国政府がレアアース(希土類)の 対日輸出を事実上停止したとの報道もある。

しかし、アムンディジャパン運用本部の吉野晶雄チーフエコノミ ストは、日中の相互依存関係を考えると、「仮に外交など政治面が一時 的に冷え込んでも、レアアースやレアメタルなどの日本への輸出を中 国側が持続的に止める可能性は低い」と見る。中国も、日本から電子 部品などを多く輸入し、「自国の経済活動にも支障が生じるから」だ。

今回の船舶衝突事件で送検されていた中国漁船船長を処分保留の まま釈放することが24日午後に決まり、「両国の緊張状態は収束に向 かい、金融市場での材料性も徐々に薄れよう」と吉野氏は話す。

短観は改善鈍化、日銀の景気認識を注視

日銀は29日、9月の企業短期経済観測調査(短観)を発表する。 ブルームバーグが調査機関19社を対象にまとめた予測調査(中央値) では、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合 を引いた業況判断指数(DI)は、大企業・製造業がプラス7と、前 回6月の調査から6ポイント改善しそう。ただ、改善幅は前回の15 ポ イントから縮小、次回12月の予測はプラス3と悪化する見通しだ。

前回調査で1ドル=90円18銭だった今年度の想定為替レートが、 どの程度円高方向に見直されるかも注目点。さらに、短観の結果を受 けて日銀が示す景気認識への関心も高い。しんきんアセットマネジメ ント投信の山下智巳主任ファンドマネジャーは、「仮に日銀が景気下振 れリスクを軽視するコメントを出した場合、翌週に控える金融政策決 定会合で追加金融緩和がないと市場参加者が読み、円高圧力が強まり そう」と警戒感を示している。

一方、日銀が一歩踏み込んで企業業績の先行き警戒を強調するよ うなら、「追加緩和期待が高まることで、為替がいったん円安方向に動 く」と山下氏は予想。その場合は、輸出株を中心に買い戻され、「日本 株の上昇が一時的に大きくなりそう」と、同氏は指摘する。

このほかの投資材料は、米国で28日に9月のコンファレンスボー ド消費者信頼感指数、30日に4-6月期GDP(国内総生産)確定値 が発表予定。10月1日には個人消費支出やISM製造業景気指数もあ る。また、中国市場は10月1日から7日まで、国慶節で休場となる。 国内では、27日に8月の貿易収支、30日に8月の鉱工業生産や住宅着 工、10月1日には8月の失業率や家計調査、消費者物価指数(CPI) などが発表される。

【市場関係者の当面の日本株見通し】 ●中央証券株式部の大越秀行部長

「テクニカル的に急ピッチの上げに警戒感がまだ残り、調整地合 いは続きそう。世界的な景気減速が日米企業の業績にどのように影響 を与えているのか、決算発表の本格化を控え、見極める時期に差し掛 かっている。為替の介入警戒感は残っているものの、米長期金利は低 い水準にとどまったままで、日米金利差の観点から円高懸念が残る。 見極め材料が多く、手控えムードは強い」

●十字屋証券の岡本征良投資情報室長

「上値を追う動きは期待できないが、日経平均は9500円を挟んで 上下200円程度の価格帯を堅調に推移しよう。那覇地検が中国人船長 を釈放し、日中関係悪化への懸念はいずれ収まっていこう。コマツや 日立建機など売り込まれていた中国関連株の戻りが期待できる。政府 は為替介入を否定したが、企業の中間期末をにらみ1ドル=85円と日 経平均9500円を大きくは割り込ませないとの意向は透けて見える。内 需好業績株は無論、輸出関連株にも買い戻しが期待できよう」

●立花証券平野憲一執行役員

「米国の主要株価指数は25日、75日、200日移動平均線を抜けて きており、大きく崩れる可能性は低い。そのため、日本株も大きな波 乱はなく一定レベルのもみ合いとなろう。24日の日経平均は、何とか 75日線(9446円)を上回って引け、来週はこれが意識されやすい。す べてに閉塞感が漂い、24日午後には日銀総裁辞任の観測が一部で流れ るなど、市場を動かすうわさなどが出やすい時期でもある」

--取材協力:常冨浩太郎、鷺池秀樹、岩谷多佳子 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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